インプラント治療で天然歯の感覚を取り戻す

インプラントの基礎知識。インプラント治療とは失った歯根の代わりに、顎の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。インプラント治療によって、自分の歯とほとんど変わらない、自然な感覚を取り戻すことができます。

更新日:2019/09/20

■目次

  1. インプラント治療とは
  2. インプラント治療と他の治療法との比較
  3. <総入れ歯>
  4. <ブリッジ>
  5. <インプラント>
  6. インプラント治療の綿密な診査と計画
  7. 骨造成によって適応範囲が広がる
  8. インプラントを応用した顎顔面補綴
  9. 進化の勢いが衰えないインプラント最新技術

インプラント治療とは

インプラント治療とは失った歯根の代わりに、顎の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。
このインプラント治療によって、自分の歯とほとんど変わらない、自然な感覚を取り戻すことができます。

インプラント治療と他の治療法との比較

不幸にも虫歯や歯周病などで大切な自分の歯を失った場合、その治療法として、これまで取り外しの入れ歯やブリッジが一般的でした。

<総入れ歯>

メリット
・治療期間が短い
・材料によって健康保険が適用できる
デメリット
・取り外しが煩わしい
・ガタガタ動きやすく、痛い
・硬いものが安心して噛めない
・味覚が落ちる
・金属のバネが見えて気になる

<ブリッジ>

メリット
・治療期間が短い
・材料によって健康保険が適用できる
デメリット
・ブリッジを作るために健康な歯を削られてしまう
・ブリッジを支えている歯に負担がかかり、歯の寿命を縮めやすい

<インプラント>


メリット
・自分の歯と同じように硬いものがしっかり噛める
・味覚が落ちない
デメリット
・治療期間がやや長い
・健康保険が適応できない
・健康な歯を削る必要が無い  
・残った歯への負担が少ない



大切な自分の歯を長持ちさせるという意味でも、インプラントは役立っています。

インプラント治療の綿密な診査と計画

インプラント治療には、インプラント手術が可能かどうか綿密な診査と治療計画が必要です。
まず、身体がある程度健康であることが条件です。
ただし、高血圧や糖尿病などの病気があっても、内科的にきちんとコントロールされていれば問題ありません。
重度の歯周病や虫歯などがあれば事前に治療しておく必要があります。

そしてインプラントを埋めるため医必要な骨があるか検査・診断します。
次に治療計画を立て、人工の歯を固定するために必要なインプラントの埋め込み位置や本数を決定してから、インプラント手術(埋め込み)を行います。

インプラントを埋め込んでから人工の歯が取り付けられるまでの治療期間は、諸条件により異なります。
これまでは一般的には、約3~6ヶ月の安静期間をおいてインプラントが顎の骨と強固に結合するのを待ち、人工の歯を取り付けていました。
最近では、インプラント表面の改良などにより、この期間を2ヶ月程度に短く設定できる傾向にあります。

さらに、顎の骨の条件やインプラントを埋め込む位置など一定条件がそろうと、インプラント手術の当日に歯を装着できる「即時荷重」という方法も可能になってきました。

人工の歯を取り付けた後は、自分の歯と同じように毎日の歯磨きが大切です。
手入れが悪いと寿命が短くなる場合もありますが、普通に歯磨きをして定期検診を受ければ、40年以上経っても問題なく機能している実績があります。
インプラント治療は専門的な治療なので、かかりつけの医師に紹介してもらうなど、納得のいくクリニックで受けられることをおすすめします。

骨造成によって適応範囲が広がる

インプラントを埋め込むためには十分な骨が必要です。
以前は骨が痩せているという理由で、インプラント治療を断られる患者様がいました。
しかし、現在は骨造成手術が行われるようになり、インプラントの適応範囲が広がっています。

たとえば、上顎洞(上顎にある空洞で副鼻腔ともいう)が大きい患者様は、インプラントを埋め込む部位の骨が薄くなるためインプラントの埋め込み画不可能でしたが、現在ではサイナスリフトという骨造成を行ってインプラントを埋め込むことが可能になっています。

さらには、このような骨造成に、「再生医療、ティッシュエンジニアリング」という新たな医療技術の応用が試みられています。
これは、患者様自身の細胞(幹細胞)を培養して骨や歯肉などの組織を作るもので、もっとも期待されている医療分野の一つです。

インプラントを応用した顎顔面補綴

インプラントは失った歯の回復のみではなく、顎の腫瘍などで顎の骨を失った患者様の機能回復にも役立っています。

通常どは顎の骨を大きく切り取ってしまうと入れ歯が落ち着かず、食事や会話が非常に困難です。
インプラントはこのような患者様の義顎、義歯の支えとしても活躍しています。

また腫瘍や事故で鼻や耳を失った患者様は、これまでシリコンなどで作った人工の鼻や耳を接着剤でつけていました。
しかし、接着剤は汗をかくとはがれやすく、患者様は社会的活動を大きく制限されていました。
欧米ではインプラントをこのような患者様の人口の鼻や耳の支えに利用し、患者様が豊かで健やかな社会生活を営むために役立てています。

進化の勢いが衰えないインプラント最新技術

昨今のインプラント関連技術の進歩は目覚しく、特にCTを利用したインプラント用シミュレーションソフトの開発が盛んに行われています。
このようなソフトを使えば、事前にインプラントに取り付ける歯の位置を割り出し、歯を支えるために必要なインプラントの埋入位置を正確に計画することが可能です。

さらにはCTのデータから、インプラントを埋め込むための手術用ガイドとインプラントに取り付ける人工の歯をあらかじめ作っておき、ガイドに従ってインプラントを埋め込んで即座に歯を取り付けるという試みも行われています。

これはたった一時間足らずでインプラント埋め込みから歯の取り付けまで終了してしまうという、究極の「即時荷重インプラント」です。

また、インプラントを埋め込むために骨を削るドリルの動きを手術中に赤外線カメラで追尾し、その位置・角度・深度を瞬時にモニター画面上に映し出すという手術支援の技術も新しく生まれています。
これを用いると、まさにカーナビのごとく、モニターを見ながら正しい位置にインプラントを埋め込むことが可能になります。

歯科医療において、インプラントの治療は、現在もっとも発展している部分といえるでしょう。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。