安全上インプラントができないケース

インプラント総合サイトです。歯科インプラントに関する治療説明『安全上インプラントができないケース』についてご紹介します。歯を失ってお困りの方、入れ歯・ブリッジが合わない方は是非ご覧下さい。

更新日:2019/09/24

■目次

  1. 糖尿病で血糖値のコントロールが悪い
  2. 重度の肝疾患
  3. 心不全を伴う重い心臓病
  4. 血液透析を受けるような重度の腎疾患
  5. その他の病気
  6. 資料提供

糖尿病で血糖値のコントロールが悪い

インシュリン依存性糖尿病の方で、血糖値を良好にコントロールできない人は、インプラント治療は避けたほうが良いとされています。

糖尿病になると、糖が細胞内に取り込まれません。体の細胞のエネルギー源となる糖が送り込まれないため、細胞は一種の飢餓状態におかれることになります。これが原因で様々な組織の細胞に障害が発生するのが糖尿病の特徴です。

血管の細胞の障害により傷の治りが悪くなったり、免疫系の働きの低下によって、細菌感染に対する抵抗力が低下したりすることはその典型例です。このために手術のリスクも上がることが考えられます。

しかし、糖尿病の人がみんなインプラント手術をできないという事ではなく、血糖値が良好にコントロールされていれば、インプラント治療を受けることはできます。ただし、その場合には、手術の規模を最小化することが条件となります。

重度の肝疾患

急性肝炎、肝硬変、重度の肝疾患のある人も、インプラント手術を受けるのは危険です。

肝硬変の場合、血液中の主なたんぱく質であるアルブミンが肝臓で合成されない他、血液を凝固させる因子も合成が十分でありません。手術をすると血がとまらなくなってしまうことも考えられます。

さらに手術時に投与される薬剤が肝臓で代謝されないこともあり、十分な術前評価が必要です。

心不全を伴う重い心臓病

重度の心臓病の人も残念ながらインプラント手術は避けるべきとされています。心臓病の症状には次のようなものがあります。
息が上がって階段が登れない
マクラを背中に置かないと息苦しくて眠れない
いつも足がむくんでいる
心不全を伴う重い心臓病
思い当たる方は最初に内科医の診断を受けていただきます。心筋梗塞については、発作後半年以上経過している場合、インプラント治療を行えるケースがあります。

一方、心臓弁膜症で人工弁置換術を受けられた方や、不整脈治療のために体内型ペースメーカーを入れている方は、口腔内の細菌がこれらの人工物に付着して感染性心内膜炎を起こす可能性があり、やはりインプラント治療は避けたほうが良いとされています。

血液透析を受けるような重度の腎疾患

腎疾患にかかると免疫力が低下することも多く、傷が治りにくいため、インプラント治療に注意が必要です。とりわけ血液透析を受けているような場合は、骨がもろくなっているため、インプラント治療は不適応です。

血液透析では腕に動脈と静脈の吻合をつくるため、やはり細菌が遠隔臓器に飛ぶ可能性があり、手術は危険です。

その他の病気

コントロール不良の高血圧症や感染に弱い持病のある方、重症の骨粗鬆症で骨密度が異常に低下している人などもインプラント治療は不適応です。

少しでも危険性があると判断した場合は、専門医の意見を求めますので、持病の申告をお願いします。いくら機能性も審美性も兼ね備えたインプラント治療を受けたいと願っておられても、リスクを侵してまで行う手術ではありません。

このような診断の他に、手術に先立って口腔内の感染源となりうる疾患の治療を先行して行う場合があります。例えばインプラント植立位置に近接する虫歯、根尖病巣(歯根の尖端にある膿の袋)、歯周病などがそれにあたります。

資料提供

フラワーデンタルクリニック
院長 : 浅井 俊樹先生

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。