インプラントは失敗したらやり直しできる?再治療が必要な症例や費用は?

失った歯をインプラントにしたものの、「最近ぐらつく」「しびれを感じる」といった違和感がある場合、治療が失敗した?と不安になりますよね。 この記事では、インプラントを失敗した場合にやり直しができるのか、どのようなケースで再治療が必要になるのか、などを詳しく解説します。

更新日:2026/03/16

■目次

  1. 記事のポイント3つ
  2. インプラントはやり直しができる?
  3. インプラントのやり直し(再治療)が必要な主な症例
  4. インプラントが骨と結合せずにグラグラしている
  5. 人工歯にトラブルが生じた
  6. 治療後に麻痺やしびれが続いている
  7. インプラント周囲炎になった
  8. インプラントのやり直しが難しいケースとは?
  9. あごの骨の量が少ない
  10. 喫煙量が多い
  11. 健康状態に問題がある
  12. インプラントのやり直しにかかる費用
  13. インプラントのやり直しは他院でもできる
  14. インプラントのやり直しを繰り返さないために注意したい4つのこと
  15. 実績のある歯科医院を選ぶ
  16. 歯科医院での定期的なメンテナンスを欠かさない
  17. 歯磨きなどのセルフケアを徹底する
  18. 生活習慣を改善する
  19. まとめ
  20. 記事監修

記事のポイント3つ

・インプラントに不具合があれば、一般的に治療のやり直しができます。
・インプラントのぐらつきや麻痺がある場合、より大きな問題が起こる前にやり直しが必要です。
・ただし、あごの骨の量が少ない、喫煙習慣がある、健康状態に問題があるといった場合、再治療できない可能性が高いとされています。

インプラントはやり直しができる?

一般的にインプラントの成功とは、以下を基準としています。

・患者さんと歯科医師が治療に満足していること
・インプラントに痛みや麻痺の異常がないこと
・インプラントのぐらつきがないこと
・治療1年以降でインプラント周囲の骨吸収が0.2mm以下であること


インプラントは入れ歯やブリッジの治療よりも寿命が長く、一度埋入すれば長期間の使用が可能です。しかし、不具合や違和感が出てくる場合があり、放置しているとさまざまな問題を引き起こす恐れがあります。


インプラントは成功率が高い治療といえますが、外科手術である限り必ずしも100%ではありません。インプラントのやり直しは可能ですので、気になる点があれば歯科医師に再治療の相談をしましょう。

インプラントのやり直し(再治療)が必要な主な症例

以下のような症状に当てはまる場合、インプラントのやり直しが必要なことがあります。

インプラントが骨と結合せずにグラグラしている


インプラント(人工歯根)があごの骨に埋め込まれた後に結合することで、天然歯のような快適な噛み心地を得られる点が特徴です。
埋め込んだインプラントがグラグラと動揺している場合、あごの骨と上手く結合できていない可能性があります。原因として、あごの骨の量や高さが足りなかった、治療後にインプラント周囲のあごの骨が歯周病により溶けてしまったなどが考えられます。

人工歯にトラブルが生じた

インプラントのやり直しでみられるのが、上部構造(人工歯)が破損したり外れたりするケースです。

人工歯に不具合があれば、食べ物を噛む機能に問題が生じるほか、徐々に全体の噛み合わせが悪くなって頭痛や肩こりなど体の不調につながるリスクもあります。

人工歯が欠けた、外れた場合、歯科医師に相談しましょう。

治療後に麻痺やしびれが続いている

インプラントを埋め込む外科手術が原因で、顔面の麻痺やしびれが生じることがあります。

多くの場合、手術後1週間程度で徐々に痛みや腫れはおさまっていきますが、時間が経っているのに不快な症状が改善しない場合、神経や血管の損傷・圧迫が原因かもしれません。

症例によっては神経の修復治療などが必要となります。

インプラント周囲炎になった

インプラント自体が虫歯になることはありませんが、日々のセルフケアや定期メンテナンスを怠っていると、インプラント周囲の歯肉が腫れたり出血したりする「インプラント周囲炎」にかかることがあります。

歯周病のような症状が現れ、歯肉の腫れから歯槽骨の吸収が起き、インプラントが脱落します。

通常歯周病と異なり非常に症状進行が早いため、インプラント周囲の腫れや出血がある場合、できるだけ早く受診しましょう。

インプラントのやり直しが難しいケースとは?

上記のようにやり直しが必要な症例でも、以下のケースは治療できない場合があります。

あごの骨の量が少ない

あごの骨が不足しているとインプラントと骨の結合が不十分となり、インプラントをしっかりと支えることができません。ぐらつきや脱落が起こりやすくなるため、あごの骨の量が少ない場合にはやり直しが難しいでしょう。

ただ、「骨造成」という治療法によってあごの骨の量を増やすことが可能です。

喫煙量が多い

紙巻タバコに含まれるニコチンは血流を悪くする原因となり、あごの骨の代謝(再生)を悪くします。結果、インプラントとあごの骨の結合が不十分となり、治療の失敗リスクが高くなります。

喫煙者のほうが非喫煙者よりもインプラントの失敗率が高いことは、さまざまな論文で報告されています。インプラントのやり直しを希望する場合、歯科医師から禁煙の指導があるでしょう(事前に禁煙することが治療条件になることもあります)。

健康状態に問題がある

インプラントのやり直しで手術が必要となれば、全身の健康状態が大きく関わってきます。糖尿病、高血圧、腎臓病、肝臓病などの持病がある場合、手術によるリスクが高いため、再治療できないケースがあります。

持病の主治医と歯科医師の連携が重要で、まずは持病の治療を優先する場合も少なくありません。インプラントのやり直しができない場合、入れ歯やブリッジといった治療法も選択肢になります。

インプラントのやり直しにかかる費用

インプラントは自費診療であり、歯科医院の値段設定、治療内容、材料などによって費用は大きく異なります。インプラントの埋入からやり直す場合、1本40万円ほどの費用がかかることもあるでしょう。

インプラントは高額な治療法であるため、多くの場合は保証がついています。保証内容は歯科医院により異なりますが、保証期間5~10年としているケースが多く、やり直しの内容次第では無償で対応してもらえます。

ただし保証を受けるには「定期メンテナンスを継続している」などの一定条件がありますのでご注意ください。
2026年3月 株式会社メディカルネット調べ

インプラントのやり直しは他院でもできる

引っ越しでインプラント治療を受けた歯科医院に通えない、次は失敗しないように別の歯科医院で治療をしたいなどの場合、他院でのインプラントのやり直しも可能です。

どこでも治療を受けられるわけではなく、同じインプラントメーカーを取り扱っているかどうかなども重要で、お口やインプラントの状態のチェックが必要です。

「また失敗してしまった」とならないよう、歯科医院の症例(実績)なども確認し治療にのぞみましょう。

インプラントのやり直しを繰り返さないために注意したい4つのこと

インプラントを長持ちさせるためには、歯科医院選びだけでなく、患者さん自身の意識も重要です。インプラントのやり直しを繰り返さないために、以下4つのポイント確認しましょう。

実績のある歯科医院を選ぶ

さまざまな症例実績のある歯科医院であれば、より安心して再治療を任せられるでしょう。

歯科医院のホームページにて、担当歯科医師の症例数や実績を事前に確認しましょう。

また、口腔インプラント指導医、口腔インプラント専門医といった専門資格を保有しているかも判断基準となります。

歯科医院での定期的なメンテナンスを欠かさない

インプラントを長持ちさせるために、治療後にメンテナンスを続けましょう。

セルフケアでは取り除けない汚れをきれいにしてもらえ、インプラント自体や噛み合わせ、歯茎に異常がないかなど、丁寧に確認してもらえます。

実際、メンテナンスを継続している患者さんのほうが、メンテナンスを怠っている患者さんより、インプラントが長持ちするという報告があります。

歯磨きなどのセルフケアを徹底する

インプラント周囲炎を予防するために、毎日のセルフケアは非常に大切です。

歯ブラシで丁寧に磨くことはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスを併用して歯垢を取り除きましょう。インプラント用の歯ブラシや洗口液もあります。

患者さんのお口の状態に適したセルフケアの方法は異なりますので、歯科医院でアドバイスしてもらうのもおすすめです。

生活習慣を改善する

歯ぎしりや食いしばりの癖があると、インプラントに強い負荷がかかり、人工歯の破損につながります。歯科医院でマウスピースを作れますので、一度相談してみてはいかがでしょうか。

また、禁煙など生活習慣に取り組むことも重要です。食生活を整え、十分に睡眠をとり、ストレス発散のために運動することも心がけましょう。

まとめ

インプラントの不具合がある場合には、治療のやり直しが可能です。

特に、インプラントがあごの骨と結合せずにグラグラしている、治療後に麻痺やしびれが続いている、などの症状が続く場合、やり直しが必要になると判断される可能性がありますので、放置せずに歯科医院を受診しましょう。

しかし、あごの骨の量が少ない、喫煙量が多い、健康状態に問題がある患者さんの場合、再治療できない可能性が高いです。

やり直しができるのかを確認するためにも、インプラントに違和感がある場合には早めに歯科医師の診察を受けましょう。

この記事で、インプラントのやり直しに関するあなたの疑問や不安が、少しでも解消されたら幸いです。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開