歯科治療は日々進化する! 昔と現在のインプラントの違い

現在入れ歯(義歯)を使っているという方も、さらに歯が虫歯や歯周病で無くなると入れ歯の再製を迫られます。 入れ歯やブリッジ意外に選択肢にあがってくるのがインプラントではないでしょうか。 訴訟問題などによってインプラントに対し良くなかったイメージがあり、不安を覚える方も中にはいらっしゃりますでしょう。 入れ歯は取り外しをして清掃をこまめにする管理が面倒で、見た目もよくありません。 現在のインプラントの特徴を理解し、比較検討してみてはいかがでしょうか。

更新日:2022/11/07

■目次

  1. 昔のインプラント
  2. 進化した現在のインプラント
  3. インプラント治療の失敗率は変わった?
  4. インプラント治療に長けた歯科医院を選ぶ

昔のインプラント

インプラントは失った歯を補う比較的新しい歯科治療で、技術が発展し近年1万件以上の歯科医院で実施されています。


30年近く前に実施されていたインプラント治療の特徴ですが、主にブレードタイプのインプラントが用いられていました。顎の中で固定する金属部分(フィクスチャー部分)が薄い板のような形をしています。

以前は多く使用されていましたが、問題点もありました。
板のような形をしているために手術で歯肉を大きく切らなければならず、顎骨への侵襲も高かった点です。

また、ブレードのほとんどの部分が顎骨と結合するため、トラブルが起きてインプラントを除去するときに顎骨を大きく削らなければならなくなります。
最近では、ブレード型のインプラントをずっと使ってきた方の中に、インプラントがグラグラするなどで除去を希望される方もいらっしゃいます。

進化した現在のインプラント

現在のインプラントでは、上記で紹介したブレードタイプのものはほとんど使用されていません。

現在使用するインプラントはネジをドライバーで埋め込むようなもので、ブレードタイプよりも顎骨に対する侵襲性が低くなっています。

また、インプラント材料の改良で顎骨との親和性が高くなり、しっかりとインプラントが顎骨と固定されるだけでなく、万が一トラブルが起きたときには埋め込んだねじをドライバーで外すようなものなので、体への負担を最小限に抑えられます。

ブレードタイプのインプラントに比べると、歯茎や顎骨へのダメージや術後のトラブルは少なくなっています。

インプラント治療の失敗率は変わった?

また、インプラントがより安定して使えるようになった要因と考えられるのが、治療システム内容の向上です。

インプラントの手術では顎骨に穴を開けてインプラントを埋め込むため、出血したり神経を傷つけるリスクが伴います。

出血や神経麻痺のリスクを軽減するために、最近はCTを導入する歯科医院が増えています。
CTはお口の中の血管や神経、それに骨の形や固さなどを三次元的に撮影できる装置で、インプラントを埋め入れる上で必要な情報を事前に把握でき、より安全に手術を受けられるようになりました。
CTの3次元データをもとに「サージカルガイド」と呼ばれるマウスピースに近い装置を作製することもできます。サージカルガイドによってインプラントを埋め込む位置や角度などを計画した通りに埋めいれることが可能です。。より安全に治療を受けられるので、患者さんへの侵襲性も下がります。

治療器具を清潔にするための滅菌器や消毒システムも進化し、訴訟問題などによって衛生管理も以前より徹底されていると考えられます。

インプラント治療を安全に受けられるためのさまざまな対策が歯科医院で施されており、以前に比べて治療が失敗するケースは減っているのではないでしょうか。

インプラント治療に長けた歯科医院を選ぶ

インプラント治療は入れ歯やブリッジなどと違い、基本的には自費です。

インプラントの技術や学識は、歯科医師であれば誰でも同じレベルを有しているというわけではありません。
そのため、インプラント治療を受ける場合は歯科医院選びが大事になってきます。

インプラント治療の情報を常に取り入れ、しっかりとした実績があり、治療計画などを丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶとよいでしょう。

歯科医院の比較検討の際にウェブサイトを見ることがあるかと思いますが「最新の機器」「最新の治療」といううたい文句には注意が必要です。

現在の医療広告ガイドラインという法律では、こうした比較優良を表す表現は禁止されています。
そのため、こうした表現が残っているサイトは、長年更新されていない古い情報の可能性があります。

複数の歯科医院に足を運び院内の様子を実際に見て、歯科医師の話を伺ったうえで比較することが大切です。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。
歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。
2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。