インプラントにメンテナンスが必要な理由は?費用や通院頻度も

インプラントは入れたら終わりではなく、メンテナンスを継続する必要があります。「インプラントはメンテナンスが必要」といわれる理由は何でしょうか?

この記事では、インプラントにメンテナンスが必要な3つの理由を解説します。メンテナンスにかかる費用や通院頻度についても紹介します。インプラント治療を検討している方はチェックしてみましょう。

更新日:2024/05/13

インプラント メンテナンス

■目次

  1. インプラントにメンテナンスが必要な3つの理由
  2. ①インプラント周囲炎を予防するため
  3. ②インプラント周囲の歯の健康を守るため
  4. ③保証を受けられるようにするため
  5. 歯医者さんのインプラントのメンテナンスの内容とは?
  6. お口の中の状態のチェック
  7. レントゲン検査
  8. 歯磨き指導
  9. クリーニング
  10. インプラントのメンテナンス費用と頻度
  11. メンテナンス費用の相場
  12. メンテナンス頻度
  13. インプラントのメンテナンス費用は医療費控除の対象になる?
  14. インプラントのセルフメンテナンスの方法3つ
  15. ①丁寧に歯磨きをする
  16. ②デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
  17. ③マウスウォッシュを使う
  18. ③マウスウォッシュを使う
  19. まとめ

インプラントにメンテナンスが必要な3つの理由

インプラント メンテナンス

インプラント自体は人工物のため虫歯になることはありませんが、以下3つの理由からメンテナンスを受ける必要があります。

①インプラント周囲炎を予防するため

インプラントは、治療後にインプラント周囲炎になるリスクがあります。インプラント周囲炎とはインプラントの周辺組織に歯周病菌が増殖し、歯肉や歯槽骨(歯を支える骨)が破壊されます。症状が悪化するとインプラントがぐらついたり、抜け落ちたりすることもあるため、メンテナンスが欠かせません。
インプラントの寿命は一般的に10年間~15年間程度ですが、インプラント周囲炎になると寿命が大きく縮まります。

インプラント周囲炎を予防するには、定期的にメンテナンスを受けてクリーニングすることが重要です。メンテナンスを受けている人と受けていない人では、受けていない人の方がインプラント周囲のトラブルの発生頻度が高いこともわかっています。
メンテナンスによってインプラント周囲炎の早期発見・治療にもつながります。

②インプラント周囲の歯の健康を守るため

インプラントのメンテナンスを怠るのは、自分自身の歯のメンテナンスも怠っているのと同じこととなります。インプラントの周りの菌はお口の中を動き回ることができ、自分自身の歯が虫歯になったり歯周病になるリスクがあります。

③保証を受けられるようにするため

インプラントは、歯医者さんやメーカーなどにより保証制度が設けられていることがあります。たとえば、5年や10年といった保証期間内であればインプラントに関するトラブルに対応可能で、安価な負担額で対応してもらえるのです。

保証を受けるための条件はいくつかあり、その一つに定期的なメンテナンスが含まれていることがほとんどです。メンテナンスを怠るとインプラントのトラブルが発生しやすくなるため、メンテナンスを受けない患者さんには保証が適用されない、ということになります。

歯医者さんのインプラントのメンテナンスの内容とは?

インプラント メンテナンス

インプラントのメンテナンスではどのような施術が行われるのかを解説します。歯医者さんにより異なる場合がありますが、一般的には以下のような内容です。

お口の中の状態のチェック

インプラントにぐらつきや破損がないか、インプラント周囲に炎症がないか、噛み合わせに問題がないかなどをチェックします。

また、インプラントだけではなくお口の中全体の健康や衛生状態も重要なため、虫歯や歯周病の有無、歯石などの汚れがないかといったことも丁寧に確認します。

レントゲン検査

インプラントを支える歯槽骨(しそうこつ)の炎症や吸収具合などを確認します。その他、歯石や天然歯の虫歯の有無などもチェックが可能です。

上顎の奥歯にインプラントを入れた場合には、上顎洞に炎症が起きていないかなど、レントゲン検査によって多くのことがわかります。
異常が起きてから調べるだけでなく、異常が起きる兆候がないか、症状が出る前の異常がないかを確認することができるため、患者さんが異常がないと感じていても1年に1~2度はレントゲン撮影することが多いでしょう。

歯磨き指導

インプラントを長持ちさせるには日々のセルフメンテナンスも大切です。そのため、うまく歯磨きできていない箇所の歯磨き指導を受けます。

自分では丁寧に磨いているつもりでも、歯ブラシの当て方が悪く、実は汚れを落とし切れていなかったということも少なくありません。デンタルフロスや歯間ブラシの使い方なども教わることができます。

クリーニング

専用の器具や薬剤を使って、歯のクリーニングを行います。セルフメンテナンスでは落とすことが難しい汚れも、プロの手で隅々まできれいに除去してもらえます。ひどく汚れている場合には人工歯を外してクリーニングを受けることもあります。

インプラントのメンテナンス費用と頻度

インプラント メンテナンス

インプラントを長く快適に使い続けるためにも必須のメンテナンスですが、その費用や通院頻度について解説します。

メンテナンス費用の相場

メンテナンス費用の相場は、1回あたり3,000円~5,000円程度です。基本的に公的医療保険適用外となるため、治療内容によっては10,000円を超えることもあります。

公的医療保険と自費診療でメンテナンスをする場合、一度にまとめて行うと「混合診療」という法律違反となるため2度に分けて通院する必要があります。相場以上に費用がかかることもありますので、担当の歯科医師、通院している歯科医院へ確認してみましょう。

2023年12月 株式会社メディカルネット調べ

メンテナンス頻度

メンテナンスに通う頻度は、歯医者によりさまざまです。また、お口の中の状態にもよりますが、目安としては3ヶ月~半年に1回程度です。

インプラントのメンテナンス費用は医療費控除の対象になる?

インプラントのメンテナンス費用は、医療費控除の対象になる場合があります。

医療費控除とは、1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定の基準を超える場合に、確定申告時に申請を行うことで、支払った医療費の一部が戻ってくる制度です。一般的に年間の医療費の合計が100,000円以上である場合、医療費控除を受けることができます。

年間の総所得金額が2,000,000円未満の方は、年間の医療費が総所得金額等の5%の金額を超えた場合です。

けがや病気などにより失われた歯の機能を回復させるインプラント治療は医療費控除の対象となる場合が多く、メンテナンス費用も含めることができます。また、処方された薬代や歯医者への交通費も医療費控除の対象になります。
ただし、交通費は電車やバスなどの公共交通機関を使用した場合に限ります。公共交通機関の利用が難しい方の場合、タクシー代を交通費として計上することも可能な場合がありますが、管轄の税務署にお尋ね下さい。

インプラントのセルフメンテナンスの方法3つ

インプラント治療後は、歯医者さんでのメンテナンスはもちろん、日々のセルフメンテナンスを徹底することも重要です。具体的なセルフメンテナンスの方法3つをチェックしましょう。

①丁寧に歯磨きをする

インプラントや天然歯を守るために最も大切なのが歯磨きです。歯磨きの際には細菌の塊である歯垢を落とすことを心がけましょう。

力を入れて磨くとインプラントを傷つけてしまうため、優しく撫でるように磨きます。歯肉との境目も意識して磨くようにしましょう。

②デンタルフロスや歯間ブラシを活用する

デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯ブラシだけで磨くよりもきれいに歯と歯の間のプラークを取り除くことができます。

デンタルフロスはインプラントと歯の狭い隙間の汚れを絡め取ることができ、歯間ブラシはインプラントと歯の広い隙間(歯肉に近い部分)の汚れを取り除くことができます。デンタルフロスや歯間ブラシは毎日使うようにしましょう。

③マウスウォッシュを使う

マウスウォッシュを使うことで、口の中の消毒ができます。適量を口に含んでブクブクと口の中をすすぎ、吐き出すだけなので簡単に使用できるでしょう。インプラントを長持ちさせるためにも有効です。

インプラントを入れてすぐの時期にはマウスウォッシュを使用できない場合があるため、歯科医師に相談のうえ使うようにしましょう。

③マウスウォッシュを使う

マウスウォッシュを使うことで、口の中の消毒ができます。適量を口に含んでブクブクと口の中をすすぎ、吐き出すだけなので簡単に使用できるでしょう。インプラントを長持ちさせるためにも有効です。

インプラントを入れてすぐの時期にはマウスウォッシュを使用できない場合があるため、歯科医師に相談のうえ使うようにしましょう。

まとめ

インプラント メンテナンス

インプラントにメンテナンスが必要な3つの理由は、インプラント周囲炎の早期発見・治療。予防のため、周囲の歯の健康を守るため、保証制度を受けられるようにするためです。

インプラントは一生使い続けられるわけではないものの、どれくらい長持ちさせられるかはメンテナンスに左右される部分が大きいといえるでしょう。インプラント周囲炎のリスクを減らし、健やかなお口を維持するためにもメンテナンスを継続することが大切です。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。