「健康維持とインプラント治療 〜社会的ニーズを考え原点を見直す〜」
- 第46回(社)日本口腔インプラント学会

会場 名古屋国際会議場外観
▲ 会場 ▲ 名古屋国際会議場外観

第46回(社)日本口腔インプラント学会

2016年9月16日(金)から18日(日)の3日間にわたり、名古屋国際会議場で「第46回(社)日本口腔インプラント学会・学術大会」が開催されました。全国の歯科医師・歯科従事者が一同に集まりました。

※『日本口腔インプラント学会』は、日本の口腔インプラント学の振興・向上を推進することを目的とし、1986年に日本歯科インプラント学会と日本デンタルインプラント研究学会が合併して設立されました。現在、会員数14,000名にものぼり、年1回「総会・学術大会」が開催されています。大会では、多数の一般講演のほか、特別講演、教育講演、シンポジウムなどが行われ、歯科従事者の知識や技能の研鑽・習得が図られています。
内観 学会案内
▲ 内観 ▲ 学会案内

今学会のメインテーマは、『健康維持とインプラント治療 〜社会的ニーズを考え原点を見直す〜』です。インプラントで失った歯の機能、審美性をインプラントで改善することを目的とし、現在の高齢化社会における、咀嚼、嚥下機能回復が医療費、介護費の削減につながる内容になります。
下記に、注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介致します。


■ 注目を集めたプログラム

【シンポジウム4】「年齢と症例から考える上部構造の選択肢 −20年後のメインテナンスを考慮した上部構造とは?−」

座長: 梅原 一浩先生(青森インプラント研究会)/関根 秀志先生(奥羽大学歯学部口腔インプラント学)


■「20年後を見据えたインプラントによる欠損補綴を考える」
講師:田中 譲治先生(一般社団法人 日本インプラント臨床研究会)
20年後を見据えたインプラント治療では、50歳迄は咀嚼と審美に重点を置き、50〜70歳代は咀嚼改善が重要、70歳代からは咀嚼維持が最も重要であると述べられました。
60代と80代のインプラント治療を行った患者様をビデオで紹介。指1本で歯の取り外しが簡単にでき、固い物を食べることができるようになったという患者様の喜びの声が伝わりました。
天然歯補綴とインプラント補綴の比較では、インプラント補綴は、患者様のライフステージに合わせて設計、変更できるのがスクリュー利点であるとお話され、インプラントオーバーデンチャーに設計変更する必要度レベルについては、手の不自由さ、口腔機能、認知症など5段階評価し設計変更することを説明されました。


■「長期予後を考慮したインプラント補綴を考える」
講師:松下 恭之先生(九州大学病院義歯補綴科)
介護現場から見るインプラント補綴として、ケアマネージャーや介護士から、口腔内の清掃が難しいという感想を聞くことがあり、症例を通じて高齢者の口腔内に適応できるインプラント補綴デザイン(可撤性)を考えることについてお話されました。
インプラントを入れることで、遊離端欠損が中間欠損、インプラントオーバーデンチャーへと設計変更すること、設計変更する必要度レベルの評価、コーヌスブリッジにアタッチメント支台を取り込んだ可撤性ブリッジの症例について説明されました。


■「長期成功のためのインプラントと上部構造ー20年後のメインテナンスを考慮した上部構造とは?ー」
講師:飯島 俊一先生(東京歯科大学 口腔インプラント学講座)
インプラント修復における合併症の中でもインプラント周囲炎が多いことを述べられ、インプラントを細く強くするために自分でインプラントを作られたお話をされました。


内観 学会案内
▲ 会場風景

【シンポジウム7】
「インプラント補綴におけるオールセラミック修復の是非」

座長:近藤 尚知先生(岩手医科大学 補綴・インプラント学講座)/簗瀬 武史先生(公益社団法人 日本歯科先端技術研究所)


■「オールセラミック修復における咬合治療について」
講師:小川 匠先生(鶴見大学歯学部クラウンブリッジ補綴学講座)
ブラキシズムの補綴装置への影響を検討することについて講演されました。審美的な要件を満足するAC修復は有用であり、セラミックの材料特性を十分に理解することを言及されました。


■「インプラント補綴におけるセラミックの優位性と問題点」
講師:日 豊彦先生(関東・甲信越支部)
アバットメントにはチタンとジルコニアがあり、インプラントの上部構造の選択はそれぞれメリットデメリットがあることをお話されました。具体的には、チタンよりプラークが付着しづらいジルコニアのような酸化物セラミックが良いと述べられ、透明度を高くすると破折がおきやすくなるとお話されました


■「口腔内スキャナーによる咬合面の経時的観察」
講師:田邉 憲昌先生(岩手医科大学歯学部 補綴・インプラント学講座)
上部構造の材質について、咬合力の強さやプラキシズムに耐える材料を使い、オールセラミックの修復力のトラブルと原因について講演されました。審美的な要件を満足するにはオールセラミック修復は有用であるが、上部構造に経過観察が重要であると述べられました。


会場風景
▲ 会場風景

【特別講演U】 「インプラント治療の原点を考える」

座長:山内 六男先生(朝日大学歯学部歯学科)/林 尚史先生(愛知インプラントセンター)


■「部分欠損症例における天然歯とインプラントの共存」
講師:小川 匠先生(鶴見大学歯学部クラウンブリッジ補綴学講座)
3つのコンセプト「清掃性の高い歯周環境」「精密な補綴修復」「安定した咬合」について講演されました。日本人は歯肉、骨が薄い人が多く、歯、歯肉、骨の3つのカリエスが進むと連続性の組織が失われることについて述べられました。インプラントに対して天然歯は炎症のコントロールが大事であり、インプラントと天然歯の歯列のラインに段差ができないように平坦になるようにするには、生物学的幅径を考える必要があるとお話されました。 咬合のオーバーロードについては、過剰な早期接触、広い咬合面、パラファクションなど天然歯とインプラントの違いをしっかり知ることが大事であると言及されました。 48才女性の歯周病患者の動揺、骨吸収をしている症例を説明されました。「歯周病患者さんにおけるインプラント治療」が難しい問題であり、歯周病の既往がある人はインプラント周囲炎の発症率は約30%であると述べられました。できるだけ天然歯を健康にしておかないといけないのでSPTをしっかり徹底することを強調されました。 インプラントの今後の課題としては、身体の変化にインプラントは取り残されると述べられ、咬合の変化に合わせて、固定式から可撤式にするなどインプラントの上部構造を変えていくという考え方が高齢化社会において大事であるとお話されました。そして、私達歯科医師はデンタルライフプランナーとして、患者様に寄り添っていかなければならないと訴えられました。


会場風景
▲ 会場風景

【ランチョンセミナー5】

「医療安全から見た静脈鎮静療法とモニタリング」

座長:鈴木 利保先生(東海大学医学部 外科学系麻酔科)
講師:重原 聡先生(湘南デンタルケアー インプラントクリニック)
共催:マシモジャパン株式会社


全身群発性のリスクが高くなっているため、リスクへの対応、何か起こった際の対応に備える予防を考えることについてお話されました。 術中合併症が起こる場合があるのも事実であるため、術中は人の監視とモニタリングを行い、バイタルサインの中で、意識レベル、呼吸、脈拍、血圧、体温があるが、その中でも呼吸の管理は最も重要なバイタルサインの一つであると強調されました。 術中の患者様の意識 呼びかけへの応答については、口腔内手術には特殊性があると説明され、聴講者全員がお茶を口の中に入れ上を向いたまま飲み込み、患者様は上を向いて口を開けた状態で唾液や水を飲みこむことは辛いことを体感しました。 また、モニタリングについては術前から帰るまで行い、術後は患者様が帰宅した後に電話で問題が無いか確認しているというお話をされました。
インプラント手術において、呼吸モニターがあれば患者様の負担が軽減されること、リスクマネジメントとして静脈鎮静法は有用であると述べられました。


ランチョンセミナー風景
▲ ランチョンセミナー風景

■ ポスター閲覧

ポスター会場では、日本口腔インプラント学会の会員による研究や症例の報告が展示されており、多くの先生方が展示を見学していました。

ポスター会場
▲ ポスター会場

■ 企業展示

企業展示では、多くの企業の展示や販売が行われていました。私たち「インプラントネット」も、インプラント治療後の保証サービスを提供する「株式会社ガイドデント」と共にブースを出展し歯科医師、衛生士、技工士、学生の方にたいして当サイトをご紹介させていただきました。

インプラントネット 展示ブース
▲ インプラントネット 展示ブース
ご来場者へのプレゼント(歯ブラシセット)
▲ ご来場者へのプレゼント(歯ブラシセット)
※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。
レポート:インプラントネット事務局
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