インプラントが取れた・外れた・抜けた!原因や対処法、費用を解説

インプラントは治療期間が長く、費用もそれなりにかかるため、大事に使っていきたいと考える方がほとんどでしょう。しかし、なんらかの理由によってインプラントが抜けてしまうことがあります。インプラントが脱落してしまう原因は、どのようなものがあるのでしょうか。取れてしまった場合の対処法について紹介します。

更新日:2025/06/24

インプラント 取れた

■目次

  1. インプラントの構造
  2. インプラントが取れた!原因とは?
  3. ネジの緩み
  4. インプラント周囲炎の影響
  5. 経年劣化
  6. 初期固定を獲得できなかった
  7. 喫煙の影響
  8. インプラントが取れた場合の対処法
  9. 取れた部品を保管する
  10. 歯科医院に連絡する
  11. 部品が取れた部分に負担をかけない
  12. インプラントが取れた場合の注意点
  13. 自分で元に戻さない
  14. できるだけ早く歯科医院を受診する
  15. インプラントが取れた場合にかかる費用
  16. まとめ

インプラントの構造

インプラント 取れた

インプラントは、主にインプラント体(人工歯根)、支台となるアバットメント、上部構造(人工歯)の3つで構成されています。

インプラントが取れた!原因とは?

インプラントが抜けてしまう原因として考えられる原因はいくつかあります。抜け落ちを予防できるケースもあるため、これからインプラント治療を考えている方も知っておくとよいでしょう。

ネジの緩み

人工歯にあたる上部構造と、それを支えているアバットメントは基本的にネジで固定します。噛むことなどによって強い力が加わり続けると、ネジが緩んでしまう場合があります。ネジが緩むとインプラント体が不安定になって動揺するほか、進行するとインプラントが取れる原因にもなります。

インプラント周囲炎の影響

インプラント周囲炎とは、細菌によって周りの組織が炎症を起こしてしまう症状です。はじめは粘膜に炎症が見られますが、進行するとインプラントを支えている骨にも炎症が拡大し骨吸収を起こします。骨が破壊されるとインプラント体が動揺し、さらに重症化するとインプラントが抜けるおそれがあります。

経年劣化

天然歯と似た機能をもつインプラントですが、経年劣化により寿命を迎えることもあります。インプラントを埋入してから10年~15年での生存率はおよそ90%と言われており、およそ1割のインプラントが治療から10年くらいで失われる可能性があります。

参考:厚生労働省

初期固定を獲得できなかった

インプラント治療では、インプラント体を骨に埋入し固定するための手術が必要です。このときに初期固定(インプラント体を骨に埋入したときに固定されること)が獲得できなければ、早い段階で脱落してしまうおそれがあります。

喫煙の影響

生活習慣のなかでインプラントの維持に大きな影響を与えるのが喫煙です。喫煙する人は禁煙している人に比べて、インプラント体が生着しない確率が増加するとされています。つまり、しっかり固定されないためインプラントが脱落する可能性が高くなります。
また、喫煙によって患部の治癒が遅くなり、インプラント周囲炎を引き起こすというケースもあります。
喫煙する人はインプラント生存率が低いことが知られており、これから治療をする人は禁煙や減煙を考慮する必要があります。

インプラントが取れた場合の対処法

インプラント 取れた

インプラントが取れてしまったら、歯科医院へ行くまでに適切に対処すべきことがあります。

取れた部品を保管する

抜けた部品が紛失しないよう、しっかり保管してください。上部構造やアバットメントは状態に問題がなければ、再び使うことができます。抜けた部品を見て、トラブルの原因を特定することにもつながります。修理費用を抑えることにもなるので、適切に保管しましょう。
お口に入っていたものなので洗いたくなるところですが、排水口に落ちると取れなくなるため、そのまま容器に入れるなどしましょう。

歯科医院に連絡する

取れたインプラントを保管できたら、歯科医院に連絡しましょう。インプラント治療を受けた歯科医院であれば、よりスムーズに修理や再治療を進められます。

また、状況を的確に伝えるためにも「いつ取れたのか」「どのようなときに取れたのか」「以前から取れそうだったのか」「お口の中の状況について」といった点をまとめておきましょう。「1週間前からグラグラしていて、昨夜硬いものを食べたら取れた」といった伝え方をすれば、歯科医院も対処しやすくなります。

部品が取れた部分に負担をかけない

インプラントが取れてしまったところが気になるかと思いますが、負担をかけないように気をつけます。硬いものを噛んだり患部に触ったりせず、静かに過ごすのが良いでしょう。また、舌や手で触ると細菌感染のリスクを高めるため、いじらないようにしましょう。

インプラントが取れた場合の注意点

インプラントが抜けてしまったら、気をつけるべき点がいくつかあります。それぞれ詳しく紹介します。

自分で元に戻さない

インプラントを自分で元に戻そうとしないようにしましょう。自力で無理に戻そうとすると、破損した部品によってお口の中をケガすることがあります。また、細菌感染のリスクも高くなります。必ず歯科医院で診てもらうようにしましょう。

できるだけ早く歯科医院を受診する

患者さんのタイミングによっては、すぐに受診できないという方もいるかと思います。しかし、インプラントが取れたままにしておくと、状況が悪くなって治療が困難になる可能性があります。また、感染するおそれもあるため、都合をつけてなるべく早く歯科医院で相談しましょう。一度だけでも行っておくことで、応急処置を受けられる可能性もあります。
どうしても都合がつかないとしても、最短で行ける日に予約を入れておくとよいでしょう。

インプラントが取れた場合にかかる費用

インプラント 取れた

インプラントが取れた場合の治療費は、どの部品が取れたのか、どのように取れてしまったのか、など状況によって異なります。単に上部構造やアバットメントが取れただけであれば、10,000円かからずに治療を受けられる場合がありますが、取れた部品が紛失した、または大きく破損したため再作製する、となると100,000円以上かかる可能性があります。
インプラントが取れたときの費用は自費診療となり、基本的に低価格では治療を受けられません。ただし、歯科医院で保証制度を設けている場合もあり、条件を満たしていれば保証を受けられる可能性があります。

2024年4月 株式会社メディカルネット調べ

まとめ

インプラントは、一度埋入すれば永遠に使えるというものではありません。大事に使っていても、経年劣化により取れてしまうことがあります。
また、その他に取れてしまう原因としては、細菌感染や全身疾患の影響など、さまざまなケースが考えられます。
もしインプラントが取れてしまっても焦らず、部品をそのまま清潔なタッパーに入れるなどして保管し、できるだけ早く治療を受けた歯科医院などに連絡を入れて受診しましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。