より安全なインプラント治療のための滅菌器 『DAC Universal ダック・ユニバーサル』

歯科インプラントに関する「より安全なインプラント治療のための滅菌器」についてご紹介します。

更新日:2019/10/08

■目次

  1. 歯科用コンビネーション オートクレーブ滅菌器 DAC Universal 「ダック・ユニバーサル」(シロナ社製)のご紹介
  2. 「滅菌」と「消毒・殺菌」の違い
  3. バックフラッシュの説明
  4. サックバックの解説
  5. 『DAC Universal ダック・ユニバーサル』とは
  6. 図1拡大図
  7. 図3拡大図

歯科用コンビネーション オートクレーブ滅菌器 DAC Universal 「ダック・ユニバーサル」(シロナ社製)のご紹介

「ダック・ユニバーサル」(シロナ社製)


▲ ダック・ユニバーサル 画像提供;広島県尾道市 岡田歯科医院 岡田武久先生
歯科用の新しいタイプのオートクレーブ滅菌器である「DAC Universal」 [ダック・ユニバーサル] のご紹介をいたします。 まず、その前に滅菌という意味が一般の患者さん方には分かりにくいと思いますので、簡単にご説明させていただくと

「滅菌」と「消毒・殺菌」の違い

・滅菌 ・・・ すべての細菌やウイルスを物理的、化学的手段を用いて死滅させるか、完全に除去すること。 (注; ただし、厳密に言うと確立的な概念からは滅菌処理後、滅菌された器具に微生物の生存する確率が100万分の1以下になり、ほぼ無菌状態といえる。)
それに対して消毒とか殺菌という言葉も患者さん方はよく耳にされると思いますが、
・消毒、殺菌 ・・・ 人体に有害な細菌やウイルスの感染性を物理的、化学的手段を用いてなくすか、菌量を少なくすること。
上記をもっと端的にご説明させていただくと「滅菌はすべての微生物を殺しますが、消毒や殺菌はある特定の範囲の微生物だけを選択的に殺しますよ」という意味です。ということは、殺菌や消毒よりも、すべての微生物を殺す滅菌の方が微生物を殺す力は強力ということになります。
歯科治療の現場では一種の外科的な治療が多いため、可能な限りすべて治療に使う器具は消毒のレベルではなく滅菌をして患者さんに使用する方が良いということになりますね。 以上、簡単ですがお分かりいただけたでしょうか?

さて、今回、ご紹介させていただきます、コンビネーション オートクレーブ滅菌器「ダック・ユニバーサル」は歯科治療に使う回転切削器具である、歯医者さんでキーンと音のするタービンやコントラ(患者さんの歯や骨を削る機械)、ストレートハンドピース(入れ歯や被せ物を削る機械)などの機械器具を主に滅菌(完全にすべての菌を死滅させる滅菌)する器械です。もちろん、インプラント治療で使うドリルで骨を削る際に使うインプラント用の減速コントラも滅菌できます。この滅菌器のすごい所はこのダック・ユニバーサル一台で、タービン、コントラ、ストレートハンドピースを精製水を用いて機械の内部、外部の洗浄からオイル注油、さらにはバックフラッシュというこの器械独自の工程を経て機械内部にいたるまでの厳密な滅菌(完全にすべての菌を死滅させる滅菌)を一気に全て行えるということです。

バックフラッシュの説明

バックフラッシュ

ダック・ユニバーサル独自の工程で、チャンバー内の圧を上げ、飽和水蒸気を噴射。その後、中央部を開放し飽和水蒸気を排出。この時、飽和水蒸気は唯一の通り道である、歯科用ハンドピース(タービン、コントラ等)内部を強制的に通過しドレインタンクへ排出。 この機構によりハンドピース内の隅々まで確実に滅菌する。


注) 一般的なオートクレーブ滅菌器では飽和水蒸気をタービン等の歯科用ハンドピース内に通過させることが出来ないので、内部までの厳密な滅菌は出来ない。これが出来るのは、H20年12月現在、「ダック・ユニバーサル」と「クラスBオートクレーブ滅菌器」だけです。ただし、「クラスBオートクレーブ滅菌器」は滅菌のみ。







また、ダック・ユニバーサルは作業時間も、6本の機械をわずか12分という短時間で一気に行えるという画期的なものです。さらに付け加えると、乾燥工程を行っても滅菌温度が設定値(134度 もしくは 121度)から温度が上昇することはありませんのでタービン、コントラ、ストレートハンドピース等の器具を傷めにくいですし、タービン、コントラ、ストレートハンドピース等の滅菌後の残存オイルの量も各歯科医師の先生方のお好みにあわせて調整もする事ができます。患者さんには分かりにくいかもしれませんが、現場の歯科医師にはこの残存オイルの量を気にされる先生方も多くいらっしゃいます。これまで、タービン、コントラ、ストレートハンドピースなどの器具類の滅菌をかけるのは非常に困難な事でした。そもそも、これらの器具類は口腔内で使用するとどうしても血液や唾液が器具類の内部に少しですが入り込む危険がありました(これをサックバックといいます)。

サックバックの解説

サックバック

タービン・・歯を削る機械で歯医者さんでキーンと音のする機械です。

『DAC Universal ダック・ユニバーサル』とは

『DAC Universal ダック・ユニバーサル』

が、しかしながら、これらの器具類の内部までを滅菌することは通常のオートクレーブ滅菌器では出来ませんでした。
最近になり、内部の洗浄(清掃)や注油のみを行う器械やサックバック防止機構のついた、タービン、コントラ、ストレートハンドピースやヨーロッパ基準「クラスBオートクレーブ滅菌器」(これは機械内部まで滅菌可能ですが、滅菌のみ)などが販売されるようになりましたが、いずれにせよ、ダック・ユニバーサルが国内販売されるまではこれらの器具類の洗浄(清掃)から注油、そして外部、内部の厳格な滅菌まですべての工程を一台で行うことは不可能でした。 ですから、このダック・ユニバーサルは、これまで何台ものメンテナンス用の器械を複数台使いやってきたこと(機械の内部、外部の洗浄からオイル注油、機械内部にいたるまでの厳密な滅菌)をダック・ユニバーサル一台で行いさらに、これらの工程全てを12分という短時間で出来るため、非常にすばらしい滅菌器であるといえます。右上にダック・ユニバーサルの全工程を図で示しておきます。

さらに、タービン、コントラ、ストレートハンドピース以外の器具類も専用のバスケットに入る程度のものでしたら滅菌することが可能です。 また、私事で申し訳ありませんが、私は、インプラント手術を行う際は一度、インプラント用の減速コントラはダック・ユニバーサルで通常通り、内部と外部の洗浄から注油、そして滅菌までして、その後、清潔域に持っていけるようにさらにインプラント用減速コントラを滅菌パックに入れて、これをダック・ユニバーサル専用バスケット内にいれ、今度は滅菌工程だけするという、ダブル滅菌で手術に臨んでおります。ここまでしても、ダック・ユニバーサルは滅菌器内の槽(チャンバー)にコントラが当たらないようになっておりますのでコントラの金属と槽(チャンバー)の金属が接触しないという原理と槽(チャンバー)内の温度がどこも常に一定温度で滅菌出来るので、高温による器具の劣化が起こりにくいのです。ご参考までに。

最後に、DAC UNIVERSAL(ダック・ユニバーサル)の各部の名称を示しておきます。

※図2は「ダック・ユニバーサル専用バスケット」

図1拡大図

図3拡大図

より安全なインプラント治療のための滅菌器
下図に「DAC UNIVERSAL」 [ダック・ユニバーサル] の各部の名称を示しておきます。(下記の写真のものは、一部、「SIRONA [シロナ] 社」のシールではなくシロナ社の関連企業Nitram社のシールやロゴが貼られておりますが、海外ではこの様なシールやロゴのタイプのものもあります。製品自体は一緒です。)

記事提供

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。