紫外線でインプラント早期結合 ― 紫外線照射装置の導入進む

骨の結合力向上、定着期間が従来法の約半分に

チタンエイジング

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)歯学部の小川隆広教授が2009年5月に発表した、「紫外線の照射によるチタン材の骨との結合力の回復」の臨床への応用が進んでいる。

小川教授のチームは、チタン材料は製造直後から空気中の炭素が表面に付着し、細胞との接着力が1ヵ月後に約半分に、実際に使われることの多い数ヵ月後には約3分の1に、それぞれ低下すると発表した(チタンエイジング現象)。

一方、同チームは、特定の波長の紫外線をチタン材質に照射すると、骨の元となる「骨芽細胞」がチタン表面に集まり、骨との結合力は照射しない場合に比べて、インプラント埋め込み後の早期には3倍、最終的には1.8倍に高まることを、ラットの実験で確かめた。この紫外線照射によるチタンエイジングの回復を「光機能化」という。

この技術の研究発表の後、2010年の10月には小川教授の依頼により、石川県金沢市のなぎさ歯科クリニックが紫外線照射を当てたインプラントを世界で初めて臨床応用を開始した。それ以降、「光機能化バイオマテリアル研究会」を通し、日本全国の歯科医院に紫外線照射装置の導入が進み、2011年4月現在では、40の歯科医院で導入されている。

また、この光機能化の効果は欧米の教育プログラムに導入されるなど、世界でも標準化が開始され、さらには、歯科だけでなく、人工関節などでチタンを用いる整形外科の分野からも注目されている。

(資料提供:光機能化バイオマテリアル研究会


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