義歯(入れ歯)からインプラントにする場合

義歯(入れ歯)からインプラントにする場合の治療説明です。

更新日:2021/12/07

■目次

  1. インプラントと義歯(入れ歯)の噛む力について
  2. 歯根がある場合と無い場合
  3. 入れ歯が合う人、インプラントが合う人とは
  4. 入れ歯からインプラントにする場合

インプラントと義歯(入れ歯)の噛む力について

義歯を使用されていた方がインプラントにされる理由の一つとして、義歯ではよく噛めないためインプラントにしてもっとしっかり噛みたいということがよくあります。義歯は軟らかい粘膜(歯茎)の上に装置がのっているもので、その構造上、噛んだ時の力を粘膜が負担します(粘膜支持)。そのため噛むたびに粘膜が圧迫されて痛みが出やすく、粘膜の負担を減らすためには義歯を大きくして粘膜との接触面積を増やす必要があるため、口腔内で義歯に圧迫感を感じることが多くなります。

一方でインプラントは、歯茎の下の歯槽骨に直接埋め込まれていますので、噛んだ時の力はしっかりとした歯槽骨が負担することになり(骨支持)、義歯と比べて、噛む機能の改善が可能となり、さらに大きな装置を使う必要が無いので装着感は天然の歯とほぼ同じ感覚にすることが可能です。

歯根がある場合と無い場合

歯を抜いた後には、歯の周囲の骨が吸収して骨量が減少することが知られています。特に抜歯後3~4ヵ月で歯槽骨の幅と高さの急激な収縮がおこり、その後1年ほどかけてゆっくりと歯槽骨が吸収して安定していきます。そのため歯は残しておいた方が、骨量は保たれやすいですが、齲蝕や歯周病、破折して感染している歯の場合などは残しておくことで、かえって大きな骨吸収の原因となりますので、そのような場合は抜歯することになります。

入れ歯が合う人、インプラントが合う人とは

噛む機能や装着感という点では、インプラントは義歯よりも優れています。しかしインプラントの欠点として、手術が必要となることや、義歯に比べて治療期間が長くなりやすいこと、治療費が高額になりやすいこと、清掃が難しいことなどがあげられます。そのため、既往症により全身の健康状態が安定せず、手術のリスクが高い方や、口腔内の清掃をうまくできない方はインプラント治療の際には注意が必要となります。

また、インプラントは骨のある場所によって、歯を作る部位が制限されますが、入れ歯は比較的自由な部位に歯をつくることができます。そのため唇が落ちこんでしまうくらい大幅に骨量が少なくなっているような方の場合は、インプラントではなく入れ歯の方が唇の落ち込みを改善することができますので(リップサポート)、入れ歯の方が適している方といえます。

入れ歯からインプラントにする場合

いったんインプラント治療を行うと、他の残っている歯が何らかの理由で抜歯になってしまった場合などに、入れ歯であれば修理で比較的簡単に対応することができますが、インプラントの場合は設計の再考や作り直しのハードルが高く、対応が難しくなることがあります。
そのためインプラントへ移行する場合は、将来をみすえた治療計画が一層重要となり、抜歯になる可能性の高い歯があるときは、その歯を先に抜歯してインプラントをするのか、また残した場合は抜歯したあとの対応はどうするのかなど、主治医の先生とあらかじめよく相談されると良いと思います。

記事提供

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。