下顎のインプラント治療の特徴

下顎のインプラント治療について、前歯と奥歯の部分別の特徴や、上顎のインプラント治療との比較などについてご紹介します。

更新日:2021/12/07

■目次

  1. 皮質骨と海綿骨とは?歯を支える顎の骨の特徴
  2. 下顎の前歯のインプラント治療のポイント
  3. 下顎の奥歯のインプラント治療のポイント
  4. 上顎の歯のインプラント治療との比較
  5. まとめ

皮質骨と海綿骨とは?歯を支える顎の骨の特徴

皮質骨と海綿骨とは?歯を支える顎の骨の特徴

顎の骨の表層部分には「皮質骨」と呼ばれる骨密度の高い硬い骨があり、その内側に「海綿骨」と呼ばれる骨密度の低い比較的柔らかい骨があります。
インプラント治療は皮質骨と海綿骨のバランスが重要で、どちらかの骨が極端に少ない、硬すぎる、柔らかすぎるなどがあると、埋め込んだインプラントが顎の骨と結合しにくくなることがあります。
骨のバランスに問題が無く、埋め込んだインプラントが安定しやすいと判断された場合(※)は、人工歯(仮歯)を早くつけられる「早期荷重」という方法の治療を受けることができます。下顎の骨の特徴として、上顎よりも骨の密度が高いことが多く、早期に上部構造を取り付けられ、治療期間が短くなる傾向にあります。


※埋め込んだインプラントが安定しているかどうかは、骨との結合力を数値化できる機器やレントゲンで確認して判断します。

下顎の前歯のインプラント治療のポイント

・下顎の前歯部の舌の下の周辺を舌下動脈 [ ぜっかどうみゃく ] が走行しています。

・下顎の奥歯から犬歯の下方付近まで、顎の骨に下顎管と呼ばれる管があり、その中には神経や血管が走行しています。下顎管を走行する神経を傷つけるとしびれや大量出血の可能性があります。

【歯科医院での対応】

舌下動脈や下顎管の中にある神経や血管などを傷つけないために、治療前にCT撮影を行い、3D画像によって正確な距離を把握しておきます。
治療の途中で再度CTを撮影する場合もあります。

下の前歯のインプラント治療、ここがポイント!

下顎の前歯の治療は、骨の形や、奥歯に比べて顎の骨が瘦せにくいこと、手術中も目視で確認をしながら手術を行いやすいことから、失敗する可能性は低いといわれています。インプラントを埋め込むスペースが少ない場合は、顎の骨のボリュームを出す治療が必要となり、その場合は高い技術力を要します。

下顎の奥歯のインプラント治療のポイント

・下顎の奥歯の下方には、舌下動脈や舌神経が走行しています。

・下の奥歯から犬歯の下方にかけて、下顎管と呼ばれる管があり、その中には神経や血管が走行しています。

【歯科医院での対応】

下顎の前歯と同様に、それぞれの組織を損傷させないために、正確な距離をきちんと把握しておくことが必要です。損傷した場合は、しびれやよだれが止まらない、または、大量出血が起こり治療が続けられないなどの問題が生じます。

下の奥歯のインプラント治療、ここがポイント!

下顎の奥歯の治療においては下顎管の近くまでインプラントを埋め込むこともあり、下の前歯よりも難易度が高くなります。インプラントを埋め込むスペースが少ない場合は、顎の骨のボリュームを出す治療が必要となり、高い技術力を要します。

上顎の歯のインプラント治療との比較

・下顎の骨は上顎の骨と比べて骨の密度が高い傾向のため、埋め込んだインプラントが安定しやすく、治療期間が短くなることが多い。

・上顎は上顎洞(鼻とつながっている空洞)があり、インプラントを埋め入れるための厚みが不足することが元々多いため、人工骨を追加する治療(ソケットリフト・サイナスリフト)を行うことがある。下顎は顎の骨が硬くて厚く、インプラントを埋め込むスペースが確保しやすいためインプラント治療が比較的受けやすい。

まとめ

適切な治療を受けるためには、事前の精密検査が重要です。
現在は、治療前の検査でCT撮影を行い、骨や周囲組織の状態・位置などを3次元(立体)画像で確認することがほとんどです。インプラント治療前の検査内容や費用は、歯科医院によって大きく異なります。詳しくは、担当の歯科医師にご相談ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。