インプラント治療後にMRI検査は受けられる?知っておきたい注意点とは?
インプラント治療を受けた後に「MRI検査を受けても大丈夫?」と不安に感じている方は多いです。「インプラントは金属だから、MRI(磁気・磁場)の影響を受けるのでは?」と心配されるのも当然です。
結論、現在主流のチタン製のインプラントであれば、MRI検査は基本的に安全に受けられます。インプラントの素材や種類、撮影部位によっては注意が必要なケースもあります。
更新日:2025/11/07
■目次
インプラントがあってもMRI検査は受けられる?
インプラントが入っていても、多くはMRI検査は安全に受けられます。
特に現在主流の「チタン製インプラント」は非磁性体であり、MRI検査による磁場に大きく影響されません。
ただし、以下のケースでは注意が必要です。
・古い金属製インプラントの場合
・磁石付きの入れ歯(マグネット義歯)を使用している場合
・検査部位やインプラントの種類によっては画像に乱れが出る可能性がある場合
事前にMRI検査を受ける予定の医療機関にインプラントの素材や種類を正確に伝えることが大切です。必要に応じてインプラントを入れてもらった歯科医院から紹介状(情報提供書)をもらいましょう。
MRIとは?インプラントに与える影響は?
MRI(磁気共鳴画像法)では、磁気(磁場)を活用して体内の画像を3次元で取得します。
放射線を使わず被ばくしないため、脳や内臓、顎関節などの軟組織の精密検査に広く利用されています。
しかし、MRIの磁場は体内の金属に反応する場合があり、金属により画像の鮮明さへの影響が懸念されます。
多くの歯科用インプラントは「チタン」製です。チタンは非磁性体に近く、MRIの磁場にほとんど影響されません。
参考:MSD家庭用マニュアル
MRI検査時に気を付けるべきインプラントの種類とケース
以下の条件では注意が必要です。
古いインプラントや特殊金属
昔の製品や一部の海外製インプラントには、磁気を帯びる金属が使われている場合があります。
このような金属はMRIの強力な磁場に反応し、検査画像に乱れ(アーチファクト)を引き起こします。
アーチファクトが発生すると、正確な診断が難しくなり、場合によっては検査自体が中止されることもあります。インプラントの撤去も必要になることもあるでしょう。
インプラントの種類や製造年代が不明な場合は、事前に歯科医院で確認することが重要です。
参考:日本磁気共鳴医学会「MRI検査における体内インプラントへの対応」
検査部位がインプラント周辺の場合
MRIの撮影部位が顎や頭の場合、インプラントの金属による画像の乱れが起こる可能性があります。このような場合、担当医と相談の上、CTやレントゲンなど他の画像検査を検討することもあるでしょう。
インプラントオーバーデンチャーを使っている場合
MRI検査が受けられなくなる可能性があるケースのひとつに、インプラントオーバーデンチャー(IOD)を使用している場合があります。
インプラントオーバーデンチャーとは、インプラント(と根っこのみが残っている歯)の上に装着する入れ歯です。通常の入れ歯と違い、歯やインプラントを土台に支えられ、インプラント治療の一環として扱われます。
インプラントオーバーデンチャーでは、インプラント上部に磁石を取り付けて入れ歯が外れにくくすることが多いです。もし、磁石が使われている場合、MRI検査の際に問題が生じる可能性があるため入れ歯を外す必要が少なくともあります。一方、磁石を使用しないオーバーデンチャーなら、MRI検査を問題なく受けられるケースがほとんどです。
検査前に、ご自身のオーバーデンチャーに磁石が使われているかどうかを念のため確認しておくことをおすすめします。
*保険治療でも残っている歯の根っこの上に磁石を装着して入れ歯を固定する治療が受けられます。
インプラントを入れている場合、MRI検査前に伝えるべきこと
・インプラントの素材(チタン・金属・ジルコニアなど)
・入れ歯の有無と種類(磁石付きかどうか)
*手術や治療の時期や製造メーカーの情報もあれば
これらを担当医や検査技師に伝えると、より安全かつ正確な検査が受けられます。
まとめ
インプラントが入っていても、基本的にMRI検査を安全に受けるられます。特に、現在主流のチタン製インプラントは磁気の影響を受けにくく、検査の精度や安全性に支障をきたすことは少ないです。
しかし、昔の製品で特殊な金属が使われている場合などは、MRIの画像が乱れることがあります。また、磁石付きのインプラントオーバーデンチャーMRIの磁場の影響を受けるため、検査前に必ず外すか医師に事前に伝えることが重要です。
MRI検査を受ける際は、インプラントの種類や素材、入れ歯の有無などを事前に担当医にしっかり伝え、安全かつ正確な検査が受けられるでしょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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