歯がきれいな芸能人がインプラントを選択するわけ

白くきれいな歯並びといえば芸能人やモデルをイメージされますよね。 「芸能人と同じようなきれいな歯にしたい」と考える方も多いでしょう。 では、芸能人は歯を失った時にどの治療を選んでいるのでしょうか? 入れ歯の芸能人はあまり見かけませんよね。 実は芸能人の多くは歯を失った後、「インプラント」治療を選択しているのです。 この記事では、芸能人はなぜインプラント治療を選択するの?本当に芸能人はインプラントをしているの?といった疑問についてお答えします!

更新日:2021/08/16

■目次

  1. 芸能人の口元はきれい
  2. 芸能人がインプラント治療を受けている4つの理由
  3. 芸能人はみんなインプラントをしている?
  4. 「インプラント」と「セラミック」は違う治療
  5. まとめ

芸能人の口元はきれい

テレビや雑誌、ネットで芸能人を見ると、歯がとても白くてきれいに見えませんか?

最近は俳優やモデルさんだけでなく、タレントやお笑い芸人の方も白くきれいな歯並びの方が増えています。

誰がどんな治療を受けたのか、いつのタイミングで変化があったのかなどをまとめている記事もあるほど、ファンや視聴者は口元をよく見ており、芸能人は口元をきれいにすることを重視しているようです。

実際、○○はインプラントをした、セラミック治療をした、なんて噂は絶えませんよね(正しい情報かはわからないものですが…)。

また、芸能人は海外での活動をしている、視野に入れている方は特に口元を美しくしている傾向にあります。

海外では口元の印象は日本以上に重要視されており、お金があるのに口元をきれいにしないのは、身だしなみを整えていないのと同じように思われてしまうんだとか。

日本では可愛いとされる「八重歯」は海外では非常に悪い歯並びであるとされ、可愛いとはかけ離れていることが話題になりましたよね。

芸能人がインプラント治療を受けている4つの理由

きれいな歯が重要な芸能人。

なぜ芸能人はインプラント治療を選択するのでしょうか?

それには4つの理由があります。

失った歯を補うため

歯周病や虫歯、ケガで歯が抜けてしまったなど、さまざまな理由で歯を失った場合に歯を補う治療としてインプラント治療を行います。

インプラントは他の人から気付かれにくく、自然な見た目なことから芸能人にとって歯を補う治療にインプラントを選択することは大きなメリットになりますね。

ブリッジや入れ歯と比べると発音や発声への影響が少ないため、よく喋る方や歌手の方なんかも選択しやすいのではないでしょうか。

また、噛んだときの違和感も少ないので食レポのような仕事では大事なポイントになりそうですね。

入れ歯では食事後や就寝前に外してきれいに掃除をする必要がありますが、インプラントでは取り外す必要はないため、ロケや旅番組などの収録でも安心なのかもしれません。

歯並びを治すため

芸能人の場合、歯並びを治すための方法としてインプラント治療が選択されていることもあるようです。

一般的に、歯並びを治す治療といえば歯列矯正が選択されますが、時間がかかるうえ、表側にブラケットを装着していると矯正をしているとはっきりとわかってしまいます。

裏側矯正やマウスピース矯正を選択している芸能人もいるようですが、話しにくい、定期的に通うことが難しいなどの問題点もあるようです。

軽度の歯並びの不正であれば白い被せ物(セラミック)で歯並びをよく見せる処置ができますが、歯の位置によっては適用できません(歯を削るため、脆くなるなどの問題も起こり得ます)。

そのため、歯並びからズレている歯を抜き、理想とする歯並びの位置にインプラントを埋め込むことで短期間に歯並びをきれいにしているようですね。

日々収録が続いて多忙であり周囲にバレないように短期間で歯並びをよくしたい、芸能人ならではの方法と言えるでしょう。

長期間・頻繁に通院ができないから

虫歯が大きくなったり、歯の根の先に炎症が起きると歯の神経を取り除き歯の根の治療を行う「根管治療」が必要となります。

根管治療では頻回に繰り返し通院しなければならず、長期的に治療を受けなければいけないケースが多いのです。

しかし、歯科医院が空いている時間に、短いスパンで定期的に歯科医院に通院するのが難しいのが芸能人。
数少ない空いた時間ですぐに治療を完了させたい!

そこで短期間に治療を終わらせるために、治療ができる歯でも抜歯を選択し、インプラント治療を実施する、というケースがあるのかも。

インプラント治療も1度で完了するわけではありませんが、インプラントを埋め込んだ直後から仮歯をつけることで、治療がすべて完了していなくても見た目は十分にカバーできるでしょう。

インプラントと骨がしっかりくっついた後、スケジュールに余裕が出てから最終的な被せ物を作りに行くことで、歯がない期間はほぼなくすことができますね。

高額な費用を払うことができるから

インプラント治療は原則自費治療(治療にかかる全額自己負担)です。
自費治療は高額なため、一般の人では費用の目途が付かず、公的医療保険を適用した入れ歯やブリッジの選択をするしかないことも。

しかし、人気のある芸能人ならば多少高額な治療費でも支払うことができるのです。

短期間で治療が終えられるうえ、見た目も自然で仕事に影響が出ない(もしくは白い歯になってメリットがあるくらい)ならば、インプラント治療が有力な候補になるのも頷けますね。

治療をすれば残せた歯をインプラント治療にしてしまうことは一般的にはもったいないと考えられていますが、芸能人にとっては仕事に影響が出ないというポイントが大きいのではないでしょうか。

芸能人はみんなインプラントをしている?

歯科医院では「芸能人のように白い歯にしたいので、インプラント治療をしたい」と希望される患者さんも多くいらっしゃいます。

インプラントを希望する患者さんの中には、芸能人はみんな白くきれいな歯並びにするためにインプラントをしている、と思っているようです。

たしかに歯がきれいな芸能人の中にはインプラント治療を受けたことを公言している方もいますよね。
しかし、白くきれいな歯並びの芸能人全員がインプラントをしているわけではありません。

歯が白くきれいな芸能人を見て「歯を全部インプラントにした!」と思われるようですが、歯を白くするためだけにすべての歯を抜き、インプラントにすることはまずないと言えるでしょう。

芸能人が歯を白くするために行っている治療は、歯を抜いて行うインプラントではなく、自分自身の歯を土台として被せ物をする「セラミック」なのです。

では、インプラントとセラミックは何が違うのでしょうか?

「インプラント」と「セラミック」は違う治療

どちらも芸能人が歯を白くするために行っている治療だと思っている方も多いのではないでしょうか。

実は「インプラント」と「セラミック」は大きく違う治療です。

歯の根があればセラミック

自分自身の歯の根が残っている場合、自分自身の歯を土台としてセラミックの被せ物を被せて歯を白くすることができます。

残っている歯の根が少ない場合は、自分自身の歯の根に人工的な土台を付け、その上から被せ物をする「差し歯」での治療が行われています。

自分自身の歯は残っているほうが良いと言われているため、いくら芸能人でもただ歯を白くするために健康な歯を抜き、インプラントにしているとは考えづらいですね。

自分自身の歯を削り、白いセラミックの被せ物を被せている方が多いでしょう。

より強度を求める場合は「ジルコニア」という素材を使って被せ物を作製しているかもしれません。

歯の根がない場合はインプラント

抜歯などで自分自身の歯が根も含めてすべてない部分に、人工歯根(インプラント体)を埋め込み、失った歯を補う治療がインプラントです。

一般的には失った歯を補う治療であり、自分自身の歯が健康に残っているのにわざわざ抜いてインプラントにすることはあまりありません。

ですが、インプラントを埋め込んだ後に最終的に付ける人工歯は上記でご紹介したセラミックやジルコニアのため、見た目はセラミック治療とほとんど変わりません。

そのため、インプラントとセラミックの治療内容が曖昧になり、白い歯にしたいからインプラントを希望する、という患者さんがいらっしゃるようです。

また、○○はこの治療をしていたから同じ治療を!という方も。
ですがネットの記事は正確でないものもありますし、お口の状態によってベストな治療方法は異なります。

芸能人のように白い歯にしたい!という場合は、まずは歯科医院で自分自身の歯の状態を検査してもらい、歯の根が十分に残っているようならセラミック、歯に大きな問題があるようならインプラントにするなどよく相談して治療を選択してみてくださいね。

まとめ

白くきれいな歯並びの人が多い芸能人。
同じようにきれいな口元になりたいと憧れる方も多いでしょう。

既に歯を失っているけれど芸能人のような口元になりたい!という方はぜひインプラント治療を検討してみてくださいね。

ですが、ただ好きな芸能人と全く同じ治療を希望するだけでは結果的に損してしまうかも。

お口の中は人それぞれ異なるため、理想とする口元を明確にして、歯科医師と治療方法をよく相談して、理想のお口元に近付けてくださいね。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。