補助的清掃用具(デンタルフロス・歯間ブラシ)について

インプラント治療後は、磨き残しの少ないお口に

歯ブラシインプラント治療をした後には、丁寧に歯磨きを行う必要があります。磨き残しが多いとインプラントを支える骨や歯茎が痩せ、インプラントが抜け落ちてしまうこともある「インプラント周囲炎」になるリスクが高くなります。「インプラント周囲炎」の原因は、お口の中の汚れに存在する細菌です。「歯と歯の隙間」に付いた汚れは、歯ブラシだけでブラッシングをした場合、半分程度しか除去できないとされています。

お口の中を清掃する道具で、歯ブラシ以外のものを、補助的清掃用具といいます。磨き残しによる細菌の繁殖を無くすため、歯ブラシで清掃した後に使用することをお勧め致します。磨き残しが多い「歯と歯の隙間」・「歯と歯茎の間」に、補助的清掃用具を用いて、お口全体の健康を維持しましょう。補助的清掃用具には「デンタルフロス」「歯間ブラシ」「スーパーフロス」などがあります。ここではそれぞれの特徴と使い方についてご紹介します。

【豆知識―爪楊枝[つまようじ]―】
爪楊枝は、歯に詰まってしまった物を取るには適していますが、補助的清掃道具ではありません。ブラシや繊維で汚れをかき出すものと比べると清掃効率が低く、また、歯茎を傷つけてしまう可能性が高いため、お勧めできません。

デンタルフロス

デンタルフロスは、細いナイロン糸を束ねた物で、歯と歯の隙間が狭い部分に適しています。基本的に“使い捨て”であるとお考えください。
デンタルフロス

■デンタルフロスの糸

1.ワックスタイプ

ナイロン糸の表面を、ロウでコーティングしたものです。滑りが良いので使いやすく、初心者やお口の中に詰め物や被せ物が多い人にお勧めします。
【特長】
  • ロウでコーティングしてあるため、滑りが良い。
  • ミントなどの香料が付いている物もあり、爽快感が得られる。


  • 2.アンワックスタイプ

    ナイロン糸に何も加工していないものです。滑りが悪く扱いづらいので、デンタルフロスでの清掃に慣れてきた人にお勧めします。
    【特長】
  • 糸にコーティングがしていないため繊維に汚れがからみやすい。
  • より多くの汚れを落とすことが出来る。
  • デンタルフロ・スホルダー型の持ち方
    ▲ ホルダー型の持ち方

    ■デンタルフロスの形と持ち方

    1.ホルダー型

    【持ち方】
    持ち手の後方を持ってしまうと、動きが大きくなり、歯茎を傷付ける可能性があるため、図のように持ち手の前方を持ちます。

    2.糸巻き型

    【持ち方】
    PATTERN1 指巻き法
    糸巻き型 指巻き法
    左右の中指に糸を巻く
    糸巻き型 指巻き法
    親指と人差し指で持つ
    1.デンタルフロスを指先から肘の長さ(目安約30〜40cm)で切ります。

    2.左右の中指の第2関節に糸を巻き、糸の間隔が10〜15cmになるようにします。

    3.デンタルフロスを両手の親指と人差し指で1〜2cmの間隔で持ちます。
    PATTERN2 サークル法
    糸巻き型 指巻き法
    薬指・中指・小指で糸を持つ
    糸巻き型 指巻き法
    親指と人差し指で持つ
    1.デンタルフロスを指先から肘の長さ(目安約30〜40cm)で切ります。

    2.輪になるように結びます。

    3.左右の薬指・中指・小指で輪になった糸を持ち、
    糸の間隔が10〜15cmになるようにします。

    4.デンタルフロスを両手の親指と人差し指で1〜2cmの間隔で持ちます。
    【清掃する箇所による持ち方(糸巻き型)】

    ■上あごの前歯
    1.片方の手は親指に、もう一方の手は人差し指で支え、上向きにデンタルフロスを持つ。
    2.片方の手の親指を歯の外側に、もう一方の人差し指は歯の内側にくるように持つ。

    ■上あごの奥歯
    1.両手の人差し指で支え、上向きにデンタルフロスを持つ。
    2.片方の人差し指は歯の外側に、もう一方の人差し指は歯の内側にくるように持つ。

    ■下あごの歯
    1.両手の人差し指で支え、下向きにデンタルフロスを持つ。
    2.片方の人差し指は歯の外側に、もう一方の人差し指は歯の内側にくるように持つ。
    デンタルフロスの動かし方
    ▲ デンタルフロスの動かし方

    ■デンタルフロスの動かし方

    「歯と歯の隙間」にゆっくりと(のこぎりを引くように)通し、「歯と歯茎の間」までデンタルフロスを下ろします(上げます)。歯の面にデンタルフロスを沿わせ、ゆっくり上下に動かし、汚れを除去します。次の「歯と歯の隙間」を清掃する時は、使用した部分をずらして、新しい部分で清掃を行います。

    歯間ブラシ

    歯間ブラシは主にナイロンなどをワイヤーで固定した小さなブラシで、歯と歯の隙間が広い部分に適しています。
    歯間ブラシ
    ▲ 歯間ブラシ
    【使い方】
    えんぴつを持つように歯間ブラシを持ち、ゆっくりと「歯と歯の隙間」に入れたら、ゆっくりと抜きます。その動作を繰り返して汚れを除去します。

    【形状】
    歯間ブラシの形状にはストレートとL字型の2種類があります。ストレートのものを奥歯に使用するときは、ワイヤーを曲げてL字型にして使用すると、操作しやすいです。

    【サイズ選び】
    歯と歯の隙間に合わせられるように、直径が少しずつ異なる約5?6種類の歯間ブラシがあります。選び方の基本は「歯と歯の隙間」に抵抗なく挿入できるものです。しかし、一人ひとりのお口の状態によって、サイズや挿入角度が異なりますので、使用経験が無い人は、歯科医院で指導を受けることをお勧め致します。交換時期は、歯間ブラシの毛が乱れた時や、短くなった時です。そのまま使用すると、ワイヤー部分が露出し、歯茎やインプラントを傷つけてしまう恐れがあります。

    【使用上の注意点】
    歯間ブラシが「歯と歯の隙間」に通らない場合は、歯間ブラシの大きさが合っていない、もしくは挿入角度に誤りがある可能性があります。歯科医院で必ずご相談ください。無理な使用を続けると、歯茎がすり減る可能性があります。

    スーパーフロス

    糸巻き型のデンタルフロスとは異なり、スーパーフロスの両端は「歯と歯の隙間」に通すためのもので、清掃は中央に膨らみのあるナイロン繊維部分を使って行います。歯ブラシや歯間ブラシが入らないところの清掃が可能となります。ブリッジタイプ(※1)やAll-on-4(※2)などのインプラント治療を受けた場合は、人工歯と歯茎の間に隙間が存在するため、スーパーフロスでの清掃が適しています。

    (※1)ブリッジタイプのインプラントとは?
    歯を3本以上失った方の治療法で、必要本数だけのインプラントを埋めこみ、そのインプラントを支えにして、失った歯の本数だけの連結した人工歯を装着する。

    (※2)All-on-4とは?
    総入れ歯をお使いの方や、多くの歯を失った方の

    治療法で、必要最少本数である4本のインプラントをバランスよく骨に埋め込み、そこに日常生活に必要な12本の歯が連結した入れ歯の様な人工の歯を装着する。

    【豆知識―歯の清掃中の出血―】
    歯の清掃中に、歯茎に痛みを感じないが出血する理由のほとんどが、清掃不十分によるものです。炎症の原因である歯垢をきちんと除去する事が出来れば、出血しなくなります。しかし、痛みがある出血は、歯茎になんらかの問題が生じているので、歯科医院で受診することをお勧め致します。