インプラントって折れたりするの?考えられる原因は?

歯科のインプラント治療で使用される金属は機能性や耐久性に優れています。また、見た目も義歯(入れ歯)やブリッジ自然なので、もし歯が抜けてしまった際、インプラント治療を検討するという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 さまざまなメリットがあるインプラント治療ではありますが、主に金属によって構成された人工の歯なので、破損してしまうこともあります。ときには、インプラントを構成する部品が折れてしまうというケースもあるのです。 この記事では、インプラントが折れたときのケースや、それぞれの対処法などについて解説します。

更新日:2021/12/09

■目次

  1. インプラントの構造
  2. インプラントが「折れる」とはどんな状態
  3. インプラントが折れてしまったときの対処法ってあるの?
  4. 1.フィクスチャー(人工歯根)が折れたとき
  5. 2.アバットメント(連結部分)が折れたとき
  6. 3.インプラント体とアバットメントを留めるネジが折れたとき
  7. まとめ

インプラントの構造

・フィクスチャー(人工歯根)
顎の骨に埋め込むことで、歯根の役割を果たす部位です。フィクスチャーの素材であるチタン合金が顎骨の結合し、強く噛めるようになります。

・上部構造(人工歯)
実際に食べ物を噛んだりする歯の部分にあたります。ほかの人から見て不自然にならないよう、セラミックなどを素材とした白い人工歯が使われます。

・アバットメント(連結部分)
フィクスチャーと上部構造を連結させるための部位です。フィクスチャーと顎骨が結合した段階でフィクスチャー側に取り付け、その上に上部構造を連結させます。

インプラントが「折れる」とはどんな状態

インプラントが壊れる原因として、インプラントを構成する部品が破損する以外に、噛みしめるときの強い力などもあります。インプラント治療では、患者さんの骨格などから噛み合わせの強さなどを想定してインプラントを作製しますが、噛む力によってインプラントが折れることが稀にあるのです。
また、インプラントの経年劣化によるものや、定期的にメンテナンスを受けなかったなど、インプラントが折れる理由としてはさまざまなことが考えられます。

インプラントは複数の部品によって構成されているため、どの部分が折れたかによって修理の方法などが異なります。フィクスチャーは骨と結合しているため、周囲の骨とともに取り出さなければならなくなるなど、場合によっては修理の難易度が高くなります。

インプラントが折れたときの状況としては、下記のようなものが挙げられます。

1.フィクスチャー(人工歯根)が折れる
2.アバットメント(連結部分)が折れる
3.フィクスチャーとアバットメントをつなぐネジが折れる

インプラントが折れてしまったときの対処法ってあるの?

もし、使っているインプラントが折れてしまったら、どのような対処法があるのでしょうか?
インプラントが折れた部分ごとの対処法についてまとめました。

1.フィクスチャー(人工歯根)が折れたとき

フィクスチャーは顎骨と結合しています。そのため、フィクスチャーが折れたときは周囲の骨と一緒に削り取る作業が必要になります。しかし、残った骨の量などによってはインプラントを再び入れられなくなる可能性もあるので、注意が必要です。
骨と結合しているフィクスチャーだけを骨から離して取り除く「フィクスチャーリムーバー」というツールを用意している歯科医院もあるので、担当の医師に相談してみるのもよいでしょう。

2.アバットメント(連結部分)が折れたとき

アバットメントも度重なる力負担によって金属疲労を起こし、折れてしまうことがあります。アバットメントの一部がインプラント本体に残ることもあります。これを取り除くことができれば、インプラントの下部構造に傷を与えることなく修理することができます。
もし残留したアバットメントが取り出せない場合は、インプラント全体を撤去して再びインプラントを埋入する可能性があります。

3.インプラント体とアバットメントを留めるネジが折れたとき

もし、使っているインプラントが折れてしまったら、どのような対処法があるのでしょうか?
インプラントが折れた部分ごとの対処法についてまとめました。

まとめ

インプラントは耐久性や機能優れていますが、金属疲労などによって折れてしまうことがあります。折れた部位によって対処法は異なりますが、破折した部品の一部がインプラント本体に残留してしまうと、インプラント全体を削り取って再び埋入しなければならなくなるかもしれません。違和感が出たら放置せず、すぐに担当の歯科医師に相談してください。また、普段から定期的にメンテナンスを受けるなどし、違和感がなくてもインプラントを適切に管理していくことが大切です。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。