インプラント治療デメリット5選!解決方法はあるの?

インプラント治療はメリットもありますが、デメリットもあります。痛みや腫れなどの身体への負担や高額な治療費の金銭的な不安まで、インプラント治療の5つのデメリットとその解決法について紹介しています。インプラント治療の不安を解消するためにも、納得して治療を進めるためにも、インプラント治療をご検討中の方は参考にしてみてください。

更新日:2021/12/06

インプラント治療デメリット5選!解決方法はあるの?

■目次

  1. インプラント治療5つのデメリットとは?
  2. デメリット1.手術の痛みと腫れの可能性
  3. デメリット2.治療期間が長い
  4. デメリット3.顎の骨量が少ないと不利
  5. デメリット4.治療費の負担が大きい
  6. デメリット5.インプラント周囲炎
  7. インプラントのデメリットまとめ

インプラント治療5つのデメリットとは?

インプラント治療の5つのデメリットと解決方法について紹介します。これまでインプラントのマイナスイメージや手術に対する恐怖心から、インプラント治療の選択を避けてきた方にも知っていただきたい内容となっています。

デメリット1.手術の痛みと腫れの可能性

デメリット1.手術の痛みと腫れの可能性

インプラント治療は外科手術が必要です。顎の骨の中にインプラント体を埋め込むため、痛みや腫れのリスクが考えられるのはもちろんのこと、「歯医者さんが大の苦手」といった恐怖心が強い方にとって、ストレスや恐怖を感じやすい治療ともいえるでしょう。

【POINT】気になる痛みと腫れについて
個人差はありますが、インプラント体を埋め込む手術中は局所麻酔が効いているため痛みは感じません。麻酔が切れたあとや術後2~3日程度は傷口がチクチクと痛む可能性がありますが、薬で痛みをコントロールできることがほとんどです。腫れに関しても、個人差があるため一概には言えませんが、一般的には「骨造成術(骨を作る手術)」や「広範囲の手術(インプラントを複数埋め込む手術)」の際に腫れが生じやすいようです。術後は担当医の指示に従って薬を服用し、安静に過ごしましょう。

【POINT】静脈内鎮静法でウトウトしている間に手術終了!
静脈内鎮静法とは、気分を落ち着かせる効果がある点滴薬を血管内に直接投与することでリラックス効果を得ることができる方法です。点滴をすることにより、治療中の不安や緊張を軽減することができます。吐き気を抑制する効果もあるため、お口の中に治療器具が入ると気持ちが悪くて吐き気がしてしまう方にも適しています。
全身麻酔とは違い、意識はある状態です。手術後麻酔が切れたら帰宅できますが、車や自転車の運転は避けるようにしてください。

静脈内鎮静法について

デメリット2.治療期間が長い

デメリット2.治療期間が長い

インプラントのメリットの一つに「天然歯(自分の歯)のようにしっかり噛める」ということが挙げられます。インプラントでもしっかり噛めるようになるためには、インプラントと骨がしっかりくっついていなければなりません。インプラントと骨は約3~6ヵ月とゆっくり時間をかけて結合していくもののため一定の「定着期間」が必要となり、結果的に治療期間が長くなってしまうのです。

さらに、インプラントの部品を取り付けるための手術や被せ物の製作期間を含めると治療終了まで数ヵ月、骨造成手術や歯茎の移植手術などの手術を行う場合はさらに時間を要します。インプラントは入れ歯やブリッジと比べて治療期間が長くなります。

【POINT】治療期間を短縮する方法はあるの?
歯を失った時の治療法として、インプラント以外に「入れ歯」と「ブリッジ」という選択肢があります。治療期間は入れ歯やブリッジの方が短いため選択される方もいらっしゃるでしょう。

確かにインプラントは治療期間が長くなる治療であり、治療終了後も定期的なメンテナンスが必要です。失った体の一部分を人工の歯で補うためには、綿密な計画と繊細な技術、そしてインプラントが身体に馴染むまでには時間が必要です。

もしも、インプラントの被せ物(上部構造・人工歯)が入るまでの期間を気にしている場合は、仮歯を装着できることもありますので、歯科医師に相談してみましょう。
焦って治療を進めてしまうとインプラントと骨が結合せず、結果的にインプラント治療が失敗に終わる可能性があります。仮歯は一時的に装着するものなので噛み心地は劣りますが、見た目を回復させることが可能です。

デメリット3.顎の骨量が少ないと不利

デメリット3.顎の骨量が少ないと不利

インプラントは顎の骨の中にインプラント体を埋め入れる治療です。そのため骨の厚みや量が十分になければインプラント治療は成功しません。いくら患者さんがインプラントを希望していても「骨の量が少なくてインプラントはできない」と歯科医師から治療を断られるケースも少なくないのです。

顎の骨は歯が抜け落ち「噛む」という機能や噛んだ時の「刺激」を失うと、次第にやせ細ってしまいます。個人差はありますが長年合わない入れ歯を使用していたり、歯がない期間が長かったり、重度の歯周病に罹患している場合などは既に骨量が少なくなっていることが予測されます。

骨量が少ないとインプラント治療が難しくなります。インプラントを埋め込んだとしても骨と結合できずに抜け落ちる原因となるほか、治療後の見た目や機能面においても影響を与える可能性があります。

【POINT】骨不足を補う「骨造成術」とは?
顎の骨が少ない患者さんでも「骨造成術」を行えばインプラント治療を受けられる場合があります。骨造成術とは人工骨や自家骨(自分の骨)を用いて顎の骨の不足を補う方法です。インプラントに適した骨の環境を整えるために、必要に応じてオプション手術として行います。

骨造成術は骨の量や手術部位によって適している術式が異なります。例えば、GBR法、サイナスリフト、ソケットリフト、スプリットクレストなどがその一例です。また、下顎の一部または腰骨の一部を採取し、足りない部分にご自身の骨を移植する方法もあります。自分にはどの術式が適用されるのか、骨造成術のメリット・デメリットも含めて歯科医師と相談してみましょう。

≫GBRとは?

≫上顎洞挙上術(サイナスリフト)とは

≫ソケットリフトとは

≫スプリットクレストとは

デメリット4.治療費の負担が大きい

デメリット4.治療費の負担が大きい

インプラントは健康保険(公的医療保険)が適用されない自由診療です。治療に関わる費用はすべて自己負担となるため、入れ歯やブリッジと比べて治療費が高額になることは必須です。インプラントの全国平均相場は1本あたり300,000~400,000円程度。気軽に治療を受けられる金額ではありません。

【POINT】インプラント治療は医療費控除の対象です
インプラント治療は医療費控除の対象であるということをご存知でしょうか。医療費控除とは自分や家族のために支払った医療費が年間10万円を超える場合、総所得が200万円未満の方は総所得の5%を超えた場合に適用される控除の事です。高額なインプラントの費用負担を軽減する事ができます。医療費控除は1月から12月までの1年間に支払った「インプラント治療を含む医療費」と「医薬品の費用」、「通院のための交通費」の合計が対象です。バスや電車などの交通費も医療費に含まれるため、交通費の支払額は領収書やメモ(どこの駅からどこの駅までいくらかかったか)などをきちんと残して管理しておきましょう。最近は電子マネー(Suicaなど)での支払いも可能なので、領収書を発行することができます。なお、治療費の現金払いの他に、デンタルローンの分割払いやカード払いも医療費控除の対象です。

デメリット5.インプラント周囲炎

デメリット5.インプラント周囲炎

インプラントを支える組織が歯周病のような症状を起こす事を「インプラント周囲炎」といいます。インプラントは人工物のため虫歯になることはありませんが、歯周病と同じような症状になることがあります。

天然歯には細菌の侵入を防ぎ、歯の根と骨をつなぐ「歯根膜」という組織があることで、歯周病の進行を防いでくれていますが、人工物であるインプラントには歯根膜のような組織がありません。歯茎とインプラントがくっついています。歯根膜も無いため血流も少なく、インプラント周囲は免疫細胞による防御機構が働きにくいです。歯周病があっという間に進行してしまうのです。インプラント周囲炎が進行してしまうと、周囲の骨が溶け出して動揺し、最悪の場合はインプラントが抜け落ちてしまいます。

【POINT】お手入れ次第でインプラントの寿命が変わります!
インプラント周囲炎を防ぐためには定期的なメンテナンスが必要です。インプラントは精密なパーツを組み合わせた人工の歯です。複雑な構造をしているため、定期的なチェックとていねいなお手入れがインプラントの寿命を左右します。

歯科医院では専門的なクリーニングのほか、接合部の緩みや噛み合わせのチェック、レントゲン撮影による骨の状態の確認などインプラント治療を受けた患者さんに合わせたメンテナンスを行います。定期的にメンテナンスを受けていれば、万が一のトラブルも早期解決できる可能性が高まります。

専門的なクリーニングではセルフケアでは取り除けない細部の汚れやこびりついた歯石を取り除き、プラーク(歯垢)の再付着を防ぎます。さらに、担当の歯科衛生士から上手なブラッシング方法を教わることでセルフケアの質を向上させることができます。
セルフケアとプロフェッショナルケアの両面からアプローチしていくことが大切です。インプラントのため、残された歯のため、そしてお口の健康のために定期的なメンテナンスを行うようにしましょう。

インプラントのデメリットまとめ

インプラントのデメリットまとめ

どのような治療にもメリットとデメリットがあるように、インプラントにもデメリットがあることは事実です。しかし、同時にメリットも大きい治療法です。ネガティブな面ばかりに気を取られずに、いま一度メリットについても考えてみましょう。

インプラントの最大の特徴はほかの歯の支えを必要とせずに自立すること。残された歯に負担をかけることなく見た目も自然。ブリッジのように天然の歯を削って被せ物を装着したり、部分入れ歯のように金属のバネ(クラスプ)を引っ掛けたりすることもありません。残された天然の歯に負担をかけないので、支えとなっている歯にダメージを与えることはないのです。その結果、健康な歯を長持ちさせることも十分可能でしょう。見た目に関しては歯茎の境目から天然の歯が生えてきたように見えるのでとても自然。見た目の違和感なく周囲の歯にしっくりと馴染みます。さらに、インプラントの安定した噛み合わせは入れ歯やブリッジと比較して咀嚼(そしゃく)能力が高く、食べ物をよく噛んで飲み込むことができます。よく噛むことで栄養の消化吸収を高めるほか、噛む刺激は脳の活性化にも影響を与えるなど健康への影響も高いのです。

おいしく食事を楽しんで、笑顔に自信を持てるインプラント治療。様々なリスクはありますが、事前に回避できることも多いのではないでしょうか。インプラントのメリット・デメリットを再度ご確認いただき、インプラント治療を検討するヒントにしてくださいね!

記事監修

歯科医師 古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。