インプラントにはフッ素入り歯磨き粉を使っていいの?

フッ素(水や食品中のフッ化物)は虫歯予防に効果的です。その一方で疑問となるが、フッ素のインプラントへの影響です。
自分自身の歯の虫歯予防に効果的でも、フッ素はインプラントを腐食させてしまうのでは?と心配される方もいらっしゃるかと思います。市販の歯磨き粉にはフッ素入りのものも多く販売されており、購入を迷うこともあるのではないでしょうか。
インプラント治療を受けた後のセルフケアについて考えている方、ぜひご覧ください!

更新日:2021/12/07

インプラントにはフッ素入り歯磨き粉を使っていいの?

■目次

  1. ①フッ素による虫歯予防とは?
  2. ②歯磨き粉などのフッ素濃度は?
  3. ③フッ素の安全性について
  4. ④フッ素はインプラントにも問題なく使用できる
  5. ⑤フッ素を使用するときに注意すべきポイント

①フッ素による虫歯予防とは?

フッ素の効果について知るために、まず虫歯がどのように発生するかについてご紹介します。
歯をしっかり磨けないと、虫歯菌を含む細菌や細菌の代謝物などによってできている歯垢(プラーク)と呼ばれるものが歯に付着します。歯垢は粘着質なので歯にしっかり付着し、歯垢から発生する酸によって歯の表面を守っている硬いエナメル質を溶かしていきます。これが、虫歯の始まりとなります。

フッ素は主に歯を強くする効果があります。また、カルシウムやリンなども歯の表面の再石灰化(溶けてしまったエナメル質を修復する力)を促進したり、歯質を強化して酸に対して抵抗性を強くするなどの効果があり、虫歯予防に有効な成分だといえます。

虫歯予防の基本は毎日の歯磨きで歯垢を取り除くことですが、これに加えて定期的にフッ素を使用する、歯科医院でフッ素を塗布することで、より虫歯になりにくいお口の環境を作ることができます。
歯科医院で受けることのできる「フッ化物塗布」は、市販の歯磨き粉や洗口液に含まれているフッ素より高濃度なため、よりフッ素の効果に期待ができます。

子どもの場合、乳歯は永久歯に比べて歯質が弱く、虫歯になりやすい状態です。子どもの歯にフッ素を使用することで、歯質の強化につながるといえるでしょう。

②歯磨き粉などのフッ素濃度は?

日本では市販されているフッ素配合の歯磨き粉について、フッ素濃度の上限を1,500ppmとしています。これは、虫歯予防の先進国といわれるスウェーデンなどの基準と同じ値です。
1,000~1,500ppmの歯磨き粉については、6歳未満の子どもには高濃度なため使用は控えるよう推奨されています。
そのため6歳未満の子ども向けの歯磨き粉は大人向けの歯磨き粉に比べて低い濃度でフッ素が配合されています。味に問題がなくても、大人と6歳未満の子どもはそれぞれの歯磨き粉を使うようにするとよいでしょう。

洗口液については、毎日口をゆすぐ「毎日法」と、週に1回ゆすぐ「週1回法」で濃度が異なります。毎日法の洗口液では225~250ppm、週1回法の洗口液では900ppmとなっています。

このほか、飲料水に含まれているフッ素濃度を、適正とされる約1ppmになるように調整して摂取する「水道水フロリデーション」によって、虫歯を予防するという方法もあります。日本では残念ながら行われていませんが、世界保健機関(WHO)なども普及を支持するなど、安全性の高い虫歯予防として注目されています。

歯科医院でフッ素を塗布する「フッ化物塗布」は、市販の商品よりずっと濃度が高く約9倍の濃度で行います。フッ化物塗布の中でもフッ化スズ溶液は1番高濃度で、12,300ppm含まれており効果がより持続します。

③フッ素の安全性について

フッ素は虫歯予防に効果がありますが、大量に飲み込んでしまうと急性中毒や、歯が白く濁って見える斑状歯(歯のフッ素症、白斑症)を引き起こす恐れがあります。

ですが、極端に高い濃度のフッ素でなければ、体への害はなく安全です。歯科医院でのフッ化物塗布も、人体に有害になるような濃度では使用しません。
では、フッ素入りの洗口液や歯磨き粉を間違えて飲み込んでしまった場合、過剰摂取となるのでしょうか。

ブクブクうがいができるようになった4歳の子どもが、濃度がより高い週1回法(濃度900ppm)の洗口を行い、1度の洗口で使用する規定量の10ml分を誤って飲みこんでしまったとしても、フッ素の過剰摂取によって中毒症状が現れる最低量を下回る量のため、問題はないと考えられています。

もし誤飲した場合は、念のためすぐに口をすすぎ、コップ1~2杯の牛乳を飲むようにしましょう。気分が悪くなるようなことがあったら、医師に相談してください。

私たちが使用しているフッ素の濃度であれば身体には安全ですが、それではチタンでできているインプラントへの安全性はどのように考えられているのでしょうか?

④フッ素はインプラントにも問題なく使用できる

歯磨き粉に含まれるフッ素が、チタン製のインプラントの劣化や、インプラント周囲炎を促進する可能性が指摘されていますが、濃度が1,000ppmを超える歯磨き粉であっても、お口の中で唾液と混ざって濃度が薄まり、お口の中では200~300ppmにまで低下します。歯磨き後には口をゆすぐため濃度はさらに下がり、チタンの劣化やインプラント周囲炎などを引き起こす問題はないといわれています。

また、チタンは歯磨き粉に含まれるフッ素の作用に関係なく、歯ブラシの刺激そのものや、歯磨き粉に含まれる研磨剤によって表面が摩耗するという研究もあり、フッ素の影響はほとんどないと考えられます。インプラントが磨耗したとしても、フッ素を使用した方が口腔内細菌の付着を抑制されたという報告もあります。ただ、あまりに高濃度フッ素には念のため気を付けておきましょう。

フッ素を使った口腔ケアは、残っている天然歯を虫歯から守ることにもつながります。
必要に応じて、フッ素を使ったケアを行うことが大切です。

⑤フッ素を使用するときに注意すべきポイント

フッ素は極端に濃度が高いものでなければ安全に使用できますが、大量に飲み込むことは中毒作用などにつながる恐れがあります。どのような物質でも、過剰摂取は身体によくありません。

市販の歯磨き粉や洗口液のフッ素濃度は上限が決められていますが、その他の高濃度のフッ素配合のものを使用したいという場合は、歯科医院でのフッ化物塗布の処置を受けることをお勧めします。。
インプラントを埋入している場合、歯科医院で使用するような高濃度のフッ化物塗布は控えた方が良い場合もあります。かかりつけの歯科医師にご相談ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性についてを公開。

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歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。