口腔内の健康を保つために~病体と対処法~

歯科インプラントに関する治療説明『病体と対処法』についてご紹介します。歯を失ってお困りの方、入れ歯・ブリッジが合わない方は是非ご覧下さい。

更新日:2019/10/01

■目次

  1. 病体と対処法
  2. 口呼吸と夜間の口腔乾燥
  3. 慢性疾患の合併症
  4. 唾液腺に異常がある場合
  5. 唾液腺に異常のない場合

病体と対処法

口腔乾燥が唾液分泌低下に由来する場合、慢性疾患の合併症により生ずるドライマウスと、唾液腺の障害によるものでは、その対処方法は異なります。唾液分泌低下がなく口呼吸が原因の口腔乾燥では、唾液分泌量を増加させる処置での症状改善は期待できません。また、乾燥感を強く自覚するものの検査などをしてもはっきりした結果が出ない場合や、舌痛、三叉神経痛、顔面麻痺などに由来する口腔内の違和感や異常感などの口腔粘膜疾患の症状がドライマウスとして感じられる場合も少なくありません。

口呼吸と夜間の口腔乾燥

鼻づまりなど、明らかに鼻呼吸の困難な状況や、口の周りの筋肉の筋力の低下や歯の本数が減り、決まった咬み合わせの状態が得られずに唇を閉じる機能が低下している場合、睡眠時などの無意識下での口呼吸が考えられ、特に睡眠時無呼吸症候群患者では顕著にみられます。この場合、呼気とともに口腔内の水分が蒸散してしまうことから口腔乾燥が起こります。唾液分泌量の低下がみられない場合の口腔乾燥は、この口呼吸が原因であると考えれます。
鼻づまりの改善のほか、歯冠修復や欠損補綴といった治療による、決まった咬み合わせの状態の回復と、筋機能療法によって口唇閉鎖能の向上を図ります。

慢性疾患の合併症

診療所歯科医院に通院可能な外来患者の場合、全身疾患があってもドライマウスを引き起こすほどの重症なケースは稀です。しかし、初診時の病歴聴取で全身疾患のコントロールが不良と判断された場合は、きちんと病院に通うことが重要です。
糖尿病や貧血、高血圧などの慢性疾患では、疾患の治療を優先し疾患自体が軽快すれば、口腔乾燥も軽快する可能性があります。しかし、慢性的に口腔乾燥が続いている患者さんには、一時的に保湿剤、そのほか唾液腺マッサージや咀嚼運動指導も有効です。

唾液腺に異常がある場合

<服薬による対応>

刺激唾液検査を行っても唾液が少ないシェーグレン症候群などの場合は唾液腺の機能低下・障害が起きていることが考えられます。そういった場合には、分泌促進薬を投与することで、唾液分泌量の増加が得られる場合があります。
しかし、シェーグレン症候群の患者さんのうち、このような分泌促進薬の効果が得られない患者さんや、副作用より使用できない患者さん、禁忌症例も少なくありません。

<保湿剤による対応>


保湿剤などは保湿効果により乾燥を防ぎ、抗菌作用や、味覚刺激による唾液分泌促進作用が期待され味覚障害にも有効とされています。

<ナイトガードによる対応>


ナイトガード(クッションの役割をするマウスピース状のもの)のように歯に装着する保湿装置は、飲水などが困難な睡眠時の口腔乾燥に有効な対処方法です。

唾液腺に異常のない場合

<薬剤性のドライマウスへの対応>

薬剤性のドライマウスは、常用している薬の副作用により唾液分泌量が減少していると考えられています。唾液分泌量の検査を行い、分泌量低下がみられる場合は、原因となる薬の減量や服用中断、あるいは薬を変更することで分泌の回復が期待されます。

<ストレスによるドライマウスへの対応>

ストレスによる一時的な口渇が慢性化することでドライマウスが発症する場合があります。この場合、ストレスが解決することで分泌量回復がみられるので、カウンセリングが有効です。
しかし、慢性的なストレスは解決が困難なため、完全な除去が見込めない場合が多く、その場合はストレス緩和を目標とするとよいでしょう。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。