骨移植(ボーングラフト)でインプラントが可能!費用や治療の流れとは?

歯科医院でインプラント治療について相談した際、骨移植(ボーングラフト)が必要と言われることがあります。必要な治療であれば仕方ないと感じる一方、骨移植がどのようなものかわからないと不安が募ってしまいますよね。

この記事では、骨移植の治療内容や費用、治療の流れ、メリット・デメリットを詳しく解説します。

更新日:2025/05/23

骨移植

■目次

  1. この記事のポイント3つ
  2. 骨移植で使われる骨の種類と特徴は?
  3. 自家骨(じかこつ)
  4. 他家骨(たかこつ)
  5. 異種骨(いしゅこつ)
  6. 代用骨(だいようこつ)
  7. 骨移植の費用はいくら?公的医療保険は使える?
  8. 【術式別】骨移植の費用相場
  9. 骨移植の治療期間はどのくらい?
  10. 骨移植の治療の流れ
  11. ①骨が足りない状態
  12. ②移植骨の固定
  13. ③インプラント体の埋入
  14. 骨移植のメリット・デメリット
  15. 骨移植のメリットとは?
  16. 骨移植のデメリットとは?
  17. まとめ
  18. 記事監修

この記事のポイント3つ

・骨移植には自家骨、他家骨、異種骨、代用骨の4種類があり、メリットとデメリットがあります。
・骨移植の費用は50,000~100,000円で、インプラント治療の費用が別途かかります。
・骨移植によりインプラント治療が可能になり、審美性も向上しますが、費用が増えて治療期間が長くなり、手術による合併症のリスクが高まるデメリットもあります。

骨移植で使われる骨の種類と特徴は?

骨移植

骨移植用の骨は主に4種類あります。移植骨の種類と特徴を解説します。

自家骨(じかこつ)

自家骨とは患者さん自身の骨のことで、下顎や骨盤などの骨を一部採取し移植します。他の移植骨よりも拒否反応が起きにくいメリットがあります。一方、手術による身体的負担があり、採取できる量に限りがあります。

他家骨(たかこつ)

他家骨とは、本人以外から採取した骨です。感染や拒否反応により適合しないリスクがあるため用いられることは稀です。

異種骨(いしゅこつ)

人間以外の牛などの動物から採取した骨を化学処理して使用されます。骨を採取する身体的負担がなく、移植する骨量の制限も無いメリットがある一方、狂牛病などの感染リスクが少なからずあり、拒否反応の可能性もある点がデメリットです。

代用骨(だいようこつ)

人工的に作られた骨です。骨から感染が起こるリスクがなく、多くの骨量を確保することも可能となります。ただし、骨の形成を促す能力が代用骨自体にないというデメリットがあります。

骨移植の費用はいくら?公的医療保険は使える?

骨移植の費用は、50,000~100,000円が相場です。別途、インプラント治療の費用に1本あたり300,000~400,000円がかかります。インプラント治療の費用は、基本的に公的医療保険の適用外です。

【術式別】骨移植の費用相場

骨移植

術式別に骨移植の費用相場を見ていきましょう。

2024年11月 株式会社メディカルネット調べ

骨移植の治療期間はどのくらい?

骨移植が適応になる場合、移植骨が定着するまで目安として3~6ヶ月かかります。その後、インプラント治療を開始するとさらに3~6ヶ月かかることが一般的です。

治療期間には、いくつかの要因が影響します。

・患者さんの健康状態(免疫力や病気など)
・骨の質や量(骨の不足具合など)
・使用する材料(自家骨、同種骨、人工骨など)
・インプラント(タイプや方法など)

個々の治療にかかる期間は大きく異なります。定期的な診察や検査を受けることで、治療の進行状況をしっかりと確認してもらいましょう。

骨移植の治療の流れ

骨移植の治療の流れは以下の通りです。

①骨が足りない状態

歯を失って長期間放置していた場合、使われていない歯を支えていた骨は痩せてしまいます。顎骨の厚みが足りなくなり、インプラント体をそのまま埋入することができません。

②移植骨の固定

顎骨が足りない部分に移植骨を入れて、特殊な膜やネジで骨を固定します。移植骨が定着するまで数ヶ月待ちます。

③インプラント体の埋入

移植骨が定着したらインプラント体を埋入します。場合によっては骨移植とインプラント体の埋入を同時に行うこともあります。

骨移植のメリット・デメリット

骨移植はインプラント治療を可能にする以外にもメリットがあります。デメリットもあるため十分な検討が必要です。

骨移植のメリットとは?

骨移植のメリットを紹介します。

・インプラント治療に必要な骨量を確保できる
顎骨の量が足りないためインプラント治療を断られた患者さんも、骨移植を受けることでインプラント治療が可能になるケースがあります。

・インプラント体の初期固定を得やすくなる
インプラント体が埋入直後に顎骨と固定されることを初期固定といいます。初期固定は、その後の骨結合に大きな影響を与えます。骨移植によって顎骨の量が多くなれば、初期固定を得やすくなります。

・口元(歯茎)の審美的向上に役立つ
顎骨の量が増えると顎骨を覆う歯茎の形状にも良い影響があります。骨移植を行うことで、口元の審美性の向上にもつながります。

骨移植のデメリットとは?

骨移植のデメリットを紹介します。

・費用負担が増す
骨移植はインプラント治療で必須ではないため、別途費用がかかります。

・治療期間が長くなる
移植骨が定着するまで、3~6ヶ月かかることが一般的です。その後、インプラント治療に取りかかるため、治療が長期にわたります。

・合併症のリスクが高くなる
骨移植のための手術は、体に負担がかかるだけでなく、術後感染など合併症のリスクを高めることになります。

まとめ

インプラント治療を受けるには十分な顎骨の量(厚み)が必要です。顎骨が痩せてしまっている場合などは骨移植を受けることでインプラント治療が可能になるケースもあります。

メリットの多い骨移植ですが、デメリットもあるため、歯科医院としっかり相談して十分検討しましょう。

この記事で骨移植に対するあなたの不安が少しでも解消されたら幸いです。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。