歯科治療で行う補綴 [ ほてつ ] とは

「補綴」という言葉をご存知でしょうか。補綴とは身体の欠損した部分を人工物で補うことをいいます。例えば、義眼や義足のような見た目の回復が挙げられます。歯科では、歯の機能や見た目の回復、口蓋裂 [ こうがいれつ ] の閉鎖のような機能回復があります。ここでは、歯科でいう補綴がどのような治療であるかご紹介します。

更新日:2021/12/07

歯科治療で行う補綴 [ ほてつ ] とは

■目次

  1. 補綴歯科治療って何?
  2. 歯科治療で補綴が必要な理由
  3. まとめ
  4. 記事監修

補綴歯科治療って何?

補綴歯科は、主に虫歯や歯周病、事故などで歯が欠けてしまったり、歯を失った場合に、補綴装置(または、補綴物)を用いてお口の機能や見た目を回復させる治療を指します。補綴装置には、インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)、ブリッジ、部分入れ歯、総入れ歯、歯科インプラントがあります。

>>入れ歯・ブリッジ・インプラントのメリット/デメリット

◆クラウン(被せ物)
歯冠(歯肉から上部分)のほとんどを失い、歯根(歯肉から下部分)が残せる場合に受けられる治療法です。歯冠部分を覆うように被せます。日本の保険制度では、歯の神経を取り除いた歯にも強度的な観点からクラウンを被せます。

◆ブリッジ
部分的に歯を失った場合に受けられる治療法です。失った歯の“隣の歯”を土台として、一体型の補綴装置(ブリッジ)を被せて、抜けた歯を補います。

◆部分入れ歯
部分的に歯を失った場合に受けられる治療法です。残っている歯にクラスプ(バネ)などをかけて入れ歯を安定させ、抜けた歯を補います。

◆総入れ歯
すべての歯を失った場合に受けられる治療法です。唾液による吸着力・お口周りの筋肉による維持力・歯茎と入れ歯が密接に接することによる吸引力などにより入れ歯が支えられます。

◆歯科インプラント
部分的もしくはすべての歯を失った場合に受けられる治療法で、「インプラント補綴」とも呼ばれることがあります。歯を失った部分に外科手術で人工歯根(チタン製)を埋め込み、上部構造と呼ばれるクラウンやブジッジのような補綴装置を接続させます。

補綴装置の材料には金属やセラミックなど複数あり、お口の状態や予算に応じて選択します。場合によっては、希望する補綴装置を使った治療が受けられないこともあります。詳しくは、担当の歯科医師とよくご相談ください。

>>自分の歯の代わりとなる人工歯を選ぶポイント

歯科治療で補綴が必要な理由

歯科治療で補綴が必要な理由

歯が大きく欠けてしまったり、歯を失ったりしたままで放っておくと、周りの歯が倒れてきたり、噛み合う歯が伸びたりして、噛み合わせや歯並びのバランスが崩れてしまうことがあります。歯並びや噛み合わせが悪くなるとと、発音、見た目、顎関節などに悪影響を及ぼすことや、よく噛めないことから胃腸に負担がかかることなど、様々な弊害が生じることが考えられます。

噛み合わせや歯並びの悪さによる悪影響を極力予防、もしくは早期に改善して、お口の正常な機能を回復し、維持することは補綴治療の大切な役割です。歯を失ってから痛みや腫れが治まったという理由で歯科治療を中断しないようにしましょう。


>>歯を失ったままにしても平気?

まとめ

虫歯や歯周病、事故以外にも、食べ物がしっかり噛めない、顎関節の不調(口が開きづらい、口を開けると音がするなど)に対して、噛み合わせを整えるために補綴治療が行われることもあります。お困りの方はお近くの歯科医院でご相談ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。