GBRとは?骨造成・骨誘導再生をイラストで解説!

「GBR(骨誘導再生)」とは、あごの骨を増やす手術のことです。インプラントを埋め入れる際に十分な骨が無い場合などに利用されます。イラスト付きの分かりやすい解説で「GBR(骨誘導再生)」についてまとめています。あごの骨が少なくインプラント治療を諦めていた方も、この手術であれば治療が可能になる場合があります。

更新日:2021/12/02

GBRとは?骨造成・骨誘導再生をイラストで解説!

■目次

  1. GBR(骨造成・骨誘導再生)とは
  2. 骨組織が欠損している状態
  3. GBR(骨造成・骨誘導再生)治療の流れ
  4. 1.インプラントを埋め入れます
  5. 2. 骨または骨補填剤を入れ、人工メンブレンで覆います
  6. 3.歯肉を戻し、骨の再生を待ちます
  7. 4.人工の歯を装着します
  8. GBR(骨造成・骨誘導再生)のリスクとは?
  9. 記事監修

GBR(骨造成・骨誘導再生)とは

Guided Bone Regenerationの略/
GBR(骨誘導再生)法とは、欠損した歯槽骨や顎骨などの骨組織の再生を促す治療方法です。 インプラントを埋め入れるために十分な骨の量がない場合などに利用されます。

骨組織が欠損している状態

骨組織が欠損している状態

虫歯や外傷で歯が抜けてしまったり、歯周病などの原因で歯槽骨が痩せてしまうと、右のイラストのようにインプラントを埋め入れるために必要な骨の量が足りなくなります。点線部分は本来あるべき歯槽骨の厚みです。また、歯を失ってから時間が経過している場合には、周囲の歯槽骨がさらに吸収され、骨が痩せてしまいます。

GBR(骨造成・骨誘導再生)治療の流れ

1.インプラントを埋め入れます

インプラント埋入

歯槽骨の吸収が著しいため、インプラントの表面も露出しています。

2. 骨または骨補填剤を入れ、人工メンブレンで覆います

骨造成治療

GBR法の場含、GTR法のように歯根膜の再生は必要あリません。再生させたい組織は骨だけなのでインプラントを支柱にし、生体材料でできた人工メンブレン(専用の膜)で覆うことができれば、骨の誘導再生が可能です。また、人工メンブレンは歯肉などの軟らかい線維性の組織細胞の混入を防ぎます。人工メンブレンが動かないように固定用のピンを使用する場含もあリます。

3.歯肉を戻し、骨の再生を待ちます

骨再生

人工メンブレンの設置が完了したら、歯肉を元に戻して骨の再生を待ちます。この期問は、術部に必要以上の刺激を与えないよう注意が必要です。 骨の再生速度に個人差はありますが、一般的には4?6ヵ月程度で再生されるといわれております。

4.人工の歯を装着します

インプラント 人工歯

骨が再生され、インプラントがしっかり固定されたら、人工の歯(上部構造)を作製して装着します。新しく骨が再生されたことで、歯肉も滑らかな美しい形状になります。

GBR(骨造成・骨誘導再生)のリスクとは?

インプラントの成功は土台となる「顎の骨が要」といっても過言ではありません。骨の環境を整えるGBR(骨造成術・骨誘導再生術)は、骨不足に悩む方にとって大きな助けとなるでしょう。ですが、骨不足を解消するGBRにも弱点や事前に知っておきたいリスクがあります。以下にて詳しく解説します。

インプラントの治療期間が長引く
GBRをはじめとした骨造成術および骨誘導再生術には人工骨や自家骨(自分の骨)を使用し、骨の高さや幅を増します。ですが、人工骨や自家骨は手術後すぐに周囲の骨と馴染むわけではないのです。

増骨部が自分の骨の一部として周囲に馴染むまで約3~6ヵ月程度。範囲が広い場合は10~12ヵ月程度の時間が必要になるケースもあります。インプラント手術と同時にGBRが行うことができればタイムロスが少なく済みますが、現状の骨量が少なく多くの骨が必要となるケースでは、インプラント手術前の土台作りとしてGBRを行う必要があるのです。その場合は通常のインプラント手術に「骨の再生期間」がプラスされるため、トータルの治療期間が長引いてしまいます。

しかし、インプラント手術とGBRを同時に行う方法も最近行われています。個人差はあるかもしれませんが、通常のインプラント手術の治療と同期間になることもあります。

腫れや傷みの可能性もあり
GBR(骨造成・骨誘導再生)法は歯茎を切り開いて骨を露出させる手術のため、痛みや腫れ・痺れを伴う可能性は十分にあります。個人差はありますが、腫れのピークは術後3~7日程度。場合によっては術後すぐに腫れだす可能性もあります。

術中の痛みは麻酔が効いているため心配はないでしょう。術後も処方される痛み止めで十分にコントロールできることがほとんどのようです。ただし、術後なかなか痛みと腫れが引かない場合は、何らかの理由により細菌に感染している可能性があります。細菌に感染すると術部周囲の骨にまで炎症が広がり、さらに骨を失ってしまうという厄介な結果に。腫れや傷みが気になる場合は無理をせず、担当の先生にご相談下さい。

記事監修

記事監修:古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。