インプラント手術後、痛みはいつまで続く?原因や痛みの対処方法とは?

インプラント手術後、痛みは通常1週間以内で落ち着きますが、痛みの強さや持続期間に個人差があります。痛みが長引く場合、細菌感染や手術(オーバーヒート、強い圧)が原因となることがあります。痛みが続く場合はそのままにせず、歯科医師に相談しましょう。

更新日:2025/05/15

インプラント 痛み いつまで

■目次

  1. この記事のポイント3つ
  2. インプラント手術後、痛みが続く原因とは?
  3. 細菌感染
  4. オーバーヒート
  5. 強い刺激、圧、噛み合わせ
  6. インプラント手術後に痛みが続く時の対処法とは?
  7. インプラント手術後、数日痛みが続くのは大丈夫?
  8. インプラント手術後の痛みを予防する方法とは?
  9. 処方された薬を飲み切る
  10. お口の中をきれいにする
  11. 傷口を刺激しない
  12. まとめ

この記事のポイント3つ

・通常、痛みは1週間で軽減するが、痛みが長引く場合は歯科医師に相談する。
・痛みが長引く、または強くなる場合は細菌感染や手術が原因となることがある。
・痛みが続く場合は、早期に歯科医師に相談して原因を特定し、適切な対処を受けることが重要である。

インプラント手術後、痛みが続く原因とは?

インプラント 痛み いつまで

インプラントの埋め込み手術による痛みと腫れは、個人差はあるものの1週間以内に落ち着きます。

日にちが経過するにつれて痛みが軽減し、アルコール摂取や運動、お風呂で血行が良くなった際に一時的に痛みを感じる場合、問題ないケースが多いです。血流増加が原因の痛みと考えられます。

痛みの強さが全く変わらない場合・だんだん痛みが強くなっている場合はどうでしょうか?

痛みが変わらない場合、痛みが強くなる場合は、歯茎や骨が細菌感染している可能性が最も高く注意が必要です。

1-2週間痛みが続く場合や、痛みが強くなる場合の原因をいくつか紹介します。

細菌感染

インプラント手術後の強い痛みが治らない原因として、まず考えられるのが「細菌感染」です。

細菌感染の原因として、
・インプラント埋め込む際のお口の中の衛生状態が悪かった
・気になって指や舌で頻繁に術部を触ってしまった
・処方された抗生物質を飲むことを途中でやめてしまった
・手術後に飲酒してしまった
・手術後に喫煙してしまった


場合などに、インプラント埋め込み部分に痛みを感じることが多いとされています。

ほか、辛いものも傷口への刺激となりやすく、治りが遅くなり、傷口が閉じるのが遅くなり細菌感染することがあります。

また、インプラント埋め込み手術に使う器具が衛生的でなく細菌感染することも稀にあるようです。

オーバーヒート

インプラント手術後の強い痛みが治らない、痛みが悪化している場合、原因に「オーバーヒート」があります。

インプラント手術では顎の骨を削ってインプラントを埋め込みます。その際にドリルと骨の間に摩擦力が生じ、熱が発生します。

通常、冷却水を注入して摩擦による熱が上がらないように行いますが、熱が上がり過ぎるオーバーヒートが起こることがあります。

オーバーヒートによる骨の火傷で骨組織が壊死する可能性があり、インプラント体と骨がくっつかない可能性もあります。

強い刺激、圧、噛み合わせ

インプラント手術後の強い痛みが治らない、痛みが悪化している原因として、強い刺激や、圧、噛み合わせがあります。

インプラントを埋め込んだ部分に、強い刺激や圧がかかった場合や、噛み合わせによる強い力が加わってしまうとインプラント部分に痛みが出る原因となります。

特に、インプラント治療直後に仮歯を装着している方は力がかかりやすいため、痛みが出てしまうこともあるでしょう。

仮歯を入れると、歯が全くない期間を無くすことができ、食事がしやすい、歯並びや噛み合わせを維持できる、見た目が良いなどのメリットがありますが、注意が必要です。
噛み合わせに違和感を感じたら、歯科医院で調整してもらいましょう。

また、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりで強い力がかかってしまうこともあります。インプラント治療前に歯ぎしりや食いしばりがあることがわかっている方は、マウスピースを製作してもらい使用するなどの対策が良いでしょう。

インプラント手術後に痛みが続く時の対処法とは?

インプラント 痛み いつまで

インプラント埋め込み手術から1週間以上が経過しても痛みが続く場合は、どんな痛みが続いているのかを歯科医師に伝えましょう。

・抗生物質は飲み切ったか?飲み忘れはなかったか?
・いつ痛みを感じるか?
・どのような痛みか?(ズキズキ、ピリピリなど)
・痛み止めは効くか?
・飲んだ痛み止めの種類は?


などが明確だと、痛みの特定に役立つかもしれません。

痛みが長期間続く要素がなかった場合、レントゲンやCTを撮影するなど精密検査を受けて、痛みの原因を特定してもらいましょう。

軽度の細菌感染であれば、抗生物質や痛み止めで改善が見込めますが、重度の細菌感染では、インプラントや周りの組織の状態によっては、一度インプラントを除去し、感染している組織を取り除いたうえで、数ヶ月後に骨が回復してから、再度インプラントを埋め込みなおすこともあります。

痛みはインプラント周囲の状態の大切な基準でもあり、気になることや小さな不安でも相談しておくことで、問題の早期発見・治療ができる可能性が高まります。問題のない痛みだったとしても、歯科医師から説明を受けて安心することで身体や心の状態が安定し、症状が改善に向かうこともあります。

気になること、不安に思ったことを歯科医師に伝えることが、安心してインプラント治療を受けるためのポイントです。

インプラント手術後、数日痛みが続くのは大丈夫?

インプラント手術では歯茎の切開や骨を削る処置が伴います。歯茎を切る、骨を削るなどは身体に傷を付ける「侵襲性(しんしゅうせい)」の高い処置で、傷付けられた身体は自分自身を守るために免疫機能が働きます。

「炎症」は免疫機能の1つであり、腫れや痛み、熱を持つなどの症状が現れます。インプラント手術後に数日間痛みや腫れが続くことは、免疫機能が働いている証拠であり、多くの場合は問題のない痛みや腫れです。

手術中の痛みや腫れは、麻酔が効いているため感じません。しかし、麻酔が切れた後は痛みが出ます。

痛みや腫れは「侵襲性」が高いほど強く現れる傾向にあり、歯茎を広く切開した場合や骨造成手術のような処置を受けた場合、より強く痛みや腫れが出るようです。

痛みが続く期間に個人差がありますが、抜歯時の痛みと同じように、2~3日、長くても1~2週間以内に治まることが多いでしょう。

痛みや腫れがあまり強くない場合は、痛み止めの服用で改善がみられるかもしれません。歯科医院から痛み止めを処方されていない場合は、市販の痛み止めを服用しましょう。

痛みの感じ方は個人差があり、痛みへの不安やインプラントの状態に心配を感じる場合、歯科医院で1度診てもらいましょう。

インプラント手術後の痛みを予防する方法とは?

インプラント手術後の痛み、いつまで続くのか不安だと感じる方も多いのではないでしょうか。インプラント手術後の痛みを予防する方法をチェックしましょう。

処方された薬を飲み切る

手術後に医師から処方された薬は、指示の通りに飲み切りましょう。細菌感染予防のために抗生物質が処方されていることもあり、飲むのを止めてしまうと症状悪化や耐性菌出現の原因となることがあります。

ただし、症状が出た時に患者さん自身が判断して飲む「頓服薬(とんぷくやく)」である痛み止めは、処方された分すべてを飲み切らなくても問題ありません。

→インプラント治療後に飲むお薬と副作用などは「痛み止めや抗生物質、飲んでも大丈夫?インプラント治療後に飲むお薬と副作用などの注意点」の記事をご覧ください。

お口の中をきれいにする

細菌感染などによる強い痛みを予防するには、お口の中をきれいにしておくことも大切です。

手術後しばらくは傷口への刺激を避けるために、インプラント治療部分の強いブラッシングや歯磨き粉を極力控えましょう。
傷口以外はしっかり歯磨きをします。歯磨き粉を使わなくても、歯ブラシの毛先が歯にしっかりと当たっていれば汚れを落とすことができます。

傷口を刺激しない

手術後の傷口は痛みがあったり、場合によっては歯茎を糸で縫い合わせているため違和感があり、気になって触ってしまいがちです。麻酔が効いている間も、感覚がないため無意識のうちに触ってしまうことがあるようです。

触ってしまうほかに、傷口がある程度塞がるまでは辛いものや熱いものなど、歯茎を刺激するものはできるだけ避けるようにしておくと良いでしょう。

インプラント手術後に少し痛みが出るのは身体の正常な反応であり、過剰に心配することはありません。しかし、長期間痛む場合や、眠れない、心身のストレスになるような強い痛みがある場合は、担当の歯科医師に相談しましょう。

まとめ

インプラント手術後の不安は一人で抱え込まず、担当の歯科医師に相談して解決していきましょう。

早めの相談は、傷口の治りやインプラントに問題があった場合に適切な処置を早く受けることができるため、患者さんや歯科医師にとっても良いことです。
気になる点がある場合は躊躇せず、できるだけ早く担当医師に相談しましょう。

→インプラント手術に関して不安や悩みがあれば現役の歯科医師が回答している「インプラントネットの相談室」をご利用ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。