インプラントをしたいのに骨が足りない!その原因って?

インプラント治療を受けるためには、インプラントを埋め込むための骨がしっかりとないと受けることができません。「でも、なんで骨が足りなくなるの?」という疑問にお答えします。骨が足りない原因は、大きく分けて2つあります。歯周病や歯が抜けた後に放置したことなど(後天的なもの)が原因なのか、元々の骨の厚み(先天的なもの)が原因なのか。骨が足りない時の対処法も合わせてご紹介します。

更新日:2021/12/02

インプラントをしたいのに骨が足りない!その原因って?

■目次

  1. 骨が足りなくなるのは何故か?
  2. 骨が足りない原因は、大きく分けて4つ!
  3. どうしたらいいの?
  4. 骨量を補う治療とは?
  5. GBR法
  6. サイナスリフト
  7. ソケットリフト

骨が足りなくなるのは何故か?

インプラントを埋め込む部位に十分な骨の幅と深さ、密度があるかどうかがインプラント治療のキーポイントとなります。しかし、いざインプラント治療を受けようと歯科医院で診察を受けてみたら必要な骨の量を満たしていなかった・・・というケースがあります。骨が足りなくなる、というのは想像がつきにくいと思います。何故、骨が足りなくなってしまうのでしょうか?

骨が足りない原因は、大きく分けて4つ!

骨が足りない原因は、大きく分けて次の4つがあります。

・歯周病(歯槽膿漏)
・生まれつき
・歯が抜けたまま放置している
・入れ歯が合っていない

歯周病
歯の周りに菌が入り込み炎症を引き起こしていたり、歯槽膿漏のように膿が出ている状態です。歯を支えている骨である歯槽骨が溶けて吸収されていきます。その結果、歯が抜けてしまうのです。
歯が抜けるほど症状が進行している時にはすでに歯槽骨はかなり溶けて吸収され、「骨が足りない状態」になっているのです。

生まれつき
例えば生まれつき上顎の骨が薄い、骨の幅が薄いケースなどが考えられます。この場合、インプラントを埋入すると先端が上顎洞まで突き抜けてしまいます。

歯が抜けたまま放置している
歯が抜けていると、適度な刺激が骨に伝わらなくなります。人間の体は刺激されない部分が衰えていくという特徴をもっています。顎の骨が痩せていくことを「骨吸収」といいます。骨に適度な刺激が与えられないと、骨が吸収されていくのに比べて新しい骨の形成が間に合わずに結果として骨が足りなくなってしまいます。

入れ歯が合っていない場合
入れ歯が合っていない場合も骨はどんどん痩せてしまいます。入れ歯が合っていないと、様々な方向から歯肉に圧力がかかり、圧迫された歯肉の下にある顎の骨(歯槽骨)が吸収されていきます。

どうしたらいいの?

足りない骨を補う治療法

骨が足りない場合、インプラント治療を受けられないの?生まれつき骨が薄いならどうしようもないのでは…?
など不安に思われるかもしれません。しかし、足りない骨を補う治療法は存在します。

骨量を補う治療とは?

骨が足りない場合、インプラント手術前に骨量を補う治療を行っていきます。
※リンク先のページをご覧いただくと、イラスト付きのより詳しい説明をご覧いただけます。

GBR法

GBR(骨誘導再生)法とは、失った骨組織を再生させる治療法で、インプラントを埋め込んだ周囲の骨量が不足し、人工歯根(インプラント体)の側面が露出している場合に行う治療法です。

骨の少ない所をメンブレンと呼ばれる特殊な膜で覆い、内側に自家骨(ご自身の骨)や人工の骨補填剤を混ぜた物を入れておきます。 すると骨芽細胞が集まり4~6ヶ月で新生骨ができあがります。

必要な自家骨が、少量の場合は頤(オトガイ:下顎の前の部分)、多くの量が必要な場合は蝶骨(腰の骨)から採取します。

サイナスリフト

骨の高さが著しく低く、かつ広範囲に及ぶ場合はサイナスリフトを行います。

上顎の歯肉の側面を切開し、骨面を露出させ、さらに10~30mm程ある歯槽骨に窓をつくります。窓を開けるとシュナイダー膜(上顎洞と歯槽骨の間にある粘膜)が露出しますので、注意深く歯槽骨とシュナイダー膜をはがしていき、スペースができたところに移植骨で埋めていきます。骨がしっかりできるまでに約3~6ヶ月待ちます。その後インプラントを埋め込みますので、治療期間は約9ヶ月必要となります。

ソケットリフト

ソケットリフト

ソケットリフトとは、上顎洞までの骨の高さが不足しているため、オステオトームと呼ばれる専用の器具を用いて、上顎洞の粘膜を押し上げ骨補填剤を入れて、インプラントを埋め入れるための新しい骨を作る治療法です。

シュナイダー膜までの骨の高さが5mm以上ある場合に適用できます。下顎のインプラントを埋め込む穴(歯が生えていた場所)に、移植骨を入れて少しずつシュナイダー膜を押し上げていき、インプラントを埋め込むのに十分な骨の厚さを確保します。同時にインプラントを埋め込むことができるので、治療期間は約4~6ヶ月ほどで噛めるようになります。



ソケットリフトはサイナスリフトと異なり、横から移植材を入れて骨の高さを増大させるのではなく、下から上顎洞を押し上げます。
さまざまな困難があっても解決できる場合があります。インプラント治療を諦める前にまずは歯科医院に相談してみましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。