インプラント治療後の臭いの原因とは?フロスでできる対策で臭いを解決
「インプラント治療を受けた箇所から口臭がする気がする、周りからも口臭を指摘された…」そんな経験はありませんか?
せっかくのインプラント治療の後に口臭があると自信を持って笑えなくなりますよね。
もし、インプラントを埋めた箇所から臭いが出ているなら、どのように対処したらよいのでしょうか。インプラント治療後の口臭原因や、フロスを使った対策、正しいお手入れ方法を紹介します。
更新日:2025/07/07

■目次
記事のポイント3つ

・インプラント周囲の臭いは、被せ物の緩みなどによる汚れの蓄積・インプラント周囲炎が原因。
・フロスやスーパーフロスでインプラント周囲を丁寧に清掃することで、口臭を予防・改善できる。
・臭いが続く場合、インプラント周囲炎の可能性があるため、歯科医院での定期検診や相談が重要。
インプラントの臭いの原因とは?
インプラント自体はチタン製であり無臭ですが、ケアが不十分で臭いが発生することがあります。主な原因は以下のとおりです。
臭いの原因①汚れがたまっている
インプラント治療後にお口の中から臭いがする原因のひとつとして磨き残しが挙げられます。インプラントには歯と骨を結ぶ靭帯(歯根膜)が無いため、歯茎とインプラントとの間に歯と歯茎の間の歯周ポケットという溝が開きやすく、食べカスなどの汚れがたまりやすいです。
結果、細菌の塊(歯垢・プラーク)や歯石も溜まり、口臭原因になります。
臭いの原因②インプラント周囲炎になっている
インプラント治療後に口臭がする原因の一つに、インプラント周囲炎が挙げられます。インプラント周囲炎とはインプラント周囲の歯周病であり、主に歯垢が原因で発症します。
インプラント周囲炎の症状としては口臭のほか、歯ぐきからの出血や、膿が出る、インプラントがグラグラするという症状が現れます。そのまま放置しておくと最悪の場合、せっかく治療したインプラント自体が抜け落ちてしまうこともあります。
→インプラント周囲炎の種類や症状など詳しくは「インプラント周囲炎 注意!インプラントが抜けることも」の記事をご覧ください。
臭いの原因③インプラントの被せ物が緩んでいる
インプラント治療後に口臭がする原因の1つとして、インプラントの被せ物が緩んでいる可能性があります。
一般的に、インプラントは人工歯根となるインプラント体(下部構造)、人工歯(上部構造)、そしてアバットメント(上部と下部を連結する装置)の3つで構成されています。
人工歯とアバットメントはネジで結合されているタイプが多いですが、このネジが緩むと隙間ができてしまい、雑菌や歯垢が入り込んで口臭の原因になる可能性があります。
インプラントの臭いはフロスを使って解決!

インプラント周囲の臭いが気になる方は、まず日々のケア方法を見直すことが大切です。インプラントは構造上、歯ブラシだけでは汚れを完全に除去するのが難しいため、フロスの使用が効果的です。常に清潔な状態を保つことで、口臭が軽減するかもしれません。
インプラントと隣の歯の間にフロスを通す
フロスとは糸状のデンタルグッズで、歯と歯の間や歯茎をきれいに掃除するものです。インプラントの隙間にたまった食べかすやプラークをしっかり除去できます。持ち手があって操作しやすいホルダータイプや、糸そのものを使う糸巻きタイプなどがあります。
ホルダータイプは奥歯や前歯の形状に特化した構造ですが、糸巻きタイプであればすべての歯に対応できます。
インプラントの入っている部分によっては、フロスをうまく通すのが難しいので持ち方を覚えることも必要です。
また、フロスを歯から無理やり引き抜こうとすると、インプラントの人工歯が外れてしまうおそれがあります。ゆっくり優しく引き抜くか、フロスを片側から横に引き抜きましょう。
フロスは全国のドラッグストアや薬局、スーパー、歯科医院、インターネット通販などで手軽に購入できます。普段のデンタルケアにフロスを使っていない方は歯ブラシだけでは取れない汚れが蓄積しているかもしれません。セルフケアに取り入れましょう。
インプラント周りはスーパーフロスを使う
スーパーフロスとは、スポンジの付いた特別なフロスです。先端はフロスのように細くて固く、中央は太くて柔らかい構造で、汚れをしっかり絡め取るのが特徴です。
もともとは、通常のフロスでは汚れが取りにくいブリッジの人工歯の下の隙間を清掃するために使われますが、インプラントの周囲をやさしく清掃するのにも適しています。
インプラントの周りに使ったフロスが臭くなる場合はインプラント周囲炎かも!?
使用後のフロスが臭う場合、インプラント周囲に歯垢や細菌がたまり、臭いの元になっていることがあります。臭いが強く感じられるようなら、インプラント周囲炎が進行している可能性もあるため注意が必要です。
毎日フロスを使っていても臭いが気になる場合は、歯科医院で診察を受けるか、定期検診の際に歯科医師に相談するのがおすすめです。また、フロスは必ず毎日新しいものを使用し、清潔を保ちましょう。
→インプラント周りのデンタルケアについて詳しくは「インプラントはデンタルフロスでのケアが効果的!フロスの種類についても解説!」の記事をご覧ください。スーパーフロスの画像も併せて紹介しています。
インプラント治療後の臭いに関するよくある質問
インプラント治療後の臭いに関するよくある質問と回答をまとめました。
Q1.毎日フロスを使っているのに臭うのはなぜ?
フロスを使っても臭いがする場合、インプラント周囲炎が進行している可能性があります。フロスで取り切れない歯垢や、歯ぐきの中で炎症が起きていることもあるため、放置せず、できるだけ早く歯科医院でチェックを受けることをおすすめします。
Q2.スーパーフロスは普通のフロスと何が違うの?
インプラントの周りにも使用できるスーパーフロスは、先端が硬く通しやすく、中央部分がスポンジ状で汚れを絡め取りやすい構造になっています。ブリッジやインプラントの周囲など、通常のフロスでは届きにくい場所にも掃除しやすいのが特徴です。
Q3. フロスは1日に何回使うのがベスト?
デンタルフロスは、少なくとも1日1~2回使用するのが理想的です。可能なら、食事や間食の後にもフロスを使うことが望ましいです。これにより、インプラント周囲炎の予防と清潔を保ち、口臭予防につながります。
参考:Women’s Health
まとめ
インプラント周囲は汚れがたまりやすく、インプラント周囲炎(歯周病)になりやすいです。歯ブラシだけでなくフロスも使い、インプラントや隣の歯の側面、歯茎とインプラントの間などをしっかり掃除することが大切です。
毎日フロスできれいにしていると、臭いがしなくなっていることに気づくかもしれません。
臭いが取れない場合、自分で取れない歯垢が溜まっていたり、他の病気の可能性があります。症状が無くても、定期的に歯医者さんでインプラントの状態を検査してもらうことがポイントです。
記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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