インプラント治療のデメリットとは?後悔しないために知っておきたい5つの注意点
自分の歯のように噛め、自然な見た目を回復できる「インプラント」ですが、顎の骨に金属のインプラントを埋め入れる外科手術が必要で、さまざまなリスクが発生する可能性があります。
これからインプラント手術を迎える方や、この先インプラントを検討している方は、しっかりとデメリットを把握しておくことがトラブル防止に繋がります。
この記事では主に、インプラント治療を後悔しないために知っておきたい5つの注意点を紹介します。
更新日:2025/09/15

■目次
記事のポイント3つ
・インプラント治療には費用や治療期間など、知っておくべきデメリットがある
・インプラントはブリッジや入れ歯と違い周囲の歯を削らず、天然歯のような機能を大きく回復させる
・信頼できる歯科医院選びと治療後の定期検診(メンテナンス)がインプラント治療の成功に不可欠!
インプラント治療とは?ブリッジや入れ歯との違い

インプラント治療とは、失った歯の代わりに主にチタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。従来のブリッジや入れ歯と異なり、周囲の健康な歯を削る必要がなく、天然歯のような見た目と、しっかりした噛み心地が得られるのが特徴です。
→入れ歯・ブリッジ・インプラントの詳しい比較については『インプラント・入れ歯・ブリッジのメリットとデメリット』の記事を参考になさってください。
インプラントのデメリット5選【後悔しないために】

インプラント治療を後悔しないために知っておきたい、インプラントのデメリット5選を紹介します。
デメリット①費用が高い
インプラント手術は一部を除き公的医療保険適用外のため、治療費が高いというデメリットがあります。
自由診療は歯科医院が価格(治療費)を自由に設定できるため、歯科医院によって価格設定がさまざまで、治療費は1本あたり約30万円~が相場です。インプラント体の価格のほか、骨の造成手術が必要になった場合や、別の治療をしなければならない場合に、追加費用がかかります。
万が一に備えて、費用面には余裕を持たせておくことが大事です。
2025年8月 株式会社メディカルネット調べ
デメリット②治療期間が長い
インプラント治療は、埋め入れたインプラント体が骨に定着する期間が必要なため、基本的に数ヶ月の長期間の治療になります。
インプラント治療の流れは一般的に次のような流れで、少なくとも6~7回の通院が必要になるかもしれません(定期検診を除く)。
①初診(カウンセリング)
②精密検査や診断
③インプラント体の埋め入れ(外科手術を2回する場合があり)
④仮歯の取り付け
⑤被せ物(上部構造)の取り付け
インプラントは健康な体でなければ治療を進めるのが難しいため、②の診断や検査で全身やお口の異常が見つかった場合、別途治療で完治させて次のステップへ進みます。そのため、個人により治療期間が延びる場合があります。
③の外科手術後、インプラント体が顎骨に結合するまでに上顎で4~6ヵ月、下顎で2~4ヵ月程度かかるので、治療期間は長めにみて目安で半年程度と考えてよいでしょう。
デメリット③治療後も定期検診での通院が必要
インプラント治療が終了したら、歯科医院へ行かなくて良いわけではありません。治療後も定期検診でお口の状態をチェックします。定期検診の回数は、お口の状態によって異なります。
通院を怠った場合、虫歯や歯周病などお口全体の変化(噛み合わせや歯並びなども含む)のトラブルが起こることがあるため、治療箇所だけでなくお口全体にも悪影響を与えることが考えられます。決められた定期検診は必ず受けて、インプラントを長持ちさせましょう。
→インプラント治療後のメンテナンスの流れや費用について詳しくは「インプラント治療後のメンテナンスのやり方とは?費用や頻度も」こちらの記事をご覧ください。
デメリット④インプラントの治療が対象外のケースがある
インプラント治療は必ずしも誰もが受けられるわけではありません。まだ骨が成長過程にある方、免疫不全や糖尿病の方は治療ができない場合があります。糖尿病の方は免疫力が低く治癒しにくいので、埋め入れたインプラント体が骨としっかり定着しにくい、という特徴があるためです。
X線治療などを受けている方、特に顎骨にX線を受けている場合には外科処置は禁忌です。
デメリット⑤骨造成などの追加手術が必要になるケースがある
顎の骨が少ない方や、骨密度が低い方は、インプラント治療などの外科的処置をそのままの状態で受けることが難しい場合があります。インプラントをしっかりと支えるためには、十分な量と質の骨が必要不可欠です。骨の量が足りていないケースでは「骨造成(こつぞうせい)」と呼ばれる追加の手術が必要になることがあります。
インプラントのメリットも知っておこう

デメリットばかりに注目すると不安になる方もいるかもしれませんが、インプラントには以下のような大きなメリットもあります。
咀嚼力(噛む力)噛む力が天然歯に近い
インプラントは、天然歯に近い咀嚼力を発揮できるため、硬いものでもしっかり噛むことができます。入れ歯では噛む力が低下することがありますが、インプラントであれば食事の満足度も高まり、健康的な生活が送りやすくなります。
健康な歯を削らずに済む
「抜けた歯の両隣を削るブリッジ治療など健全な歯を削るような治療方法は遠慮したい」とお悩みの方にも、インプラント治療は適しているでしょう。歯の抜けた所だけを削り「インプラント」を植え込みますので、その他の歯を削る必要がありません。
発音への影響が少ない
インプラントは、構造上違和感が少なく、発音にも影響を与えにくいという特徴があります。入れ歯のようにズレたり異物感が出たりすることが少ないため、個人差はあるものの、会話も自然に行うことができます。
長期的な安定性がある
インプラントは、正しいメンテナンスとお口の中のケアを継続することで、約10年以上にわたり(※個人差があります)機能を保ち続けることができる治療法です。チタン製の人工歯根は、生体親和性が高く、顎の骨としっかり結合する「オッセオインテグレーション」という現象により、高い安定性を発揮します。
参考:National Library of Medicine
インプラント治療の歯科医院の選び方
インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶ際は、症例件数が多い医院や、リーズナブルな価格設定の医院など、最初はどこで治療を受けるべきか悩む方も多いでしょう。インプラントは外科手術を伴い、治療期間が長く、治療後も定期的な検診が必要なため、担当医との信頼関係の構築がとても大切です。
治療に関して不安や疑問があれば、必ず納得がいくまでしっかりと質問しましょう。また、ひとりの医師の意見だけで判断せず、セカンドオピニオンを利用して複数の意見を聞くこともおすすめです。
さらに、インプラントを長持ちさせるためにはメンテナンスや定期検診が欠かせません。そのため、通院しやすい場所にある医院を選ぶことも大切です。遠方の医院よりも、日常的に通いやすい環境の医院を選ぶと安心です。
まとめ
インプラント治療は個人差はあるものの、見た目の自然さや噛む力の回復、機能性の高さ、そして周囲の歯への負担が少ない点など、多くの面で優れた効果が期待できます。適切な診断と定期的なメンテナンスを行うことで、長期間にわたり安定した機能を維持することも十分可能です。インプラント治療に関して不安がある方は「インプラントネット相談室」に相談を投稿してみましょう。
記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
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