歯科技工士の仕事内容とは?年収や仕事内容について

インプラント治療を受ける際に被せ物を装着しますが、その被せ物を作っているのは歯科医師だと思っている方が多いのではないでしょうか。

インプラントを埋め込む手術や被せ物の装着は歯科医師が行いますが、実はほとんどの被せ物は歯科技工士という職業の方が作っているんです。

歯科技工士は歯科治療の現場に出てくることが少なく、実際に話す機会はありませんが、欠かすことのできない重要な役割を担う職業です。

今回は、歯科技工士という職業に関する基礎知識、歯科衛生士との違い、具体的な仕事内容、就職先の選択肢や年収、なる方法などについて詳しく解説します。

更新日:2024/06/13

歯科技工士 仕事内容

■目次

  1. 歯科技工士とは?
  2. 歯科技工士と歯科衛生士との違いは?
  3. 歯科技工士の仕事内容とは
  4. 代表的な歯科技工物
  5. クラウン(被せ物)
  6. ブリッジ
  7. 入れ歯
  8. インプラント
  9. 歯科技工士の就職先はどこ?
  10. 歯科技工所
  11. 歯科医院
  12. 病院や大学内の歯科技工室
  13. 歯科のメーカーや材料屋さん
  14. 歯科技工士になるには
  15. 歯科技工士の年収
  16. インプラント専門歯科技工士という道も
  17. まとめ

歯科技工士とは?

歯科技工士 仕事内容

歯科技工士とは、入れ歯・被せ物・詰め物・矯正器具・インプラント治療などの補綴物(歯科技工物と総称されます)に関する製作・加工・修正・修理を行う職業です。患者さんのお口を直接治療しませんが、歯科医師の技工指示書に基づいて作業を行う専門的な業務内容は、歯科医療の現場において欠かすことができないとても重要な職業です。

歯科技工士と歯科衛生士との違いは?

歯科技工士と歯科衛生士はどちらも歯科医師をサポートする職業ですが、行う業務は大きく異なります。歯科衛生士はブラッシングの方法をはじめとする保健指導に加え、歯科医師の診療補助や、歯石の除去・専門的なクリーニングなどを行います。
その一方で、歯科技工士は実際の歯科治療は行わず主に歯科技工物の製作に徹しています。
歯科衛生士は直接お口の中を触れる、歯科技工士は直接お口の中を触れない、ここが大きな違いです。

歯科技工士の仕事内容とは

歯科技工士の主な仕事内容は、歯科医師の技工指示書に従い、入れ歯・詰め物・被せ物・インプラントのような「歯科技工物」と呼ばれる補綴物を製作することです。また、入れ歯等の補綴物の形状や大きさが合わなくなったり、破損してしまった際の修理や調整も行います。

歯科技工物は患者さん一人ひとりお口の中、治療内容、使用する材料など違うので完全オーダーメイドで製作しています。歯科技工士の技術やセンス、経験を活かしお口の中で機能させることが歯科技工士としての醍醐味といえるのではないでしょうか。

代表的な歯科技工物

歯科技工士 仕事内容

歯科技工士が製作する歯科技工物には、さまざまな種類があり、代表的な例は、以下の5つです。

インレー(詰め物)

インレーは俗に言う「詰め物」のことで、虫歯の治療で歯を削った際にできた穴を補うために使われます。金属、セラミック、プラスチック(レジン)などの素材で製作され、比較的規模の小さい虫歯の治療において使用されることが多いです。

クラウン(被せ物)

クラウンは俗に言う「被せ物」のことで、日常生活における事故や、虫歯などの治療で欠けてしまった歯を覆うために使われます。インレーよりも処置範囲が広い場合に使用されることが多く、素材はインレーと同じく、金属、セラミック、プラスチックなどで製作します。

ブリッジ

ブリッジとは、歯を失った部分の両隣に残っている歯を削って土台を作り、その部分に橋を渡すように装着する補綴物のことです。健康な歯を削らないといけないリスクはありますが、1~2本程度の歯を失った際、できるだけ見た目を自然に治療したい場合に使用されます。

入れ歯

入れ歯は、歯を失った部分に装着する補綴物で、「部分入れ歯」と「総入れ歯」という2つの種類に大別されます。失った歯の本数が比較的少ない場合に用いられる部分入れ歯は、「クラスプ」という留め具を残っている歯に引っ掛けて装着します。全ての歯を失った場合に用いられる総入れ歯は、歯茎(土手)の凹凸やお口周りの筋肉を利用して入れ歯で噛めるように安定させます。

インプラント

インプラントは、スクリュー状の「フィクスチャー」と呼ばれる人工歯根を顎の骨に埋め込み、上部構造(被せ物)を装着する治療です。
インプラント治療における歯科技工士の役割は、フィクスチャーを顎の骨に埋め込むためのガイドを製作したり、フィクスチャーと上部構造を連結させるためのパーツ「アバットメント」の角度を調整したり、上部構造の製作を行ったりします。

歯科技工士の就職先はどこ?

歯科技工士 仕事内容

歯科技工士の知識と技術は業界で幅広いニーズがあり、就職先は多岐にわたります。歯科技工士の主な就職先を見ていきましょう。

歯科技工所

歯科技工所とは、歯科医院や歯科診療所からの依頼に合わせて発注された歯科技工物を製作する施設です。歯科技工物の製作が主要な業務であり、自らのスキルを高めるために役立つ環境といえるでしょう。厚生労働省が2020年に公開した資料によると、歯科技工士の就職先のうち約7割が歯科技工所となっており、多くの歯科技工士の就職先であると考えてよいでしょう。

参考:厚生労働省

歯科医院

歯科医院では歯科医師や歯科衛生士と協力しスタッフの一員として業務を行います。歯科医師と連携を取ったり、患者さんのお口の中を実際に確認し製作した補綴物の使用感を伺うなど、ダイレクトに人と携わりながらフィードバックも受けられるため、歯科技工士としての実践的な能力を向上させることにつながるでしょう。

病院や大学内の歯科技工室

歯科医院内に歯科技工室が備わっている総合病院であれば、病院専属の歯科技工士として働くことができます。総合病院ではより幅広い症例に携わることが可能で、一般的な歯科医院では対処が難しい患者さんの症例を担当することもあります。

歯科のメーカーや材料屋さん

残念ながら歯科技工士の離職率は高く、多くの歯科技工士は臨床の場を離れてしまうことが現実です。しかし、培った知識や知見を活かし違った形で歯科業界に携わる選択肢もあります。
歯科医院からの材料の注文や機器・器材のアフターフォロー、歯科メーカーで商品開発・提案など専門知識を腐らせることなく活かせるのは強みといえるのではないでしょうか。

歯科技工士になるには

歯科技工士になるためには、国家試験に合格して資格を取得する必要があります。高校を卒業した後に、全国に存在する歯科技工士のための教育機関に入学し、2年以上にわたってカリキュラムを経て国家試験の受験資格を得ることができます。

国家試験は1年に1度実施され、学説試験と実地試験の両方を受ける必要があり、それぞれ合格基準を満たさなければなりません。国家試験に合格した後に、指定の登録機関に申請を行うことによって、歯科技工士の名簿に登録され歯科技工士の免許を取得することができます。

歯科技工士の年収

歯科技工士 仕事内容

公益社団法人 日本歯科技工士会が2021年に公開した報告書によると、年収が3,000,000~4,000,000円未満と回答した歯科技工士が、全体の20%と最も多くなっています。また、2,000,000円未満が12.5%、2,000,000~3,000,000円未満が18.8%と、年収が4,000,000円以下の歯科技工士が、全体の約半分を占める結果となっています。

その一方で、4,000,000~5,000,000円未満が14.5%、5,000,000~6,000,000円未満が8.2%、600~700万円未満が7.6%と、年収が4,000,000円以上の歯科技工士も全体の約40%に及んでいます。4.8%の歯科技工士が10,000,000円以上の年収を得ていることもあり、年収の幅は広いと考えられます。

参考:公益社団法人 日本歯科技工士会

インプラント専門歯科技工士という道も

インプラント治療の普及と発展に伴い、インプラントに関する知識やスキルを豊富に有する歯科技工士の需要も高まっています。それに伴い、日本口腔インプラント学会が設けた資格の一つとなっている「インプラント専門歯科技工士」の認定を受け、インプラントに特化した歯科技工士になるという選択肢もあります。

日本口腔インプラント学会のホームページによると、インプラント専門歯科技工士の申請資格は次のように明言されています。

インプラント専門歯科技工士の認定を受けようとする者は、申請時に以下の各号すべてに該当することを要する。

(1)日本国歯科技工士の免許証を有すること。
(2)2年以上継続して正会員であること。
(3)本会学術大会または支部学術大会に2回以上参加していること。
(4)インプラント専門歯科技工士教育講座を2回以上受講していること。
(5)口腔インプラント専門医1名の推薦があること。


ただし、上記5つの条件を満たしていたとしても、日本口腔インプラント学会が指定した試験に合格しなければ、資格の取得は果たせません。それだけに、「インプラント専門歯科技工士」という肩書きと、それに相応しい知識・スキルはインプラント治療の現場において大いに役立つといえるでしょう。

引用:日本口腔インプラント学会

まとめ

歯科技工士は、歯科治療で使用する歯科技工物の製作や修理・修正を行う職業です。また、日本口腔インプラント学会の認定制度である「インプラント専門歯科技工士」を取得すればインプラント治療に強みを持つ歯科技工士として活躍できる可能性を広げられます。

歯科技工士は業界で幅広い需要があり、歯科治療において欠かすことのできない存在です。歯科技工士の道に興味がある方は将来の選択肢の一つとして、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。