歯科インプラントで使われるバイオスとは?

インプラント治療では、歯を支える骨(歯槽骨)が少ない場合に骨移植を行います。バイオスは天然のウシ由来多孔性骨補填剤です。インプラント植立に必要な骨量を確保することが可能になります。

更新日:2019/10/16

■目次

  1. インプラントで使われる移植骨
  2. Bio-Oss(バイオース)とは?
  3. ▼ EU医薬品局審査庁による臓器分類

インプラントで使われる移植骨

インプラントを入れる土台となる骨がない時は・・・
インプラントを埋入するときに土台となる歯槽骨(歯を支える骨)が十分にないときは、骨移植を行います。使われる骨には大きく分けて2種類あります。

・自家骨 = 自分の骨
・人工骨 = 自分以外の骨
があります。

自家骨は移植骨には一番適しているとされています。しかし、自分の骨ですから自分の体のどこからか骨を採ってこなければなりません。自家骨を採取する部分は以下になります。
インプラント埋入部位(インプラントを植えるために削った骨を集める)

・下顎(下アゴ)の親知らずがある部分
・オトガイ骨(下アゴ前歯の根元)
・膝や腸骨(骨盤の骨)

インプラントを埋入する部位は粘膜を切開しますので、その部分から骨を採取できれば、骨を採取するためだけに他の部分まで切開を入れなくてすみます。

1.の方法ならば、患者様の体への負担の軽減、手術時間の短縮という利点があり、骨の採取量は一番少なくなります。足りない分は人工骨を使うか、2. 3.からの骨採取をします。3. 4.は入院が必要となります。
しかし、最近では100%人工骨でも自家骨にくらべて成功率が変わらなくなってきています。
当医院の人工骨は以下のものを使用します。

・HA(ハイドロキシアパタイト
・Bio-Oss(バイオース)
・β-TCP(β-リン酸三カルシウム)

HA(ハイドロキシアパタイト)とは、歯を構成するエナメル質と同じ成分です。
口腔外科・顎顔面整形外科領域で広く使われています。Bio-Ossは牛の胎児由来の骨ですが、細菌等は一切入ることがありませんので安全です。β-TCP(β-リン酸三カルシウム)とは、カルシウムのリン酸塩の粉末を加圧し、1000~1300度で焼成されたものを主成分としたものです。すぐれた生体親和性をもち、骨組織と一体化する生物学的な特徴をもつアパタイトセラミックスの一つです。しかし、広範囲にわたる骨欠損の場合、β-TCP単独での骨形成は難しいとされています。

Bio-Oss(バイオース)とは?

Bio-Oss(バイオース)とは、骨伝導に優れた天然のウシ由来多孔性骨補填剤です。歯槽骨の再生・増大において、成長を促進し、インプラント植立に必要な骨量を確保することができます。Bio-Oss(バイオース)の有効性と安全性については、多くの大学や研究、臨床実験、治療実績などによって十分に証明されており、世界で評価の高い異種移植材といえます。Osteohealth社、Geistlich社などにより提供されています。

Bio-Oss(バイオース)は15時間以上の高温加熱処理を経て製造されているのに加え、「検出可能な感染性無し」とされるカテゴリー4(下記参照)の部位を使用しているため、感染の危険性はありません。

▼ EU医薬品局審査庁による臓器分類

カテゴリー1(高度感染性)
*脳 *脊髄 *眼

カテゴリー2 (中程度感染性)
*回腸 リンパ節 近位結腸 脾臓 扁桃 硬膜 松果体 胎盤 脳脊髄液 下垂体 副腎

カテゴリー3 (低感染性)
遠位結腸 鼻粘膜 *抹消神経 *骨髄 肝臓 肺 膵臓 胸腺

カテゴリー4 (検出可能な感染性無し)
凝血 糞便 心臓 腎臓 乳腺 乳汁 卵巣 唾液 唾液腺 精嚢 血清 骨格筋 睾丸 甲状腺 子宮 胆汁 軟骨組織 骨 結合組織 胎児組織 毛 皮膚 尿

(*=感染牛で感染性が認められた臓器)

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。