インプラント治療で歯がない期間は避けられないの?

インプラント治療は月単位の時間のかかる治療なので、特に歯のない期間があるのを心配する方も多いです。
何ヵ月くらい歯がなく、その期間はどのような対応がとられるのかを紹介します。

更新日:2025/06/09

前歯 インプラント 歯がない期間

■目次

  1. 記事のポイント3つ
  2. インプラント治療中に歯がない期間はどのくらい?
  3. 歯がない期間が続く3つのタイミングとは?
  4. ①抜歯した後の治癒期間
  5. ②歯茎の治癒期間
  6. ③インプラントと骨が結合するまでの期間
  7. 歯がない待機期間は治療内容によって異なる
  8. 骨の治癒期間
  9. インプラント手術の種類
  10. 歯がない待機期間に入れる仮歯・入れ歯・ブリッジの費用は?
  11. 仮歯
  12. 入れ歯
  13. ブリッジ
  14. インプラント治療中にほかの歯を失ってしまったらどうなる?
  15. 治療を中断する
  16. 治療をせずに放置した場合はどうなる?
  17. 歯科医師との相談が重要
  18. まとめ

記事のポイント3つ

前歯 インプラント 歯がない期間

・歯がない期間は、仮歯・入れ歯・ブリッジなどを入れて、見た目や食事の不安を軽減できる。
・歯がない期間は平均3カ月~半年ほど。
・治療中に他の歯を失っても計画の見直しで対応可能。

インプラント治療中に歯がない期間はどのくらい?

インプラント治療中の歯がない期間は約3カ月から半年ほどです。歯がない期間は患者さんのお口の中の状態や治療計画によって大きく異なります。

インプラント治療とは、失った歯の代わりに、人工のネジを顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取りつける治療法です。

インプラント治療では、人工歯根を埋め込んだ後に骨とインプラントがしっかり結合すること(オッセオインテグレーション)を待つ期間)があります。

「歯がないまま過ごすのは心配…」という方も多いですが、手術後に仮歯をつけることが多いので、基本的には日常生活にも支障をきたしません。

歯がない期間が続く3つのタイミングとは?

インプラント治療のために抜歯して人工歯が取り付けられるまで長い期間がかかります。歯がない状態の期間も一部あります。歯がない期間がある3つの理由を紹介します。

①抜歯した後の治癒期間

抜歯してインプラントにする場合、抜歯したところの骨の回復を待ってから、手術することが多いです。骨はインプラントを埋め込む土台となるので、しっかり回復してから手術します。

②歯茎の治癒期間

歯茎を切って抜歯した場合、歯茎が回復するまで治癒期間を設ける必要があります。

インプラントを埋め込むときも歯茎に穴を開けるので、同じように治癒期間を設けます。

③インプラントと骨が結合するまでの期間

手術でインプラントが顎の骨に埋め込まれた際、インプラントが骨と結合するのを待つ期間が必要です。
インプラントが定着して安定した状態になるまでは、一般的に数ヵ月から半年かかります。

歯がない待機期間は治療内容によって異なる

歯がない期間は、患者さん一人ひとりの状況によって異なります。

骨の治癒期間

インプラントを顎骨に埋め込んだ後、しっかりと結合するまで治癒期間があります。治癒期間は数ヵ月から半年で、骨の状態や密度によって個人差があります。

また、骨量が十分でない場合は、骨造成という骨を増やす治療が必要ですが、骨造成を受けない場合より治療期間が長くなる傾向にあります。

インプラント手術の種類

インプラントの埋入方法には「1回法」と「2回法」の2種類の手術があります。

1回、2回というのは手術回数を表したものです。1回法は、歯の根の代わりとなる「インプラント体」とインプラント体と被せ物をつなぐ「アバットメント」が一体化しているインプラントを使用して行う方法です。

インプラント体の埋入直後から、アバットメントが歯茎から露出した状態になります。既にアバットメントが装着されているため、骨とインプラントが結合後に人工歯を装着できます。

2回法はインプラントを埋め込んだあとにインプラント体にヒーリングキャップと呼ばれる蓋を装着し、歯茎でインプラント体を覆って骨と結合するのを待ちます。
インプラント体と骨が結合したら再び歯茎を切開し、インプラント体からヒーリングキャップを外してアバットメントとよばれる部品を装着します。

また、抜歯後にすぐインプラントを埋入し、あらかじめ作製した仮の被せ物を取り付ける抜歯即時埋入法という治療方法もあります。抜歯即時埋入法なら、仮の歯ではありますが歯がない期間が他の方法より短くなります。

歯がない待機期間に入れる仮歯・入れ歯・ブリッジの費用は?

歯がない待機期間に仮歯や入れ歯を選択することもできます。ただし、歯科医院によって対応しているかどうか異なりますので、事前に確認が必要です。

仮歯や入れ歯の特徴や費用を解説します。

仮歯

インプラント上部にプラスチック(レジン)で作った被せ物を装着します。レジンなので比較的白い歯を選択できます。
インプラント治療は自費診療のため、インプラントに装着する仮歯も自費診療となります。

費用は約3,000円~8,000円程度です。
2025年5月 株式会社メディカルネット調べ

入れ歯

歯が一部分だけ無ければ部分入れ歯を作製して、歯がない部分を一時的に補います。固定の仕方は一般的な部分入れ歯と同じで、クラスプとよばれる金具を隣の歯に引っ掛けます。また、すべての歯がない場合は総入れ歯です。

※元々入れ歯を使っていて、入れ歯の部分をインプラントにした場合、使用していた入れ歯を調整して治療後に使用することもできます。

費用は新しく作成した場合、約30,0000~50,0000円程度です。

2025年5月 株式会社メディカルネット調べ

ブリッジ

患部の両隣の歯が治療中だったり、インプラント治療と並行して治療を受けている場合、ブリッジを入れることにより一時的に欠損した歯を補える可能性もあります。

ブリッジは入れ歯よりも見た目が自然になり、強く噛めます。しかし、隣の歯を削らなければなりません。

また、固定源となる隣の天然歯に負荷がかかり、インプラント治療中に噛み合わせに問題が生じるおそれがあるため、あまりおすすめな方法とは言えないでしょう。


費用は公的医療保険適用診療(3割負担)の場合 約10,000円~20,000円程度、自費診療の場合 約50,000円~15,0000円程度ですが、すぐにインプラントを入れる前提(予定)であれば、ブリッジによる治療は受けられないでしょう。

2025年5月 株式会社メディカルネット調べ

インプラント治療中にほかの歯を失ってしまったらどうなる?

インプラント埋入治療中にほかの歯が何らかのトラブルによって抜けてしまったら、どのような対処法があるのでしょうか?

歯を失った場所や骨の状態などにより、さまざまな対処方法が存在しています。

治療を中断する

インプラント治療中にほかの歯を失ってしまった場合、現在の治療を一時中断して再び治療計画を立て直すこともあります。

例えば、追加でインプラント治療を計画する、歯を移植する、一時的に仮歯を入れてインプラント治療と併行して治療を進めるなど、さまざまな方法が考えられます。

治療をせずに放置した場合はどうなる?

治療をしないという選択肢もありますが、放置してしまうと歯並びが悪化して噛み合わせのバランスも悪くなり、より大掛かりな治療が必要となる場合もあります。

現在治療中のインプラントにも影響する可能性があるので、後悔しないよう歯科医師とよく相談する必要があります。

歯科医師との相談が重要

インプラント治療中に別の歯を失った場合など、治療計画を見直す必要があります。その際は、歯科医師としっかり相談することが大切です。

・今の治療にどう影響するのか
・追加治療は必要か
・費用や期間はどう変わるか


これらを一緒に確認し、無理のないベストな治療方法を選びましょう。

まとめ

インプラント治療では、人工の歯をつけるまでの間に「仮歯」を使うことがよくあります。特に前歯など目立つ箇所では、見た目を気にせず過ごせるように仮歯があると安心です。

インプラントの目的は、失った見た目と噛む機能をしっかりと取り戻すことです。治療期間が長くなるため、ゴールをしっかり見据えてあせら図、歯科医師の指示通り治療を受けましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。