(東京都 47歳 男性 その他のQ &A)

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奥歯2本のインプラントについて、奥から2本目は斜めに、一番奥は垂直にフィクスチャーを入れて、上部構造は一番奥のものだけ半分のサイズになるという方針になっています。斜めに入れるフィクスチャーと半分のサイズの上部構造を避けるための、サイナスリフトなしでの方法はないものでしょうか?
左上顎の奥歯2本をブリッジ片足歯が割れたために失いました。
奥から2本目は歯槽骨が5mm程度になっているために斜めに10mmのフィクスチャー、一番奥は垂直方向に10mmのフィクスチャーをいれて、奥から2本目に通常サイズの上部構造、一番奥はこれを横から支える目的の半分程度のサイズの上部構造をつける方針で検討すすめています。
斜めにフィクスチャーを入れる点に不安、一番奥の上部構造が半分しか無い点に不満があるのですが、これを避けるためには奥から2本めのサイナスリフトに9ヶ月かける必要があると診断されています。
サイナスリフトなしで十分な強度の2つの通常サイズの上部構造を実現できないものでしょうか?

[東京都 47歳 男性 その他]

上顎の奥歯にインプラント治療を行う場合、最も問題となるのがすぐ上にある副鼻腔、すなわち上顎洞の存在です。上顎洞までの距離が近くなれば、フィクスチャーを植えるための充分な骨が無くなります。そこで、様々な工夫が必要になるわけです。
上顎の一番後ろには上顎結節という骨の塊があります。この部分にめがけてインプラントを傾斜して埋入する方法があります。骨の移植や上顎洞の処置を行わずに済むので、患者様に余計な負担をかけないというメリットがあります。ただし、傾斜して埋入するため、単独で強い力を発揮できないこともあり、連結して利用されることが多いようです。ご質問のケースはおそらくこれにあたり、患者様の立場に立った治療方針ではないかと思います。この場合、傾斜埋入されたインプラントは手前のインプラントのサポート的意味合いが強くなりますので、上部構造のサイズを小さくして咬む力を逃がして余力を持たせることにもなるでしょう。手前のインプラントがしっかりしていれば、食事を咬み砕く能率はほとんど変わらないはずです。

上顎結節に充分な骨がないため上記の方法が不可能な場合などは、上顎洞に骨を作るしかありません。サイナスリフトを行うと最低でも6か月以上待ってからインプラント体を埋入することになりますから、手術が増える上に治療期間は長くなります。ただし、骨の厚みが5〜6mmあるいはそれ以上ある場合、インプラント体の埋入と同時に行えるソケットリフトという方法が採用できることもあります。しかし、インプラントを支える骨の量はサイナスリフトよりも少ないので、単独での力はやや劣ります。
ご質問にある「サイナスリフトなしで十分な強度の2つの通常サイズの上部構造を実現できるかどうか」という点を重視するのであれば、サイナスリフトを行った方が有利になります。

上記の治療法に優劣は無く、患者様のお口の状況やご希望に応じて使い分けるものなので、よく担当医とご相談になるのが良いでしょう。