■目次
要約
・前歯1本あたり30万~60万円程度、奥歯1本あたり20万~50万円程度、全部の歯(上下いずれかの顎)をインプラントにした場合は200万~250万円程度が費用相場です。
・インプラントは保険適用外の治療で、インプラント本体が高く、設備投資が必要なため費用が高額になりやすいです。
・費用を安く抑える方法としては、医療費控除の申請やデンタルローンの利用などがあります。
インプラントの費用相場
前歯・奥歯1本あたり、全部の歯をインプラントにするケースに分けて、費用相場を解説します。
前歯1本あたり
前歯1本をインプラントにする場合の費用相場は以下のとおりです。
前歯は他の歯よりも審美性が求められる箇所であり、人工歯の製作などに高度な技術を必要とします。そのため、奥歯のインプラントよりも高額になる可能性があります。
2025年4月 株式会社メディカルネット調べ
奥歯1本あたり
奥歯1本をインプラントにする場合の費用相場は以下のとおりです。
2025年4月 株式会社メディカルネット調べ
インプラント治療にかかる費用の内訳
インプラント治療にかかる主な費用の内訳は以下のとおりです。歯科医院から見積りをもらった際にも参考にしてください。
2025年4月 株式会社メディカルネット調べ
インプラントの費用が高額になる理由
歯1本の治療でも高額になりやすいインプラントですが、なぜ費用がかかるのでしょうか。理由を解説します。
インプラント本体が高いため
インプラント製造メーカーは多々あり、メーカーによって素材や品質、価格などはさまざまです。信頼性に優れたインプラントメーカーは研究開発に力を入れていて、体への適合性や耐久性を十分に考慮したインプラントを製造しています。
金属アレルギーが起こりにくいチタンを素材に用いる場合が多く、インプラント本体の価格が高価になりやすいです。高価なインプラントはアフターケアも充実しています。
インプラントは体に直接埋め込むものであり、安価なインプラントでは品質を保証できないため、歯科医院の多くが安全性などを考えて高価なインプラントを取り扱っています。
設備投資が必要なため
インプラント治療は外科手術をともなうものであり、安全性や確実性を確保するために、設備の充実が重要です。
顎骨の高さや神経の位置などを把握するためには歯科用CTが必須で、滅菌や感染予防のためにはインプラント手術専用の機材や手術室の維持管理も欠かせません。高額な設備を揃える必要があり、維持管理のコストもかかるため、インプラントの費用も高くなる傾向にあります。
公的医療保険適用外の治療のため
インプラントは基本的に歯の機能性以外に審美性も高める治療と判断されるため、公的医療保険適用外となります。患者さんが費用を全て自己負担するため、費用が高額です。一方、保険適用の治療には、入れ歯やブリッジがあります。
インプラントの費用を安くする方法
インプラントの費用を抑えたい場合、以下の方法を実践しましょう。
公的医療保険適用になるケースに当てはまるか確認する
先天的に顎の骨の1/3以上が連続して欠損している場合や、顎の骨の形成不全と診断された場合、公的医療保険適用でインプラント治療を受けることができます。
また、外傷や病気によって顎の骨を失った場合も公的医保険適用となります。ご自身の症例が保険適用となるかどうか、事前に歯科医師に確認してみましょう。
医療費控除を申請する
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が10万円を超える場合に所得控除を受けられる制度です。インプラント治療は医療費控除の対象となるため、ご自身で確定申告を行い、医療費控除も忘れずに申請しましょう。
→医療費控除について詳しくは「【2025年度版】インプラント治療の医療費控除額どれくらい?いくら戻ってくるの?」の記事をご覧になってください。
デンタルローンを利用する
デンタルローンは、歯列矯正やインプラントなどの公的医療保険適用外の治療費を分割払いできるサービスです。一括で支払うと費用負担が大きく、生活に影響が出てしまう場合、デンタルローンの利用が便利です。ただし、利息が発生する点にはご注意ください。
まとめ
インプラントの費用相場は、前歯1本あたり30万~60万円程度、奥歯1本あたり20万~50万円程度、全部の歯(上下いずれかの顎)をインプラントにした場合は200万~250万円程度となっています。
インプラントの費用が高額になる理由は、インプラント本体が高いため、設備投資が必要なため、保険適用外の治療のためです。費用を安く抑えたい場合には、医療費控除の申請やデンタルローンの利用などの方法があります。
インプラントの費用や相場についてわからないことがあれば、インプラントネットの相談室を利用してみてはいかがでしょうか。相談を投稿すると、歯科医師から回答を得られます。
この記事で、インプラントの費用相場に関するあなたの疑問が少しでも解消されたら幸いです。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。