喫煙と歯周病 〜 タバコの引き起こす病気 :〜 加藤大幸先生コラム〜

タバコの引き起こす健康への影響

喫煙が健康にとって有害であるということは、既にご存知の事と思いますが、悪性腫瘍 [あくせいしゅよう]、糖尿病、高血圧症、動脈硬化などの生活習慣病の全てに、喫煙が悪影響を及ぼしていることが明らかになっています。

生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休息、喫煙、飲食等の生活習慣が、その発症や進行に関与する疾病群と言われています。

歯磨き習慣や食習慣と関連があるため 歯周病 も 生活習慣病 と言えます。

歯周病とは・・・

歯周病は歯槽膿漏 [ しそうのうろう ] といわれていましたが、歯周病を正しく定義すると、歯 は、歯肉、歯根膜、セメント質および歯槽骨から成る歯周組織に支えられています。

この歯周組織に起こる疾患(病気)を歯周病といいます。

その症状は、歯肉炎、歯周炎 および 咬合性外傷 に分けることができます。
(※咬合性外傷 = 歯周組織.・歯膜に起こる外傷性の病変。)

歯肉炎や歯周炎は、口の中に棲んでいる細菌(口腔常在菌)、とりわけ歯周病菌による感染症であるといわれていますが、咬合性外傷は噛み合わせの異常などが原因で起こります。

歯周病の原因である歯周病菌は、糖尿病、心臓血管障害、肺炎、早産などとも関係あることが最近わかってきました。

ある種の全身の病気を防ぐうえでも歯周病予防や治療が重要となりつつあります。

喫煙は生活習慣病

喫煙は、もはや生活習慣病であり、ニコチン中毒という病気です。

その病気によって口腔内に病原菌が繁殖し、毛細血管の微小循環が悪くなり、歯周病が発生し、歯が抜け落ちてしまうのです

喫煙と生活習慣病の一つである歯周病との関係は、ビタミンCの破壊とそれに伴うコラーゲン線維の生成の低下、メラニンの沈着などが割合早くから言われていましたが、喫煙への警鐘となるほどのインパクトはなかったようです。しかし、ここ10年の間で、正確な統計に裏付けられた報告がされています。

喫煙は歯周病にとって、最も危険な因子の一つなのです。

喫煙による歯の異常

タバコを吸うことによる免疫力の低下は、歯周病などの病気にかかりやすくなります。
そして、タバコの有害物質が、歯の周りや肺の中に沈着すると、これを取り除く白血球が大量の活性酸素を放出します。

タバコの煙には、四千種類以上もの科学物質が含まれ、このうち六十種類には発がん性があります。 主なものとしてタール、ニコチン、一酸化炭素の3つが知られています。

発癌性や強い刺激性を持つタールは、歯や歯石の表面に黒く沈着しますので、見るからに悪影響を及ぼしそうですが、ニコチンだって負けてはいません。
セメント質への結合が強いので、歯石を除去して綺麗な面を出してもすぐに台なしにしてしまいます。

欧米の歯科医師の中には、「喫煙者の歯周病の治療は無駄である」 と極論する人さえいます。疫学調査によると10年間で失う歯の数が、タバコを吸わない人に比べて、約3倍という報告もあります。

ニコチンの影響で、体の毛細血管が収縮して貧血状態になります。
口の中も例外でなく血の巡りが悪くなり、さらに一酸化炭素のために血液中に十分な酸素が運ばれなくなります。

その結果、抜歯後の傷口の回復、歯茎の処置後の治り具合、インプラント手術後の成績が落ちるなど、あらゆる歯科の処置に悪い影響を及ぼします。

現状と見解

このように見てくると、歯への影響を考えても禁煙は必要だと思われます。

愛煙家には耳の痛い話かも知れませんが、思い当たる方は、できればきっぱりやめましょう。多くの成人や青年は、喫煙が健康に対して有害であることを認識しています。
しかしながら、リスクを伴う他の行動と比較した場合、喫煙の有害作用がどれだけ大きなものであるかは理解されていないようです。

地球規模では、年間400万人が喫煙によって死亡しています。この数字はAIDS ( HIV ) 感染、結核、母体死亡、交通事故死、自殺、他殺による犠牲者の合計数を上回っています。

WHO(世界保健機関)の予測では、2030年までには、喫煙が死亡および障害発生の原因の第1位を占めることとなり、年間1000万 人以上が喫煙によって死亡することになります。

しかしながら、医療関係者の喫煙率は高いといえます。

厚生労働省の調べによると、 将来医療、保健の専門家を目指す学生の喫煙率を調べ た所、

歯学部生は男性62%、女性35%で最も高く、患者の喫煙に関しても比較的寛容であることが、厚生労働省研究班の調査で分かっています。また、女性に限定すると全学部で全国平均を上回っていました。

喫煙は歯周病を発症、悪化させる危険因子としても知られています。禁煙しましょう。

主任研究者の林謙治・国立保健医療科学院次長は「将来患者を指導する立場として、学生のうちから喫煙の影響についてしっかり学ぶ必要がある」としています。

海外の学会に参加すると、ほとんど禁煙です。そして、参加する医師たちも当然喫煙しません。しかし、 日本の学会や歯科医の集まりに出席すると愕然とします。

その大半が休憩時間にタバコを喫煙するので、廊下は煙で目が痛くなるほどです。これだけ歯科治療に喫煙が影響するのだから、治療を担当する医師たちが喫煙していてはいけません。健康を志向する人はまず禁煙しなければならない。またスモーカーには健康や環境問題を語る資格はないと思います。

資料提供
銀座大幸歯科
院長 : 加藤 大幸先生
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