インプラントにしたら内出血斑が出た!?起きやすい問題をまとめて解説

インプラント経験者の友人から「手術をしてから顔に内出血斑が出た」という話を聞いたことはありますか。「自分もこれからインプラント手術を受けようと考えているけれど内出血斑ができたらどんなリスクがあるの?」と心配している方もいるのではないでしょうか。

インプラント後の内出血斑は女性に多く見られる傾向ですが、基本的に過度の心配は必要ありません。今回は、内出血斑などインプラント治療後に起こりやすい問題や、インプラント埋入後に注意すべき5つのポイントについて、詳しく紹介していきます。

更新日:2024/04/29

インプラント 内出血

■目次

  1. インプラントにすると内出血斑が出る場合がある
  2. 内出血斑が出た場合の対処法
  3. 内出血斑以外で起きやすいインプラントの5つの問題・トラブル
  4. インプラントにしたら注意したい生活上の5つのポイント
  5. まとめ

インプラントにすると内出血斑が出る場合がある

インプラント治療では手術に伴って、頬、顎、首などの皮膚の表面に、内出血斑(あざ)が生じる場合があります。男性に比べて女性の方が出やすいとされていますが、術後2~3日がピークで、基本的には1~2週間程度で自然に消滅していきます。

こうした内出血斑は、インプラント治療に伴う骨の再生療法(GBR)を行ったり、親知らずを抜歯した際に、特に発生しやすくなると言われています。

内出血斑が出た場合の対処法

インプラント 内出血

インプラント治療の際に内出血斑が出たとしても、基本的に問題はありません。特別な処置を行わずとも、2~3週間程度で消えていき、内出血斑も自然と消えていくと考えられているからです。

ただし、仮になんらかの処置が求められる事態が生じた場合、電気治療、温熱療法、ヘパリン類似物質(ヒルロイド)を行うことによって、改善を図っていきます。

内出血斑以外で起きやすいインプラントの5つの問題・トラブル

内出血斑以外にも、インプラント治療の際に起こるトラブルは存在します。具体的な例としては、以下の5つが挙げられます。

痛みや腫れ

インプラント手術の際に行った麻酔が切れた後に、痛みが出てくる場合があります。また、インプラントの手術においては歯茎の切開を行うため、手術後に数日にわたって腫れが生じる恐れもあります。

基本的に症状は手術から2~3日がピークであり、痛みや腫れが続くのは1週間程度です。手術後に処方される痛み止めを服用していれば問題ない場合が大半ですが、症状がひどい場合は早めに担当医に連絡して判断を仰ぐといいでしょう。

麻痺

下の顎骨の中には「下歯槽神経」という神経が身体の左右を通っており、末梢部にある神経は「オトガイ神経」と呼ばれます。インプラント手術の際に、下歯槽神経を傷つけてしまうと、麻痺が発生する可能性があります。

具体的には、手術で下歯槽神経、オトガイ神経を傷つけると、下唇から下顎にかけて知覚に異常が出たり、舌神経の知覚異常が起こることがあります。症状は時間とともに回復していくことが多いですが、神経の損傷度合いによっては、手術前の状態に戻らないケースも存在します。

初期固定が得られない

インプラント体と骨の結合が上手くいくかどうかには、インプラントを骨に埋入直後のインプラントの固定具合「初期固定」が大きく影響します。初期の段階において、手術部位を舌で押すなどの行為を行うと、固定が悪くなる恐れがあります。

また、骨が軟らかったり、骨の厚みが不足している場合も、初期固定が弱くなってしまいます。顎骨の状態が良くない場合は、事前に骨形成手術を行い、骨の十分な厚みが得られればインプラント手術を行います。

インプラントが骨とくっつかない

インプラント手術の際に、インプラントと骨がうまく結合しないことがあります。原因としては、初期固定が得られなかったケースに加え、ドリルの摩擦熱が加わりすぎてオーバーヒート状態になり、骨が火傷のような症状を起こして骨組織が壊死することで骨結合が起こらなくなる場合もあります。

また、インプラント埋入時の位置・角度・深さなどが不適切だと、骨結合に問題が生じたり、インプラントが骨を突き抜けることがあります。さらに、骨粗しょう症や糖尿病、喫煙によって代謝が悪くなっている場合は、骨結合が妨げられる可能性もあります。

不衛生な環境でインプラント埋入を行ったりうがい薬などを用いた手術後のケアを怠ってしまうと、インプラント周囲炎を発症して、インプラントが動揺し脱落する危険性があります。加えて、インプラントを埋入した部分に強い力が加わった場合も、脱落することがあります。

インプラントが外れてしまう

インプラント手術自体が上手くいった後に装着される人工歯が外れたり、壊れてしまう場合もあります。インプラントと人工歯をつなぐ「アバットメント」と呼ばれる支台部が緩くなっていると、トラブルが起き得ます。

また、インプラント部分の噛み合わせの調整が不十分だと、噛む力が人工歯に過大な負荷がかかってしまい、最終的には人工歯の脱落や破損につながりかねません。さらに、歯ぎしりなどの癖がある場合も人工歯の負担が大きくなるため、注意が必要です。

インプラントにしたら注意したい生活上の5つのポイント

インプラント 内出血

インプラントの治療は、手術が完了したら終わりではありません。以下に挙げる5つのポイントを頭に入れておくことによって、術後のトラブルをできる限り減らせるでしょう。

食事はやらわかいものを選ぶ

インプラントを入れた後は、香辛料が多く入った刺激物、固いもの、粘着性の強いものは避けましょう。刺激物は血流を促すため、出血・腫れ・痛みなどの原因になります。また、酸っぱいものや甘いものも、手術で生じた傷口を刺激しやすいため、術後1週間ほどはある程度控えるとよいでしょう。

さらに、固い食べ物はインプラント体や人工歯にダメージを与えやすいため、極力食べるのを控えるのが好ましいとされます。氷やアメなどを口に含む際にも、固いので噛み砕かないように注意しましょう。粘着性の強いものも仮歯や人工歯が取れる事態を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

インプラントの手術からしばらくの間は、軟らかいものや、あまり熱くないものを摂取するのがおすすめです。具体的には、おかゆやスープ、うどんやそば、雑炊、ヨーグルト、ゼリー飲料といった、あまり噛まなくても問題なく食事ができるものを中心にしましょう。

処方薬を適切に服用する

通常、手術後には抗菌剤・胃薬・痛み止め・うがい薬が処方されます。薬の種類や服用する期間は、手術の度合いや患者さんの状態によって異なります。医師から処方された薬を、用法用量を守りながら適切に服用することが重要です。仮に薬が合わなかったり、痛み止めが効かなかったりした場合は、担当医にすぐに伝えるようにしましょう。

強い力でうがいをしない

手術直後は傷口がまだ塞ぎきっていないため、強くうがいしてしまうと、治りが遅くなってしまう可能性があります。手術から数日間は、強いうがいや、何度もうがいをする行為は避け、軽くゆすぐ程度に留めた方がよいでしょう。また、うがい薬を使いたい場合も、使用可否を事前に担当医へ確認しましょう。

歯磨きのときに傷口に触れない

うがいと同様に、手術後は歯磨きに関しても注意する必要があります。歯ブラシが傷口に当たってしまうと、傷の状態が悪化する恐れがあるからです。なので、手術から1週間程度は、歯磨きの際にブラシを傷口に当てないように気を付けながらブラッシングを行い、使用する歯磨き粉も少量にしておきましょう。

また、手術直後は傷口への刺激を極力抑えるために、やわらかい材質の歯ブラシを使った方がよいとされています。また、歯磨きの方法について担当医から何らかのアドバイスがあった場合は、それに従いながらブラッシングを行っていくとよいでしょう。

飲酒・喫煙は避ける

アルコールは全身の血液循環を促進させるため、手術後に生じる痛みや腫れが強まったり、傷口の炎症を誘発して、治りが遅くなります。手術前後の期間の特に手術から2~3日は、飲酒を控えることが望ましいです。

また、喫煙者はたばこを吸わない人よりも、インプラント体が骨と結合しなくなる確率が高くなるとされています。喫煙は手術の結果や手術後の経過にも悪影響を与えます。喫煙の習慣があったとしても、担当医に禁煙を指示されたら守ることを心がけましょう。

まとめ

インプラントを埋め込むと、手術後に顔や首などに内出血斑が出ることがあります。2~3週間程度で消えていき、最終的に自然治癒していくため、基本的に心配する必要はありません。

痛み、腫れ、麻痺などの他の問題が起きる可能性はあります。症状の程度によっては歯科医院での処置が必要になるケースも存在します。そのため、手術後に違和感を覚えたり、気になることが出てきた場合は、すぐに担当医に相談して、専門的な判断を仰ぐようにしていきましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。