あごの骨が薄い場合に行う手術(サイナスリフト)

インプラント総合サイトです。あごの骨が薄かったり、痩せてしまっている場合、インプラント治療をする前にあごの骨を増やす手術が必要です。ここではあごの骨を増やす手術の一つであるサイナスリフトについてご紹介します。

更新日:2021/02/22

■目次

  1. インプラント治療とあごの骨の関係
  2. 上あごの骨の吸収が進むと?
  3. 上あごの骨が薄い場合は?
  4. 上顎洞に押し込む骨の種類
  5. サイナスリフトの手術の流れ
  6. STEP1
  7. STEP2
  8. STEP3
  9. STEP4

インプラント治療とあごの骨の関係

インプラント治療をするためには?

インプラント治療は、歯を失った場合に、歯の根っこの代わりとなるチタンをあごの骨に埋め込み、それに人工の歯をかぶせることで、見た目とかむ機能を回復させる治療法です。インプラントが毎日の食事で咬む力に耐え、お口の中でずっと使い続けるためには、インプラントを支える周囲の骨の厚みが、最低でも5mmは必要とされています。

歯を失うと?

歯を失ってしまった後、何も治療せずに放置しておくと、その歯を支えていた周囲の骨が徐々にやせ細っていきます。これは放置する時間が長ければ長いほど、さらに痩せていきます。このことを“骨の吸収が進む”といいます。

上あごの骨の吸収が進むと?


上あごと下あごでは骨の質が異なり、上あごの方がより早く痩せていきます。上あごの場合、骨が痩せていくと、上あご奥歯の上に存在する骨の空洞「上顎洞」と上あごの骨との距離が短くなります。(この理由以外で、上顎の骨と上顎洞の距離が近くなることもあります。)

※上顎洞とは?
上顎奥歯の骨の上にある鼻とも繋がる骨の空洞です。
その空洞の中を覆う粘膜のことをシュナイダー膜といいます。

上あごの骨が薄い場合は?

上あごの奥歯の骨が痩せ、5mm以下になってしまっている場合は、そのままインプラントを埋め入れてしまうと、上顎洞の底を貫通し、シュナイダー膜を傷つけてしまいます。シュナイダー膜が傷付くと、炎症を起こす(蓄膿になる)可能性が非常に高くなります。
このような理由から、上顎あご奥歯で骨が薄い場合にインプラント治療の前処置として、インプラントが埋め入られるように骨を増やす手術をおこないます。その手術法の一つが、「サイナスリフト(上顎洞底挙上術)」です。サイナスリフトは、上顎洞の底部分のシュナイダー膜を押し上げてスペース確保し、そこに患者様自身の骨や人工骨(下記参照)を押し込んで骨を作る治療です。

上顎洞に押し込む骨の種類

【患者様自身の骨】
・手術で削った患者様の骨
・インプラントを埋め入れる手術を別の歯に同時に行った場合、その際に削った骨
・下の前歯の下付近のあご骨(オトガイ)や、下の奥歯の後方のあご骨(レーマス)等、口の中の他の部分を麻酔し、サイナスリフトのために削った骨

【人工骨】
・人工的な成分で作られた骨。様々な種類がある。

これらの骨を単独で使う場合もあれば、組み合わせて使う場合もあります。患者様の体の一部になるものなので、不安な方はどのような骨を用いるのか、事前に確認をしましょう。

サイナスリフトの手術の流れ

まず痛みを無くすことと出血を少なくするため、施術する部分に麻酔をし、下記の手順で進めていきます。

STEP1

■サイナスリフトを行う部分の歯茎を切開する。
 (高さの位置はだいたい小鼻の延長線上)
■歯茎をめくり(剥離[はくり]し)、骨(前壁)が見える状態にする。

STEP2

■骨に穴を開け、シュナイダー膜を露出させる。

※事前診査で十分に距離を理解し、このシュナイダー膜を傷つけないよう注意を払い、おこないます。

STEP3

■シュナイダー膜を破らないように専用の器具で
 注意深く持ち上げる。
■上顎洞側に骨を押し込む。

STEP4

■開けた骨の穴を特殊な人工の膜で塞ぎ、歯茎を縫合する。


骨の状態によりますが、骨ができ上がるまで約半年から一年ほどの期間を経た後、インプラントを埋めることができます。方法によっては、サイナスリフトと同時にインプラントを埋める場合もあります。

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