インプラントでお口の見た目と機能を守りましょう!

インプラントを入れることにより、お口の見た目と機能を回復させることができます。ですが、インプラントによって機能と見た目を守り、長く使うためには様々な管理が必要です。ここでは、インプラントによって守ることができる見た目と機能について、また、手術の時やインプラントを埋め込んだあとの管理について紹介します。

更新日:2020/09/09

インプラントでお口の見た目と機能を守りましょう!

■目次

  1. (1)噛める歯があることの身体への影響について
  2. (2)インプラントでの審美改善
  3. (3)インプラント手術を行う環境や器具管理について
  4. (4)インプラントのセルフケア

(1)噛める歯があることの身体への影響について

歯を1本失っただけでは、食事にそれほど影響を感じない方も多いかもしれません。しかし、そのまま放置してしまうと、周りの歯が歯を失って空いたスペースに倒れこんできたり、噛み合う上下の歯が伸びてきてしまったりと、長期的に問題を引き起こしてくることがあります。また、多数の歯を失うといよいよ日常生活の機能に影響を感じるようになります。

歯は、笑顔でコミュニケーションをするための見た目、発音や発話、食事の咀嚼など多くの機能を担っています。多数の歯を失うと、頬が凹んで顔貌に影響を及ぼすだけでなく、当然、食事の機能にも影響があります。

しっかり噛める歯があるときは、必須のビタミンを含む野菜やタンパク質を含む魚や肉を咀嚼することができ、バランス良く栄養を取ることができます。しかし、噛める歯を失ってしまうと、あまり咀嚼しなくても飲み込めるような、炭水化物や脂質の多い偏った食事内容に変わってしまいます。また、味覚を感じるには、咀嚼によって唾液と混ざった味覚物質を舌や口腔内などに存在する感覚器官から脳に届ける必要がありますが、その機能が低下してくるので、塩分や糖分濃度のもともと高い、味付けの濃い食事を好むようになってしまうこともあります。

(2)インプラントでの審美改善

特に前歯を失った場合、口元の見た目に大きな影響があります。歯を失うと歯を支えていた骨(歯槽骨)や歯肉が吸収してしまいます。これが、ただ失った歯の部分を回復させるだけでは審美的な治療にならない理由の一つです。

インプラントによる治療では、失った機能と見た目を回復することで、大きく生活の質(QOL)を向上することが期待できますが、治療による審美改善の効果は、個々の条件によって大きな違いがでてきます。現状でどれほどの歯肉や骨組織を失ってしまっているかによって、組織移植による回復の可能性、追加侵襲の程度を予測します。このように難易度を正確に診断するための事前の検査が大切なのです。

この情報を元に、患者さんとじっくり相談して、どこまでの審美的回復を期待しているのか、歯科医師が予測した治療回復の程度とのギャップがないように、十分にコミュニケーションを取る必要があります。手術による組織の移植が困難な場合や、患者さんがそこまで審美回復を望まない場合などは、人工の歯肉を使って歯肉のピンクの部分を作ることもあります。

抜歯が必要になってしまった歯は、特に重度の歯周病が原因の場合は骨や歯肉などの組織が大きく欠損してしまっていることもあります。抜歯からインプラント治療までのタイミング、組織の回復を行う方法やタイミングなどを最適な方法で行えるよう適切な検査と診断が必要です。

また治療後に経年的には、歯肉の退縮、材料の劣化、隣り合う天然の歯の動きによる歯肉ラインの不一致などが生じ、患者さんの受け入れかた次第では、回復のための処置が必要になることもあります。

(3)インプラント手術を行う環境や器具管理について

インプラント治療では、生体に入るインプラント材料や骨を増やす材料を扱う外科手術を伴います。したがって、クリニックは外科手術が的確で清潔な環境で行えるよう準備します。生体に入るインプラント材料は当然患者さんごとに使用する滅菌材料です。そして、手術に用いられる器具は、ディスポーザブル(使い捨て)のものを用いるか、適切に滅菌されたものでなくてはなりません。

また、安全に手術が行えるよう、患者さんの全身状態を把握し、モニタリングを行うことや、応急時の迅速な対応ができる準備がある、といったことも重要な環境です。

このほかに、そもそも手術を行う患者さんの口腔内の衛生環境が管理されていることも、術前の準備と手術の成功には欠かせません。インプラント手術前に治療を済ませておく必要のあるところがないか、事前の検査で把握しています。

医師の判断のもと、感染を防ぐために処方される抗菌薬や痛み止めなどは、自己判断せず、説明通りに服用するようにしましょう。

(4)インプラントのセルフケア

インプラントは金属やセラミックでできているので、虫歯になることはありません。しかし、毎日のケアをおこたれば、インプラント周囲の組織に、歯の歯周病と似た問題を引き起こします(インプラント周囲炎)。細菌を含んだ歯の汚れである“プラーク”が引き起こす炎症が原因で、インプラントを支える骨が吸収してしまうと、インプラントを除去しなければならないこともあります。そうでなくても、口の中に細菌感染による炎症が慢性的に続いた状態を放置しておくことは、全身の病気につながるリスクを高めてしまいます。

インプラントの清掃も、歯と同じく歯ブラシで行います。とくに、上部構造(インプラントの被せ物)と歯肉の接するところのプラークをきちんと落とせているかがポイントです。ブラシが硬すぎたり、力がかかりすぎたりして歯肉を傷つけていないかチェックする必要もあります。隣り合う歯の面や、連結した上部構造の清掃には、歯ブラシのほかに、専用のフロスや歯間ブラシなどの補助器具を併用します。

個々の状況に合わせて、どのような器具と方法でプラークを落とすのがより効果的か、治療したクリニックのプロに確認して行うことが大切です。

歯周病やインプラント周囲炎の怖いところは、痛みのような症状をほとんど自覚しないため、気づかずに病状が進行するまで放置されてしまうことです。毎日のセルフケアのほかに、噛み合わせやインプラント体のぐらつき、上部構造のネジのゆるみなども含めた定期検診を、クリニックで行うことが大切です。セルフケアが自己流で効果の低いものになってしまっていないか歯科衛生士にチェックしてもらいましょう。

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記事カテゴリ

①治療前にチェックしたい!インプラントの基礎知識

②安心してインプラント治療を進めるために

③インプラントとお金に関すること

④いろいろなインプラントの治療法

⑤インプラントの種類について

⑥インプラントと骨の関係性

⑧インプラントを長持ちさせるためのケア・メンテナンス

⑨インプラント治療に関わる専門家

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。