インプラント治療は何日かかる?治療の流れと各工程でかかる期間も紹介
これからの歯の健康を考え、インプラント治療を受けようと思っている方も多いのではないでしょうか。治療中に仕事や生活に支障をきたすかもと考えると、なかなか踏み出せないですよね。
この記事では、インプラント治療がどのくらいかかるかを解説します。治療の各工程でかかる日数(期間)を詳しく紹介しますので、インプラント治療を検討している方はぜひご覧ください。
更新日:2025/08/01

■目次
記事のポイント3つ

・インプラント治療は、早ければ3ヶ月程度で終わる。
・インプラントの本数や治療部位、顎骨の量・質により治療期間が異なる。
・インプラント治療が長期化する理由は、インプラント体と顎骨が結合するのを待機する必要があり、顎骨の量などによっては追加の処置(手術)も必要になるため。
インプラント治療は何日かかる?【目安は3ヶ月~1年程度】
インプラント治療に何日かかるかは、患者さんそれぞれで差があります。顎骨の量が充分にあれば、すぐにインプラント体を埋め込めるため、3ヶ月程度で治療が終わるケースもあります。一方、顎の骨量が少なく顎骨を増やす手術が事前に必要な場合、1年程度の治療期間が必要なことがあります。
一般的に、顎の質(硬さ)の観点で下顎よりも上顎が治療に時間がかかります。また、インプラントの本数が多い、虫歯や歯周病がある場合も治療期間が長引くでしょう。
インプラント治療の流れと各工程でかかる期間
一般的に、インプラント治療は以下の流れで行われます。それぞれの工程でかかる期間も紹介します。
①カウンセリング・検査:2日~2週間程度
インプラント治療では、最初にカウンセリングと検査を行われます。特に重要なのが、インプラント体を埋め込む手術ができる状態かの確認です。
CT検査や全身の健康状態の問診によって、安全に治療ができるかをチェックし、綿密な治療計画を立てられます。1~3回ほど通院し、期間は2日~2週間程度です。
②インプラント手術:1日~6ヶ月程度
顎骨に穴をあけてインプラント体を埋め込む手術を行います。手術は1回法と2回法の2つの方法があり、患者さんのお口の状態などによって適切な治療法が選択されます。
1回法
手術が1回で済む治療法です。インプラント体を埋め込む部分の歯肉を切開し、露出した顎骨にドリルで穴をあけます。インプラント体を埋め込み、人工歯の土台となるアバットメントという部品を連結します。治療期間は1日です。ただし、顎骨の量が充分にあり、インプラント体と顎骨が安定して結合すると考えられるケースで1回法が適応されることが多いです。
2回法
手術を2回に分けて行う治療法です。顎骨の量が少ない場合、2回法が選択されます。1回目の手術では、インプラント体を顎骨に埋め込んだ後に切った歯肉を縫合します。インプラント体と顎骨が結合するまで待ち、2回目の手術では歯肉を切開してアバットメントを連結します。
インプラント体と顎骨が結合するまでの待機期間は、下顎は2~3ヶ月程度、上顎は5~6ヶ月程度です。
③インプラント定着(待機)期間:3~6ヶ月程度
インプラント治療では、インプラント体と顎骨が結合するまでに多くの時間を要します。下顎か上顎のどちらにインプラント体を埋め込むか、患者さんの顎骨の状態は良いか、などによって期間は異なります。結合するまで早ければ3ヶ月程度、場合によっては6ヶ月程度かかることもあります。
④人工歯の装着:1日
人工歯をアバットメントに取り付ければインプラント治療の完了です。噛み合わせなどに問題がなければ、メンテナンスへ移行します。カウンセリング・検査から人工歯の装着まで、治療期間は3ヶ月~1年程度です。
→人工歯の装着に関しては、インプラントネットのお悩み相談室に寄せられた「インプラントの被せ物がすぐ取れる」のページもご参考ください。
⑤メンテナンス:3~6ヶ月に1回程度
インプラントを長持ちさせるために、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。はじめのうちは1ヶ月に1回程度、その後は3~6ヶ月に1回程度の頻度で通院することが多いです。
メンテナンスでは、インプラントや歯肉の状態、噛み合わせのチェック、汚れの除去、歯磨き指導などが行われます。
適切なメンテナンスにより、10年、20年にわたってインプラントを使用することも可能です。日々の手入れや歯科医院でのメンテナンスを怠ると、インプラント周囲の歯肉が歯周病のような状態になる「インプラント周囲炎」を発症し、顎骨の吸収が引き起こされます。インプラントがぐらつき、最終的には脱落する場合もあります。
インプラント治療では歯がない期間ができる?
インプラント体を埋め込んでから人工歯を装着するまでは、仮歯を使用する期間があります。歯がない期間は基本的に発生しません(医院の方針や手術箇所などによります)。
仮歯は耐久性が低く、脱落などのトラブルがあります。見た目上問題がない奥歯などは、仮歯を使用しない場合もあります。
治療開始前に、仮歯の有無について歯科医師に確認しておきましょう。また、仮歯でおせんべいなどの硬い食べ物を噛まないよう注意するのが良いでしょう。
インプラントの治療期間が延びる理由
インプラント手術以外に別の処置(手術)が必要な場合、インプラントの治療が長引きます。インプラント体を埋め込むには、充分な顎骨の量が必要です。顎骨の厚みが足りなければ、先に顎骨を増やす手術が必要となります。
具体的な治療内容と治療期間を解説します。
顎の骨を増やす手術:4~7ヶ月程度
歯を失ったまま長期間放置していた場合、顎骨の吸収が起こり、インプラント体を埋め込むには顎骨の量が足りないケースがあります。こうした場合、骨移植法・サイナスリフト・ソケットリフトといった治療法で顎骨を増やします。
骨移植法は、顎骨が足りない部分に自家骨や人工骨を用いる治療法です。自家骨を使用する場合、下顎の骨(大臼歯のある付近など)から骨を採取・移植します。
サイナスリフトとソケットリフトは、上顎の骨を増やすための治療法です。どちらも上顎洞という空洞の底の部分を持ち上げて、空いたスペースに人工骨を詰めて顎骨の量を増やします。増やす骨の量が多い場合はサイナスリフト、少ない骨の量で済む場合はソケットリフトが適応されます。
骨誘導再生:3~6ヶ月程度
骨誘導再生は、GBR法ともよばれる治療法です。インプラント体を埋め込む手術の際に、歯肉の内側に骨補填剤を入れて顎骨の量を増やします。特殊な人工膜で覆うことで骨の再生を促します。
歯茎の移植手術:1~2ヶ月程度
歯周病が進行して歯肉が下がっている場合、笑った時などに人工歯だけでなくインプラント体まで見えてしまう可能性があります。また、歯肉の量が充分でない場合、機能面や清掃面にも悪影響を及ぼします。それを防ぐため、インプラント周囲に歯肉を移植する手術が必要です。
まとめ
インプラント治療は、早ければトータル3ヶ月で終わるケースもあります。ただし、インプラントの本数や治療部位によって治療期間は異なります。
顎骨の厚みが不足し歯茎の移植手術が必要な場合は治療期間が延びます。長ければ1年程度の治療期間を要するケースもあるでしょう。
インプラント治療は長い期間がかかることを理解した上で取り組む必要があります。この記事で「インプラントには何日かかるの?」というあなたの疑問・不安が少しでも解消されたら幸いです。
記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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