大人乳歯にはインプラントで対応!放置するリスクや費用は?

大人になっても乳歯が抜けずに残っている場合があります。専門用語では晩期残存(ばんきざんぞん)といいます。
「ずっと乳歯のまま生活してきたので、あまり不便を感じない」という方も多いかもしれません。しかし、最近になって食べ物を噛んだ時に乳歯が痛いということはありませんか?

この記事では、大人になっても乳歯が残る原因、放置するリスク、乳歯が抜けた後にインプラント治療を受けるメリットや費用を解説していきます。

更新日:2023/11/20

乳歯 インプラント

■目次

  1. 大人になっても乳歯が残っている原因とは?
  2. 大人乳歯を放置した場合の2つのリスク
  3. 虫歯リスクが高まる
  4. 歯並びが乱れやすくなる
  5. 大人乳歯への2つの対処法
  6. 乳歯をそのまま使い続ける
  7. 抜歯して歯を補う治療を受ける
  8. 大人乳歯を抜歯した場合の治療の選択肢
  9. 入れ歯
  10. ブリッジ
  11. インプラント
  12. 大人乳歯にインプラントが向いている2つの理由
  13. 自分の歯を削らなくて良い
  14. 他の治療法よりも噛む力が強い
  15. 大人乳歯にインプラント治療で対応した症例【画像付き】
  16. 1. 初診
  17. 2. 治療計画を立てる
  18. 3.インプラント体を埋め入れる
  19. 5. 埋め入れた位置を確認して人工歯を被せる
  20. 6. 治療完了
  21. 大人乳歯のインプラント治療の費用相場
  22. まとめ

大人になっても乳歯が残っている原因とは?

インプラント 乳歯

大人になっても乳歯が残っている場合、永久歯がないことが原因として考えられます。
生まれながらに永久歯がないことを先天性欠損(先天性欠如)と呼びます。

大人乳歯を放置した場合の2つのリスク

インプラント 乳歯

大人乳歯でも食べ物を噛むことができるため、あまり問題がないように感じている患者さんも多いようです。

「気にならないなら乳歯のままでも良い」と放置している方も多いでしょう。しかし、大人乳歯の放置にはリスクがあります。

虫歯リスクが高まる

乳歯は永久歯と比べて、歯の表面のエナメル質の石灰化度が低く、永久歯よりも虫歯になりやすいです。

歯並びが乱れやすくなる

特に前歯の乳歯は永久歯よりも小さく、他の歯との隙間ができやすいです。すきっ歯になる可能性があるほか、歯並びが悪化するケースもみられます。歯並びの乱れによって、見た目のコンプレックスにつながるかもしれません。

大人乳歯への2つの対処法

乳歯 インプラント

大人乳歯がある場合には、以下2つの対処法が考えられます。

乳歯をそのまま使い続ける

乳歯が虫歯になったりグラついたりしなければ、その間はそのまま使い続けることも可能です。乳歯は永久歯に比べて寿命が短いため、大事に使っていても早い段階で欠損する可能性があります。

抜歯して歯を補う治療を受ける

乳歯がグラつく、食べ物を噛むと乳歯が痛むといった場合には、抜歯して歯を補う治療を受けたほうが良いケースもあります。グラつく乳歯を放置していると、いずれ抜けて歯並びの乱れを引き起こしたりするため注意が必要です。

また、高齢になるにつれて長時間座っての歯科治療が難しくなることもあるでしょう。全身の健康状態なども考慮し、早めに大人乳歯を抜いて治療をすることもあります。

大人乳歯を抜歯した場合の治療の選択肢

乳歯 インプラント

大人乳歯を抜歯した場合、自然と永久歯が生えてくるわけではありません。
そのため、抜歯によって空いてしまったスペースを何らかの方法で補う必要があります。大人乳歯を抜歯した場合の治療の選択肢を確認していきましょう。

入れ歯

入れ歯は、総入れ歯と部分入れ歯の2種類があり、ピンク色の歯茎に相当する部分に人工歯が並んでいます。部分入れ歯は、ズレたり外れたりしないように残っている歯にバネをかけます。患者さん自身で取り外し可能です。

ブリッジ

ブリッジは周りの歯を削って土台にし、橋をかけるように人工歯を被せます。歯を失った部分の両隣の健康な歯を削らなくてはいけません。

インプラント

歯を失った部分の顎骨にネジ(人工歯根)を埋め込み、その上に人工歯を装着して、歯の機能と見た目を補います。手術が必要で、入れ歯やブリッジよりも治療完了までに時間がかかります。その一方で、他の歯を削る必要はなく、自分の歯のように噛めるようになります。自然な見た目になるというメリットもあります。

大人乳歯にインプラントが向いている2つの理由

大人乳歯の治療で入れ歯やブリッジよりもインプラントをおすすめする理由として、大切な自分の歯を削らなくて良いことや自分自身の歯のようにしっかりと噛めるなど、メリットが大きいためです。

インプラントを選択する際の利点を詳しくみていきましょう。

自分の歯を削らなくて良い

ブリッジ治療では、失った歯の両隣の健康な歯を削る必要がありますが、インプラント治療は基本的に歯を削る必要がありません。人工歯根が人工歯を支えるため、他の歯を土台とする必要がないのです。

また、部分入れ歯の場合には健康な歯をブリッジのように大きく削らなくて良いケースが多いものの、バネをかける歯に汚れが溜まりやすくなるデメリットがあります。
取り外せないため、虫歯や歯周病が進行しやすくなってしまうという点にも注意が必要です。

他の治療法よりも噛む力が強い

インプラントは天然歯と同じように噛めるといわれています。一方、入れ歯やブリッジは天然歯と比べて噛む力が弱くなります。特に入れ歯は噛む力が3分の1程度にまで弱まるといわれているのです。

大人乳歯にインプラント治療で対応した症例【画像付き】

大人乳歯を抜歯し、インプラント治療をする場合の流れを画像付きで紹介します。

1. 初診

乳歯 インプラント

この写真では、上顎の前から3番目の犬歯が乳歯のままです。

この写真の入試はまだ抜歯をしなくても良さそうですが、歯が動揺している場合は将来のことを考えてインプラント治療を検討します。

2. 治療計画を立てる

乳歯 インプラント

CTデータとシミュレーションソフトを用いて、インプラントを埋入する位置や角度を決定します。このデータをもとに、インプラント埋入手術で用いる「サージカルガイド」というマウスピース型の装置の作製を行います。

3.インプラント体を埋め入れる

インプラント 乳歯

まず乳歯を2本抜歯します。
抜歯をしたら、サージカルガイドを装着してインプラントを埋入する部分に穴が空いているので、穴を利用してインプラントを適切に埋入していきます。

4.治癒を待つ

インプラント 乳歯

インプラント体を埋入したら、顎骨とくっつくまで数ヶ月間治癒を待ちます。
この間はインプラントに蓋をしておき、歯茎が被らないようにするケースと歯茎で覆うケースの2ケースがあります。

5. 埋め入れた位置を確認して人工歯を被せる

インプラント 乳歯

インプラント埋入直後にレントゲン撮影を行って位置を確認します。
シミュレーション時のデータと比較して正しく埋入がされていれば顎骨とくっつくのを待ち、最終的に人工歯を装着します。

大人乳歯の位置が前歯で気になる場合は、仮歯を装着しておくことも可能です。インプラントに仮歯を付けておく場合は、強く噛んでインプラントに負担をかけないように、噛み合わない高さの仮歯をつけることもあります。

顎骨とインプラントが正常にくっついたら、最終的な被せ物を製作・装着します。
被せ物は素材によって異なりますが、セラミックなどの自然な歯の色の被せ物にすることも可能です。色が気になる場合は、最終的に取り付けてしまう前に相談しましょう。

6. 治療完了

最後にインプラントに被せ物を装着して、インプラント治療は完了です。

この後は、定期的なメンテナンスでインプラント周囲組織や噛み合わせにトラブルが起こっていないか、セルフケアができているかなどを確認し、インプラントを長い間使えるように手入れしていきましょう。

大人乳歯のインプラント治療の費用相場

インプラント 乳歯

大人乳歯を抜歯してインプラント埋入治療を行なう場合の費用相場は、1本あたり30万円~50万円程度です。

大人乳歯は先天性欠損と呼ばれ、お口の中全体で6本以上先天性欠損している場合、または連続して4~5本先天性欠損している場合は公的医療保険が適用されます。
ですが、公的医療保険を適用してのインプラント治療が可能な歯科医院は限られています。

先天性欠損している場合のインプラント治療については「先天性欠損が6歯以上の場合のインプラント治療が公的医療保険適用対象になりました」で詳しく説明していますので、確認してみてください。

それ以下の欠損歯数や欠損部位が離れている場合は公的医療保険が適用されず、自費診療でインプラント治療を受けることになります。

2023年6月 株式会社メディカルネット調べ

まとめ

乳歯 インプラント

大人になっても乳歯が残っている原因としては、生まれつき永久歯がないことが考えられます。大人乳歯は虫歯になるリスクが高いほか、歯並びが乱れやすくなるデメリットもあるため、放置せずに早めに対処することをおすすめします。

インプラント埋入治療を行なうことで、他の歯を削らずに済み、天然歯と同じようにしっかり噛むことが可能となるのです。また、入れ歯やブリッジといった治療方法の選択肢もあります。

どのような治療方法で対処すべきかについては、ご自身で判断することは難しいため、信頼できる歯科医師に相談してみるのが解決への近道になるでしょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。