インプラント治療に伴う血液検査について

インプラント治療を始める前に、血液検査や健康診断、人間ドックなどで行った血液検査の結果を持参するよう歯科医師より指示が出ることがあります(歯科医院で血液検査を行うこともあります)。インプラント治療をする上で、なぜ、血液検査の結果を知っておく必要があるのでしょうか。

更新日:2020/08/21

■目次

  1. 血液検査でわかること
  2. 血液検査はインプラント治療に必要?
  3. 血液検査で異常が見つかったら?
  4. 費用について

血液検査でわかること

インプラント治療は歯茎を切って、あごの骨にインプラントを埋め込む外科手術が必要です。血液検査の結果を確認することで、手術時に血が止まりにくいことはないか、傷口の治りが遅くはないか、外科手術を受けることが出来る体調であるかなど、治療をする上での問題点を探ることができます。
また、詳細な全身状態を把握することにより、インプラント手術中や手術後に起こるトラブルを予測することができますので、リスクに備えることができます。

血液検査はインプラント治療に必要?

歯科治療を受ける患者様のうち、1割の方は健康状態に問題がある(妊婦を含む)とされています。また、60歳以上の高齢者の7割が身体に何らかの問題を抱えているといわれています。良好な健康状態の高齢者でも若年者と比べると身体機能の低下がみられ、治療の不安や緊張からくる精神状態によって、体調の変化が起こりやすいとされています。したがって、高齢者や、健康状態に不安がある方手術の範囲が広い方などの治療方法を検討する判断材料として、血液検査の結果を確認することが多いようです。血液検査の結果が必要かどうかについては、執刀する歯科医師や麻酔科の医師(鎮静麻酔で手術を行う場合)の判断によって決まります。

ただし、インプラント治療を受けるすべての患者様に対してむやみに血液検査を行うわけではありません。患者様の年齢や、問診の内容、外科手術の範囲によっては、血液検査が必要ない(結果データの持参が不要)と判断される場合もあります。

血液検査で異常が見つかったら?

血液検査で異常が発見された場合は、どのようになるのでしょうか。

■外科手術が受けられないほど、身体の状態に問題がある場合
身体の治療を優先させて、状態が安定してからインプラント治療について検討します。

■身体の状態に問題はあるが、インプラント治療は可能な場合
内科医と連携をとり、治療が進められます。インプラント手術では、抗生剤・消炎剤などの飲み薬の量や期間の調整、治療方法(1回法や2回法など)の検討や、手術後のお口の中の消毒の回数を増やすなど工夫をして進められます。治療後も体調によっては、定期的なメンテナンスの回数を増やして、お口の状態を確認することがあります。

※1回法・2回法について
インプラントの外科手術は、大きく分けて2種類あります。一般的に、お口や身体に問題が無い場合は、1回の外科手術でインプラントに早期に仮歯をつけることが可能となる1回法が選択されることが多くなっています。一方、お口や身体の状態に問題がある場合は、インプラントを埋め込んだ後に歯茎を縫い合わせる2回法が選択されることがあります。2回の外科手術が必要となることがデメリットとしてあげられますが、歯茎を閉じてインプラントが骨としっかり固定する期間を設けることで1回法に比べ感染のリスクが低くなるため、1回法で感染が懸念される方にとっては適した方法とされています。

1回法と2回法について>>

費用について

インプラント治療のために行われる血液検査は、健康保険が適用されないため自由(保険外)診療となります。歯科医院で検査を受ける場合、自由診療は歯科医師(歯科医院)が独自に決めた費用になるため医院によって差があります。 事前に確認しておきましょう。
費用の相場…7,000円~10,500円

保険診療と自由(保険外)診療について>>

血液検査の結果を確認することはインプラント手術に伴う偶発事故を防ぎます。また、疾患がある方に対しては適切な処置で対応することができるため、治療の成功率を高めることにもつながります。

本記事の内容は患者さんのお口や体の状態により変わる事があります。治療の進め方や身体の状態に関して、不安や疑問がある方は担当の歯科医師とよくご相談ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。