CTなしでインプラント治療はできる?リスクやレントゲンとの違いは?

インプラント治療では手術が必要になることがあり、事前の精密検査が安全性に配慮する上でとても重要です。歯科医院によっては歯科用CTを導入しているところもあり、患者さまの状態を細かく調べたうえで診断します。

一方、歯科用CTによる検査料も発生する場合があります。インプラント治療にとって歯科用CTはどれほど必要なものなのか解説します。

更新日:2023/10/24

インプラント CT

■目次

  1. インプラント治療とは
  2. 歯科用CTはインプラント治療に欠かせない検査
  3. 歯科用CTとレントゲンではわかることが違う
  4. CTなしでもインプラント治療は可能?
  5. CTなしでインプラント治療をする場合のリスク
  6. 歯科用CTに注意が必要な方
  7. インプラント治療や歯科用CTについてよくある質問
  8. インプラント治療1本あたりの費用相場は?
  9. 歯科用CTにかかる費用はいくら?
  10. 歯科用CTの被ばく量はどのくらい?
  11. インプラント治療後にMRI検査を受けても大丈夫?
  12. インプラント治療の費用を抑える方法はないの?
  13. まとめ

インプラント治療とは

インプラント CT

インプラント治療とは、歯を失った後に人工歯を補う治療方法のひとつです。インプラント体とよばれる人工歯根を患部に埋入し、顎骨としっかり結合したら人工歯を装着するというものになります。歯を失ったときには入れ歯やブリッジという治療方法もありますが、これらが保険診療でも対応できるのに対し、インプラント治療は基本的に自費診療となり、料金が高くなります。

しかし、天然歯のようにしっかり噛むことができ、見た目も自然なので口元を気にせずに過ごすことができます。また、残っている天然歯にかかる負担が少なくなるなど、さまざまなメリットがあります。

歯科用CTはインプラント治療に欠かせない検査

インプラント CT

インプラントをより安全に骨に埋め込むためには、適切な位置や角度を設定することが重要です。そのために歯科用CTが必要です。一般的なレントゲンの普及率は高いですが、歯科用CTはまだそれほど浸透していません。

歯科用CTの普及率が低いのはコストの負担が大きいことが原因と考えられており、導入していない歯科医院はほかの医療機関に撮影を依頼することもあります。それだけ、インプラント治療にとって歯科用CTは欠かせない検査といえます。

歯科用CTとレントゲンではわかることが違う

インプラント CT

お口の中を撮影できる装置には、歯科用CTのほかにレントゲンがあります。多くの方に馴染みがあるのはレントゲンかと思われますが、この2つの装置には違いが多くあります。歯科用CTでは3次元的にみることができます。

レントゲンだけで確認が難しかった部分も確認することが可能となり、診断や治療もより精密にできます。。一方、CT以外のレントゲンでわかることは一体なんでしょうか。それぞれの特徴をまとめました。

歯科用CTでわかること

歯科用CTはお口の中を立体的な画像として再現できる装置で、顎骨の厚みや量、密度なども把握できるほか、血管や神経がどこを走っているのかも確認できます。また、さまざまな角度から確認できるので、インプラントを埋入するべき位置や角度もより正確に設定でき神経や血管を傷つけずに手術を行えるようになります。

こうした情報はレントゲン撮影では得られないため、インプラント治療を行う場合、歯科用CTによる撮影は基本的に不可欠だと考えられます。

レントゲンでわかること

パノラマなどのレントゲン画像は二次元的なもので、歯は断面的に撮影されます。また、虫歯や歯周病の有無なども調べられるほか、銀歯やインプラントのような人工物は透明感がない白色のものとして写ります。

顎の骨の状態なども写りますが、あくまで平面的なイメージとして確認されるものになります。歯科用CTは立体的に確認できるので、情報量がCTに比べると少ないです。

CTなしでもインプラント治療は可能?

インプラント CT

歯科用CTがまだ普及してない頃は一般的なレントゲンによる診査や歯科医師の経験などをもとに治療計画が立てられ、インプラントを埋入する手術が行なわれていました。CTを撮影しなくても問題がなかったケースもあるようですが、一部では神経や血管を損傷してしまうトラブルが起きた例もあります。

トラブルが起きないようにインプラント治療のために歯科用CTを導入する歯科医院が増えています。歯科用CTを活用しなくてもインプラント治療自体は可能ではありますが、安全を確保するために必要性は高いといえます。国民生活センターには、インプラント治療に関する相談が2013年度以降の約5年間で409件寄せられており、なるべくリスクを回避することが求められます。

参考:国民生活センター

CTなしでインプラント治療をする場合のリスク

インプラント CT

CTなしでインプラント治療を行った場合のリスクとして考えられるのが、噛み合わせがアンバランスになってしまう可能性があることです。噛み合わせのバランスが崩れることで、肩こりや頭痛、酷い場合には顎関節症を引き起こしてしまう可能性があります。インプラントは適切な位置に埋め込まないと噛み合わせが崩れるかもしれません。

インプラントはあくまで外科手術であり、術前には十分な検査を受ける必要があります。パノラマレントゲンは2次元的な画像ですが、CTは立体的な情報を得ることが可能ですので、安全な治療を受けるために受けましょう。

歯科用CTに注意が必要な方

インプラント CT

インプラントを入れている場合、歯科用CTを撮影される上で問題がないか不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。通常インプラントはチタンといったCTに影響のない金属が使用されています。そのため、基本的にインプラントを使用していたとしてもCTは可能です。

インプラント治療や歯科用CTについてよくある質問

インプラント CT

歯科用CTに関してよく聞かれる質問や、インプラント治療について見られる疑問などについてまとめました。インプラント治療を行ううえで欠かせない1本あたりの費用相場や、歯科用CTにかかる費用、撮影によって被ばく量がどれくらいになるか、といったことについて解説しています。

インプラント治療を開始する前に、疑問点を洗い出して不安をしっかりと解消しておきましょう。

インプラント治療1本あたりの費用相場は?

インプラント治療にかかる費用の相場は、1本あたり300,000円~400,000円くらいと考えられます。歯科医院によって価格が異なるため、事前の確認が必要です。また、インプラント治療は一部の症例を除いて健康保険が適用されません。

インプラントは入れ歯やブリッジと比較するとやや高額にはなるものの、一般的に寿命が長いため、コストパフォーマンスに優れていると言えます。

2023年5月 株式会社メディカルネット調べ

歯科用CTにかかる費用はいくら?

歯科用CTの相場は、10,000円~20,000円くらいと考えられてます。原則として健康保険は適用されない場合が多いです。そのため、ある程度の料金がかかると想定しておくとよいでしょう。価格は歯科医院によって差があるので事前にチェックしてください。ただし、症例によっては保険が適用されるケースも存在しています。

2023年5月 株式会社メディカルネット調べ

歯科用CTの被ばく量はどのくらい?

体内を撮影する装置で気になることのひとつが、撮影による被ばく量です。歯科用の一般的なレントゲン撮影は1回あたり0.01ミリシーベルトで、歯科用CTは1回あたり0.1ミリシーベルトとされています。こうした被ばく量は、自然放射線被曝量1年分(1.5ミリシーベルト)に比べてとても小さい数値です。

参考:公益社団法人 東京都歯科医師会

インプラント治療後にMRI検査を受けても大丈夫?

基本的にインプラント治療後にもMRIを受けることは可能です。一般的なインプラントは非磁性体と呼ばれるチタンであるため、MRIへの影響はないとされています。

インプラント治療の費用を抑える方法はないの?

インプラントは健康保険が適用されず、高い技術力が求められるため費用が高額となってしまいます。結論からお伝えすると、インプラントの費用総額を安くすることは難しいです。ただし、デジタルローンを活用することによって1回あたりの支払額を抑えることは可能です。

すべての歯科医院で使えるとは限りませんが、一括払いがどうしても厳しい場合の選択肢として活用することはできます。

まとめ

歯科用CTは、インプラント治療をより安全に行うためには受けた方がよい検査だといえます。歯科用CTによる検査がなくてもインプラント治療を受けることはできますが、神経や血管の位置を正しく把握できず、手術で傷つけてしまうリスクが生じます。

インプラント治療をより安全に受けたい場合は、歯科用CTを導入していて操作に慣れている歯科医院を選ぶ方が良いでしょう。検査結果を正しく把握し、適切な診断を受けることにつながります。

記事監修

記事監修:古川雄亮
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。