インプラント治療における歯科衛生士の具体的な役割

インプラント治療の中で歯科衛生士(以下、衛生士)はどのようなことに携わっているのでしょうか?患者様と接するところから、診療では見えないところまでご紹介します。

更新日:2019/09/25

■目次

  1. インプラント治療前後のお口の健康管理
  2. インプラント手術の介助
  3. 器具の衛生管理

インプラント治療前後のお口の健康管理

 お口の健康管理

治療前
歯周病の方は、インプラントが早期に抜け落ちる恐れがあり、インプラント治療を始める前に歯周病菌をできる限り減らしておくことが必要です。

治療後

インプラントを長持ちさせるには、治療後のお口の状態を維持し続けることが大切です。丁寧に歯を磨いているつもりでも、汚れを100%落とすことは難しく、磨き残しによって炎症が起こることもあります。このようなことを防ぐために、定期的にお口や食生活のチェックをし、指導やお口のケアなどの管理が必要です。

歯周病の治療は、国家資格を持つ歯科医師と衛生士が実施できますが、歯科医師の治療計画に基づいて、衛生士が治療や指導などにあたることが一般的です。主に次のようなことを行います。

歯周病改善、または予防のための指導

虫歯や歯周病は細菌の増加によって起こるもので、多くの場合にブラッシングや生活習慣を整えることで予防することができます。インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病と似た症状(インプラント周囲粘膜炎、インプラント周囲炎)を引き起こすことがあります。治療中や治療後に、インプラントやその他の歯に影響がでないようにするために、患者様一人ひとりに適した指導が行われます。

歯周病菌を減らす治療

歯の表面や歯と歯茎の間に付いたプラークや歯石は、歯周病菌を増殖させてしまいます。専用の機械や器具にて炎症の要因を取り除き、再び汚れを付きにくくさせる必要があります。お口の状態に応じて、着色やプラークを落とすクリーニング、PMTC、ブラッシングや、歯石を落とすスケーリング、ルートプレーニングなどを行い、お口の環境を整えます。

インプラント手術の介助

インプラント手術は歯科医師が一人で行うことはできず、唾液や血液の吸引、視野の確保、治療器具の受け渡しなどの介助が必要で、これにあたって口腔外科や解剖学、手術の流れなどの知識を要します。段取りよく手術を進行させることは、患者様の負担や手術による感染のリスクなどを軽減させることになります。

器具の衛生管理

インプラント治療は、顎の骨の中にチタンを埋め込む外科手術を行います。器具の衛生管理ができていなければ、細菌による感染を引き起こし、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。このような事態を避けるために、洗浄、消毒、滅菌について正しい知識をもち、それを実施してインプラント治療に備えることが必要です。また、一度消毒や滅菌をしたとしても、その効果には期限があり、期限切れのものを手術に用いないよう管理されています。



お口の健康管理以外であれば、歯科助手の方でもトレーニングを受けて治療に携わっていることもありますが、衛生士は歯科全般に関する知識があります。治療を受けるなかで不安や疑問があれば、衛生士に聞いてみるとよいでしょう。

>>インプラント治療の疑問、歯科衛生士さんに聞いてもいい?

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。