先進医療のインプラント義歯が保険適用になる?

インプラント義歯が保険で作れる?ここで紹介する保険適用の条件を参考に、インプラント治療を検討してみてください。

更新日:2021/12/06

先進医療のインプラント義歯が保険適用になる?

■目次

  1. 先進医療と認められてきた「インプラント義歯」が保険適用に
  2. インプラント治療が保険適用になるケース
  3. インプラント治療を保険診療で行える医療機関の条件
  4. 記事監修

先進医療と認められてきた「インプラント義歯」が保険適用に

先進医療と認められてきた「インプラント義歯」が保険適用に

先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた治療法や医療技術のことで、安全性や有効性など一定の基準を満たし、将来的に公的医療保険への適用を検討されている治療方法です。

これにより、2012年4月から病気や事故などで広範囲にわたって顎の骨を失ってしまった場合に、国が定めた条件を満たせば、インプラント義歯治療(※)が保険適用されるようになりました。

ここでは、どのようなケースでインプラントが保険適用されるのか、どのような医療機関で治療を受けられるのかなどについてご紹介します。

※「インプラント義歯治療」の正式名称

今回、インプラントが先進医療から除外されたことにより、インプラント義歯が「広範囲顎骨支持型装置および広範囲顎骨支持型補綴」と名称が変更され保険導入されました。

インプラント義歯のために必要な手術を「広範囲型顎骨支持型装置埋入手術」と言います。

インプラントは保険がほとんど適用されません

インプラント治療が保険適用になるケース

下記のいずれかに該当し、ブリッジや入れ歯などの治療では回復が難しいと診断された場合にインプラント治療が適用となります。

● 腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気や、事故の外傷などによって、広範囲にわたり(※)顎の骨を失ってしまった状態
● もしくはこれらが骨移植によって顎の骨が再建された状態であること
● 医科の保険医療機関の主治医によって、先天性疾患(うまれつきの病気)と診断され、顎の骨の1/3以上が連続して欠損している状態
● 顎の骨の形成不全であること

※腫瘍切除、事故、先天性疾患などにより顎の骨が広範囲に失われている場合に、保険適応になる可能性が高いです。

※適応となる範囲について

〔上顎の場合〕 顎の骨の1/3以上が連続して欠損している、もしくは上顎洞、または鼻腔へと繋がっていると診断されていること

〔下顎の場合〕 顎の骨の1/3以上が連続して欠損している、もしくは腫瘍などの病気によって下顎を切除したと診断されていること

このような限られたケースにのみ保険適用され、歯周病や加齢による顎の骨の吸収(痩せ細った)による歯の喪失などは対象外となっています。

インプラント治療を保険診療で行える医療機関の条件

以下の条件をすべて満たし、国から認められた施設であれば、インプラント治療を保険診療で行うことができます。

● 病院(入院用のベッドが20床以上ある施設)にある歯科または口腔外科であること 下記のどちらかに該当する歯科医師が、常勤で2名以上配置されていること
● 歯科または口腔外科で5年以上の治療経験がある、または、3年以上のインプラント治療経験がある常勤医師が2名以上配置されていること
● 当直体制が整備されていること
● 国が定めている医療機器や医薬品などの管理が整備されていること

これらのこの条件をすべて満たす必要があります。インプラントを保険診療で受けられる施設としては、歯科大学病院や規模の大きな病院の歯科・口腔外科などがあげられます。

現状では、一般の歯科医院でインプラントが保険適用で治療を受けることができるようになったということではなく、限られたケース・条件のみに保険適用されるというのが実情です。

歯周病や、加齢による顎の骨の吸収による歯の喪失に対しての一般の歯科医院で行うインプラント治療は、条件を満たしていないため保険適用外となり、全額自己負担の自由診療となります。

「どの病院に行っていいのかわからない」、「この治療は保険適用の対象となるのか」などの悩みや疑問があれば、お近くの歯科医院やかかりつけの歯科医師に相談してみるとよいでしょう。

参考:歯科医院と大学病院で受けるインプラント治療の違い

記事監修

歯科医師 古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。