歯茎が痩せているとなぜトラブルが起きやすいの?

歯茎は、歯周病や加齢、歯ぎしり強い力での歯磨き、矯正による歯の移動などによって痩せてしまうことがあります。痩せてしまった歯茎は健康な歯茎と比べ、トラブルを引き起こす要因となります。ここでは、歯茎が痩せた場合のトラブルや歯茎が痩せている部分にインプラント治療を行う場合の手術について、ご紹介致します。

更新日:2020/10/29

■目次

  1. 歯茎の表面の構造
  2. 角化歯肉が不足している場合のリスク
  3. インプラント治療を行う場合の歯茎の移植手術
  4. 記事監修

歯茎の表面の構造

ひっぱると動く歯茎、動かない歯茎
歯茎は大きく2つに分けられます。

A.角化歯肉・・・コラーゲン繊維が多くて丈夫な部分
B.歯槽粘膜・・・コラーゲン繊維が少なく傷つきやすい部分

顎の骨に付着していて、頬や唇をひっぱっても動かないのが『角化歯肉』、ひっぱると動くのが『歯槽粘膜』です。一般の方でも簡単に見分けることができます。

角化歯肉が不足している場合のリスク

角化歯肉』が少ないと、次のような歯茎のトラブルを引き起こす可能性が高くなります。

・歯ブラシの圧に弱く、歯茎が退縮しやすい(痩せやすい)
・ブラッシング時に痛みを感じ、磨くことにテクニックが必要になる
・頬や唇の動きにによって歯茎がひっぱられて動くため、歯と歯茎の間(歯周ポケット)に汚れが溜まりやすくなる

インプラント治療を行う場合の歯茎の移植手術

インプラント治療を受けた場合も歯茎が痩せている、角化歯肉が少ないと上記のようなリスクがあります。
インプラント治療を行う際に『角化歯肉』の幅が少ない、またはほとんど無い場合にはトラブルを避けるために、インプラント治療と並行して歯茎の移植が行われます。歯茎の移植手術には、下記の方法があります。

1. CTG:Connective Tissue Graft(結合組織移植)
2. FGG:Free Gingival Graft(遊離歯肉移植)

【治療の適応】
・歯の根っこが歯茎から大きく露出している場合
・重度の歯周病によって抜歯し、角化歯肉が足りない場合
・骨移植を伴うインプラント治療で、角化歯肉が足りない場合

CTG・FGGにつて詳しくはこちら
>>下がっている歯茎を移植によって増やす治療「CTG」
>>下がっている歯茎を移植によって増やす治療「FGG」

歯茎が痩せてしまうと様々なリスクがあります。お口の中に違和感や問題が起きたら、早めに歯科医院へ相談に行くようにしましょう。
また、日頃から適切なお手入れを行い歯とお口の中を守ることによって、歯茎が痩せてしまうリスクを軽減できます。
歯茎の移植手術が行えるかどうかは、患者さんのお口の中の状態によって異なりますのでよくご相談ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。