【インプラントのお手入れ】歯ブラシだけでは足りない!?フロスや歯間ブラシで正しいケア

磨き残しが多いとインプラントを支える骨や歯茎が痩せ、インプラントが抜け落ちることもある「インプラント周囲炎」になるリスクが高くなります。きれいに磨いても、半分程度の汚れしか除去できないとされている歯ブラシ。この記事では、歯ブラシの使い方に加えて、フロスや歯間ブラシを正しく使うための方法を分かりやすいイラストでご紹介します。

更新日:2021/12/03

■目次

  1. インプラント治療後は、磨き残しの少ないお口に
  2. 【豆知識―爪楊枝[つまようじ]―】
  3. デンタルフロス
  4. デンタルフロスの糸
  5. デンタルフロスの形と持ち方 1.ホルダー型
  6. デンタルフロスの形と持ち方 2.糸巻き型①
  7. デンタルフロスの形と持ち方 2.糸巻き型②
  8. 【清掃する箇所による持ち方(糸巻き型)】
  9. デンタルフロスの動かし方
  10. 歯間ブラシ
  11. スーパーフロス
  12. 【豆知識―歯の清掃中の出血―】
  13. 記事監修

インプラント治療後は、磨き残しの少ないお口に

インプラント治療をした後には、丁寧に歯磨きを行う必要があります。磨き残しが多いとインプラントを支える骨や歯茎が痩せ、インプラントが抜け落ちてしまうこともある「インプラント周囲炎」になるリスクが高くなります。「インプラント周囲炎」の原因は、お口の中の汚れに存在する細菌です。「歯と歯の隙間」に付いた汚れは、歯ブラシだけでブラッシングをした場合、半分程度しか除去できないとされています。

お口の中を清掃する道具で、歯ブラシ以外のものを、補助的清掃用具といいます。磨き残しによる細菌の繁殖を無くすため、歯ブラシで清掃した後に使用することをお勧め致します。磨き残しが多い「歯と歯の隙間」・「歯と歯茎の間」に、補助的清掃用具を用いて、お口全体の健康を維持しましょう。補助的清掃用具には「デンタルフロス」「歯間ブラシ」「スーパーフロス」などがあります。ここではそれぞれの特徴と使い方についてご紹介します。

【豆知識―爪楊枝[つまようじ]―】

爪楊枝は、歯に詰まってしまった物を取るには適していますが、補助的清掃用具ではありません。ブラシや繊維で汚れをかき出すものと比べると清掃効率が低く、また、歯茎を傷つけてしまう可能性が高いため、お勧めできません。

デンタルフロス

デンタルフロスは、細いナイロン糸を束ねた物で、歯と歯の隙間が狭い部分に適しています。基本的に“使い捨て”であるとお考えください。

デンタルフロスの糸

1.ワックスタイプ
ナイロン糸の表面を、ロウでコーティングしたものです。滑りが良いので使いやすく、初心者やお口の中に詰め物や被せ物が多い人にお勧めします。
【特長】
ロウでコーティングしてあるため、滑りが良い。
ミントなどの香料が付いている物もあり、爽快感が得られる。

2.アンワックスタイプ
ナイロン糸に何も加工していないものです。滑りが悪く扱いづらいので、デンタルフロスでの清掃に慣れてきた人にお勧めします。
【特長】
糸にコーティングがしていないため繊維に汚れがからみやすい。
より多くの汚れを落とすことが出来る。

デンタルフロスの形と持ち方 1.ホルダー型

持ち手の後方を持ってしまうと、動きが大きくなり、歯茎を傷付ける可能性があるため、図のように持ち手の前方を持ちます。

デンタルフロスの形と持ち方 2.糸巻き型①

PATTERN1 指巻き法

1.デンタルフロスを指先から肘の長さ(目安約30~40cm)で切ります。

2.左右の中指の第2関節に糸を巻き、糸の間隔が10~15cmになるようにします。

3.デンタルフロスを両手の親指と人差し指で1~2cmの間隔で持ちます。

デンタルフロスの形と持ち方 2.糸巻き型②

PATTERN2 サークル法

1.デンタルフロスを指先から肘の長さ(目安約30~40cm)で切ります。

2.輪になるように結びます。

3.左右の薬指・中指・小指で輪になった糸を持ち、
糸の間隔が10~15cmになるようにします。

4.デンタルフロスを両手の親指と人差し指で1~2cmの間隔で持ちます。

【清掃する箇所による持ち方(糸巻き型)】

■上あごの前歯
1.片方の手は親指に、もう一方の手は人差し指で支え、上向きにデンタルフロスを持つ。
2.片方の手の親指を歯の外側に、もう一方の人差し指は歯の内側にくるように持つ。

■上あごの奥歯
1.両手の人差し指で支え、上向きにデンタルフロスを持つ。
2.片方の人差し指は歯の外側に、もう一方の人差し指は歯の内側にくるように持つ。

■下あごの歯
1.両手の人差し指で支え、下向きにデンタルフロスを持つ。
2.片方の人差し指は歯の外側に、もう一方の人差し指は歯の内側にくるように持つ。

デンタルフロスの動かし方

「歯と歯の隙間」にゆっくりと(のこぎりを引くように)通し、「歯と歯茎の間」までデンタルフロスを下ろします(上げます)。歯の面にデンタルフロスを沿わせ、ゆっくり上下に動かし、汚れを除去します。次の「歯と歯の隙間」を清掃する時は、使用した部分をずらして、新しい部分で清掃を行います。

歯間ブラシ

歯間ブラシは主にナイロンなどをワイヤーで固定した小さなブラシで、歯と歯の隙間が広い部分に適しています。最近では非常に小さなサイズも販売されており、隙間の狭い下の前歯やお子さんでも使用できます。

【使い方】
えんぴつを持つように歯間ブラシを持ち、ゆっくりと「歯と歯の隙間」に入れたら、ゆっくりと抜きます。その動作を繰り返して汚れを除去します。

【形状】
歯間ブラシの形状にはストレートとL字型の2種類があります。ストレートのものを奥歯に使用するときは、ワイヤーを曲げてL字型にして使用すると、操作しやすいです。

【サイズ選び】
歯と歯の隙間に合わせられるように、直径が少しずつ異なる約5?6種類の歯間ブラシがあります。選び方の基本は「歯と歯の隙間」に抵抗なく挿入できるものです。しかし、一人ひとりのお口の状態によって、サイズや挿入角度が異なりますので、使用経験が無い人は、歯科医院で指導を受けることをお勧め致します。交換時期は、歯間ブラシの毛が乱れた時や、短くなった時です。そのまま使用すると、ワイヤー部分が露出し、歯茎やインプラントを傷つけてしまう恐れがあります。

【使用上の注意点】
歯間ブラシが「歯と歯の隙間」に通らない場合は、歯間ブラシの大きさが合っていない、もしくは挿入角度に誤りがある可能性があります。歯科医院で必ずご相談ください。無理な使用を続けると、歯茎がすり減る可能性があります。

スーパーフロス

糸巻き型のデンタルフロスとは異なり、スーパーフロスの両端は「歯と歯の隙間」に通すためのもので、清掃は中央に膨らみのあるナイロン繊維部分を使って行います。歯ブラシや歯間ブラシが入らないところの清掃が可能となります。ブリッジタイプ(※1)やAll-on-4(※2)などのインプラント治療を受けた場合は、人工歯と歯茎の間に隙間が存在するため、スーパーフロスでの清掃が適しています。

(※1)ブリッジタイプのインプラントとは?
歯を3本以上失った方の治療法で、必要本数だけのインプラントを埋めこみ、そのインプラントを支えにして、失った歯の本数だけの連結した人工歯を装着する。

(※2)All-on-4とは?

総入れ歯をお使いの方や、多くの歯を失った方の治療法で、4本のインプラントを前歯と奥歯の生えていた部分の骨に埋め込み、4本のインプラントを土台に入れ歯の様な人工の歯を装着する。

【豆知識―歯の清掃中の出血―】

歯の清掃中に、歯茎に痛みを感じないが出血する理由のほとんどが、清掃不十分(細菌感染による炎症)によるものです。炎症の原因である「細菌が潜伏する歯垢」をきちんと除去する事が出来れば出血しなくなります。しかし、痛みがある出血は歯周病などの歯茎になんらかの問題が生じているので、歯科医院を受診しましょう。口の中がトラブルになる前に、歯医者さんに定期的に通院することをおすすめします。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。