インプラントの臭いを解決! フロスでできる対策と予防法

インプラント治療をしたけれど、そこから口臭がするような…そんな経験はありませんか? せっかくインプラントにしたのだから、臭いがないようにしたいですよね。 もしインプラントから臭いが出ているように感じたら、どのように対処したらよいのでしょうか。

更新日:2022/07/04

■目次

  1. インプラントの臭いの原因
  2. 汚れがたまっている
  3. インプラント周囲炎になっている
  4. インプラントの被せ物が緩んでいる
  5. フロスを使って臭いを解決!
  6. インプラントと隣の歯の間にフロスを通す
  7. インプラント周りはスーパーフロスを使う
  8. インプラントの周りに使ったフロスが臭くなる
  9. まとめ
  10. 記事監修

インプラントの臭いの原因

汚れがたまっている

お口の中から臭いがする原因のひとつとして歯の磨き残しが挙げられますが、インプラントには歯と骨を結ぶ靭帯(歯根膜)が無いため、歯茎とインプラントとの間に歯と歯茎の間の歯周ポケットという溝が深くなりやすく、食べカスなどの汚れがたまりやすくなります。

結果的に、細菌の塊(歯垢・プラーク)が溜まりやすく、口臭の原因になります。

インプラント周囲炎になっている

インプラントは人工歯なので虫歯にはなりませんが、歯周病と同じような症状がインプラントの周囲で起こることがあります。

これをインプラント周囲炎といいます。
インプラント周囲炎は歯周病と同じように歯垢が原因です。

症状が進行すると骨が溶けてインプラント体がグラグラと揺れるようになりますが、膿が出て悪臭を発生させる場合があります。

インプラントの被せ物が緩んでいる

一般的に、インプラントは人工歯根となるインプラント体(下部構造)、人工歯(上部構造)、そしてアバットメント(上部と下部を連結する装置)3つで構成されています。

人工歯とアバットメントはネジで結合されているタイプが多いですが、このネジが緩むと隙間ができてしまい、雑菌や唾液、さらには歯垢が入り込んで口臭の原因になる可能性があります。

フロスを使って臭いを解決!

インプラントは構造上磨きにくいこともあり、歯ブラシだけでは磨き切れず汚れがたまってしまうことがあります。

そこで、フロスを使ってインプラントと歯の間や周囲をきれいにするという方法があります。
常に清潔な状態を保つことで、口臭が軽減するかもしれません。

インプラントと隣の歯の間にフロスを通す

フロスは糸状のデンタルグッズで、歯と歯の間や歯茎をきれいに掃除するものです。
持ち手があって操作しやすいホルダータイプや、糸そのものを使う糸巻きタイプなどがあります。

ホルダータイプは形状によって奥歯や前歯などそれぞれに特化した構造になっていますが、糸巻きタイプであればすべての歯に対応できます。

インプラントの入っている部分によっては、フロスをうまく通すのが難しいので持ち方を覚えることも必要です。

また、フロスを歯から無理やり引き抜こうとすると、インプラントの人工歯が外れてしまうおそれがあります。
ゆっくり優しく引き抜くか、フロスを片側からスルスルと抜くようにしてください。

インプラント周りはスーパーフロスを使う

スーパーフロスとはフロスにスポンジが付いたもので、先端が細く固いのに比べて真ん中部分は太く柔らかくなっています。

一般的には、通常のフロスでは通せないブリッジの人工歯部分の開いた隙間などを清掃するときに使われていますが、インプラントの周りをきれいにするときにも使います。

インプラントの周りに使ったフロスが臭くなる

フロスを使っていると、歯と歯の間に通したフロスから臭いがしてくることがあります。
これは、フロスを入れることで閉じ込められていた細菌や臭いの成分などが拡散されるためだと考えられます。

もし、毎日フロスを使っていてもインプラントの周辺から臭いがする場合は、歯垢がたまってインプラント周囲炎になっている可能性があります。

フロスの臭いが強いと思ったら、インプラントの定期検診の際に相談したり、歯医者さんで診察を受けるなどすると良いでしょう。
フロスは毎日新しい物に交換して使いましょうね。

まとめ

インプラントの周囲は汚れがたまりやすく、インプラント周囲炎(歯周病)になりやすいです。
歯ブラシだけでなくフロスも使い、インプラントや隣の歯の側面や歯茎とインプラントの間などをしっかり掃除することが大切です。

毎日フロスできれいにしていると、臭いの変化に気づくことがあるかもしれません。
なかなか強い臭いが取れない場合は、歯垢が溜まっている可能性があります。
症状が無くても、定期的に歯医者さんでインプラントの状態を検査してもらうことがポイントですよ。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。