外傷(交通事故や転倒など)により、歯を失った場合のインプラント治療

交通事故や転倒などの外傷(怪我)によって、歯が折れてしまった、歯を失ってしまった、顎の骨を失ってしまった場合のインプラント治療についてご紹介します。

更新日:2021/12/02

■目次

  1. 外傷で歯を失った場合の特徴
  2. 歯のみを失った場合
  3. まずは術前検査
  4. 1回法
  5. 2回法
  6. 1回法と2回法
  7. 顎の骨を失った場合や骨折した場合
  8. まずは顎の骨の治療
  9. GBR
  10. ベニアグラフトまたは ブロック骨移植
  11. 【事故による外傷を受けた方へ】

外傷で歯を失った場合の特徴

外傷で歯を失った場合の特徴

交通事故、スポーツ中の接触や転倒などによる外傷で歯や顎の骨を失った場合の特徴として、部分的に歯や顎の骨を失うことが多くあります。インプラント治療は外傷後でも治療を受けることができます。
ただし、インプラント治療は、顎の骨にチタン製のインプラント体(人工歯根)を埋め込む外科手術を行いますので、外傷以外で健康状態に問題のある方は、治療を受けることが難しい場合もあります。インプラント治療が難しい場合は、ブリッジや入れ歯のような治療を検討することになるでしょう。

外傷によって「歯のみを失った場合」、「顎の骨を失った場合や骨折した場合」には、どのようなインプラント治療を受けることになるのでしょうか。治療前の目安としてご紹介します。

歯のみを失った場合

まずは術前検査

部分的に歯が抜けてしまった、または歯を残すことが難しく抜歯の必要がある場合、まず始めに精密検査を行い、お口の状態に問題がないかを調べます。
異常がなければ、インプラントを埋め込む手術が可能なため、治療の計画を立てます。インプラント治療は二つの方法があり、お口の状態や使用するインプラントの種類によってどちらを行うかを決定します。

1回法

外科手術が1回だけ行われる。1回法には二つの方法がある。

■即時負荷:インプラント埋入手術後すぐに仮歯や人工歯(被せ物)をインプラントに接続することができる。
会話や食事に困る期間を少なくすることができる。
⇒【治療例】抜歯から仮歯まで2時間で治療した症例
■遅延負荷:インプラント埋入手術から2~3ヵ月後に仮歯や人工歯(被せ物)をインプラントに接続することができる。
埋め込んですぐのインプラントに負荷をかけず、インプラントが骨とくっつくのを待つ。
⇒【治療説明】インプラント手術 一回法手術(1ピース型)について

2回法

外科手術が2回行われる。1回目はインプラントを埋め込んで完全に歯茎を閉じ、2回目で歯茎を再度開いてインプラントの一部分を露出させ、仮歯や人工歯(被せ物)を接続するための土台をインプラントに取り付ける。
⇒【治療例】抜歯と同時にインプラントを入れて綺麗に治療した症例

1回法と2回法

お口や身体の状態に問題が無ければ、1回法の即時負荷法を選択することで治療を短期間で終わらせることができます。しかし、少しでも心配があれば、歯茎を閉じて、顎の骨とインプラントがしっかり固定する期間を設ける2回法で治療することが多いです。

顎の骨を失った場合や骨折した場合

まずは顎の骨の治療

骨移植の例

部分的に顎の骨を失った場合や、骨折した場合は、まず整復処置(骨折した部分を元の位置に戻す処置)を受けます。その後、インプラントを埋め込むスペースや見た目に問題がある場合は、骨を得るために骨移植を行うことがあります。

状態によって異なりますが、骨移植後6ヵ月~1年後にインプラントを埋め込む手術を行います。インプラントを埋め込む手術については、歯のみを失った場合を参照ください。

GBR

骨を作りたい部分に、患者さん自身の骨や人工骨を移植して、特殊な膜で覆う治療法。
⇒GBRとは

ベニアグラフトまたは ブロック骨移植

GBRで骨を作ることが難しいような場合に、下顎の親知らず周辺の骨や、下顎の前歯の下付近から骨をブロックで削りだし、移植したい部分にネジで固定する治療法。(骨を多く失った場合は、腸骨から移植することもあります。)
⇒骨移植について

【事故による外傷を受けた方へ】

労災保険や損害保険の給付対象となるかどうかについては、ご加入の保険会社の担当者にご相談ください。
また、事故の場合、治療方法が限られますがインプラント治療に公的医療保険が適用される可能性があります。かかりつけの医師や治療を受けている歯科・口腔外科の担当医にご相談ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。