インプラント治療における歯科技工士の役割

歯科技工士(以下、技工士)は、歯科医師の指示の下で、主にインレー(詰め物)、クラウン(被せ物)、義歯(入れ歯)などの技工物の作製や修理を行える国家資格を持つ者です。技工士は、このような一般歯科治療の技工物を作るだけでなく、インプラント治療でも大きく携わっています。ここでは、インプラント治療でどのような役割を担っているのかについてご紹介します。

更新日:2019/10/01

■目次

  1. インプラント治療で技工士が作製しているもの
  2. 技工物の製作について
  3. ご存知ですか?インプラント専門歯科技工士

インプラント治療で技工士が作製しているもの

インプラント治療では、顎の骨に埋め入れるインプラント体と一部のアバットメントは既製品を使用しますが、それ以外は技工士の手によって作られています。

◆インプラント治療で技工士が主に作製しているもの
・抜歯~アバットメントを接続するまでの仮歯(テック)や入れ歯
カスタムアバットメントの作製
・アバットメント~上部構造を接続するまでの仮歯(プロビジョナルレストレーション
・上部構造の作製
>>インプラント治療期間中の仮歯について


※カスタムアバットメントとは
上部構造の色にこだわる場合、歯茎と上部構造のラインにこだわる場合など、既製品では対応できないときに用いるオーダーメイドのアバットメントです。既製品のアバットメントの多くはチタン合金で銀色ですが、カスタムアバットメントの中にはジルコニア製の白いアバットメントがあります。白いアバットメントを装着した場合、強い光の下でも金属が透けることがありませんので、美しい見た目を保つことができます。

技工物の製作について

機能的で美しい技工物を作り出すためには、次のことが重要となります。

・歯科医師や技工士がインプラント治療の正しい知識や適切な技術をもっていること
・歯科医院側と技工士が綿密な連携を図ること

連携がとれていないと、患者様に適した技工物が作れず、見た目や埋め入れたインプラント、噛み合わせなどにトラブルが起こることも考えられます。技工物を作る時は、患者様の要望を反映させた歯科医師のプランや、歯の形と色、噛み合わせ、周りの歯・歯茎・顔のバランスなど、様々な情報が必要となります。歯科医院、または技工物によって情報の収集方法は異なるようですが、メモなどで詳細の伝達を受けたり、写真を撮ってそのデータを送ってもらったり、患者様や歯科医師と対面したりして作製の指示や要点を確認し、技工士は製作にあたっているようです。

ご存知ですか?インプラント専門歯科技工士

インプラント専門歯科技工士とは、社団法人日本口腔インプラント学会が、インプラント治療における技工の知識や経験を持つものとして認めた技工士に交付する資格認定制度です。審査・試験を経て、合格した技工士に交付されます。この試験を受けるためには、3年以上インプラント治療に携わっていることや、10例以上のインプラント上部構造製作の経験があること、定期的にこの学会の講習に参加することなどが必要となります。このことからこの資格は、インプラントの標準的な知識を持ち、適切なインプラント技工が行える技工士であることを見極める一つの指標となるでしょう。


このように、インプラント治療で技工士は重要な役割を担っています。もし、見た目や機能性にこだわりたいとお考えの方は、技工士と対面して相談できるかどうかを歯科医師に確認されるとよいでしょう。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。