インプラントを除去!?お口のトラブルや除去する際の注意点

高額な治療費の支払いにより、晴れてインプラントを口の中に入れることができたのに、お口の中のトラブルでインプラントを撤去せざるを得ないこともあります。ここでは、インプラントが撤去になる場合のお口の状況や撤去の注意点についてご紹介します。

更新日:2021/12/07

■目次

  1. インプラントの除去について
  2. 除去となるお口の状態(1):オペ直後に考えられる例
  3. 除去となるお口の状態(2):上部構造(人工歯)接続後に考えられる例
  4. インプラント除去を行える施設
  5. インプラント除去にかかる費用
  6. 記事監修

インプラントの除去について

インプラントに何らかのトラブルが生じ、そのままの状態では支障をきたす場合に、インプラントを顎の骨から除去(撤去、摘出)することがあります。ここでは、除去となるお口の状態や、除去を行える施設、注意点、費用などについてご紹介します。

>>インプラントが抜けて再治療になる要因と注意点

除去となるお口の状態(1):オペ直後に考えられる例

埋め入れたインプラントが周囲組織を損傷した場合
埋め入れたインプラントが周りの歯、神経、上顎洞粘膜などを損傷し、炎症などを引き起こしている場合に除去することがあります。

埋め入れたインプラントに炎症が起こった場合
何らかの原因で埋め入れたインプラントに炎症が起こり、膿が出たり、強い痛みを引き起こしたりしている場合に除去することがあります。

>>治療後に起こりうる様々な症状 -手術直後-

除去となるお口の状態(2):上部構造(人工歯)接続後に考えられる例

重度のインプラント周囲炎の場合
インプラント周囲炎になると、インプラントを支える顎の骨に炎症が進行します。骨が吸収されて(骨が痩せて)しまい、治療を行っても症状が改善されない場合、または回復の見込みが無い場合にインプラントを除去することがあります。

>>インプラント周囲炎とは

埋め入れられたインプラントが破損した場合
何らかの理由でインプラントが欠けたり、折れたりして、アバットメント上部構造を接続できない状態になった場合に骨に埋め入れたインプラント(下部構造)を除去することがあります。

>>治療後に起こりうる様々な症状 -治療後半年以上-

インプラント除去を行える施設

インプラント治療を行う歯科医院や病院であれば、インプラント除去に必要な器具を揃えているところが多く、受けられることが考えられます。しかし、インプラントの製品情報などが分からなければ、除去ができないこともあります。

インプラント治療の資料や埋め入れられたインプラントの製品情報を歯医者さんからもらうことをオススメします。

インプラント除去にかかる費用

【自費診療で受けたインプラントの場合】
◆治療を受けた医療機関以外(他院)で除去する場合
保険診療を取り扱う医療機関であれば保険が適用されます。

費用例(人工歯根タイプのインプラント除去料)
保険診療で除去する場合、460点より、3割負担の場合、インプラント1本につき1500円程度


◆治療を受けた医療機関で除去する場合
基本的に自費となります。ただし、保証の対象となっている場合はその医療機関の規定通りになります。無償、一部負担など、医療機関によって様々ですので、詳しくはお問い合わせください。

このようにやむを得ない状態でインプラントを取り除くことはありますが、「思っていた治療と違うのでインプラントを抜きたい」、「気が変わったのでインプラント治療を止めたい」などの理由で撤去を検討することはお勧めできません。除去にもリスクを伴うからです。どうしてもインプラントを除去したいのであれば、歯医者さんにしっかりと相談してから決断しましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。