インプラント治療が絶対ダメといわれる理由は?
「インプラント治療は絶対ダメ」といった意見をインターネットで目にし、不安を感じていませんか?否定的な意見には誤った情報が混じることもあり、注意が必要です。今回、インプラント治療が絶対ダメと言われる理由の紹介に加えて、インプラント治療への誤解を解消するメリットも紹介します。
更新日:2025/05/09

■目次
記事のポイント3つ
・インプラント治療は外科手術を伴うが、リスクは非常に稀で、適切な診断と経験豊富な歯科医師による治療により安全に行われる。
・特定の基礎疾患がある場合、インプラント治療が適応できないことがあり、治療前に十分な検査と相談が必要。
・長期的に見るとコストパフォーマンスに優れている。また、医療費控除の対象となる。
インプラント治療が絶対ダメといわれる理由6つ

インプラント治療が絶対ダメといわれる理由を紹介します。
①外科手術が必要
インプラント治療には外科手術が必要です。インプラントを埋入する部位の歯ぐきを切開します。
手術に対する不安が大きい場合、痛みを和らげる麻酔に加えて、治療中の緊張を和らげる「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」という麻酔法を併用することもあります。
手術自体は大がかりでなく、1本あたり30分から1時間程度で終わることが一般的です。日帰り手術で終わることができ、入院の必要はありません。
②治療費が高い
インプラント治療が絶対ダメといわれる理由として考えられるのは、治療費が高いことでしょう。インプラントは基本的に公的医療保険適用外のため、治療に1本約30万円前後かかります。
ただし、インプラントは審美性が高く、天然歯のように見えます。前歯など目立つ部分の治療の場合、大きなメリットです。歯を失った部分に人工歯根を埋め込み、隣の歯を削ることもないため十分に検討する価値はあるでしょう。
また、医療費控除制度(いりょうひこうじょせいど)を利用することで、治療費の負担を抑えることができます。医療費控除とは1年間に支払った医療費が10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額の5%)を超えると、税金から還付される制度です。
→インプラント治療における医療費控除の適用条件や、実際にどれくらいの金額が返ってくるのかについてはインプラントネット「【2025年度版】インプラント治療の医療費控除額どれくらい?いくら戻ってくるの?」の記事をご覧ください。
→また、インプラント治療はデンタルローンの対象です。無理のない金額で分割払いができるデンタルローンについてはインプラントネット「デンタルローンとは?高額なインプラント治療を無理なく分割払い!」こちらの完全ガイドをご覧ください。
③治療期間が長い
インプラント治療は、外科手術後の回復期間を含め治療に6カ月から1年前後の期間がかかります。治療期間が長い理由として、インプラントが顎の骨と結合するまでの3ヶ月~6ヶ月の待機期間が発生します。
治療を急げないため、インプラント治療はだめといわれることもあるでしょう。しかし、治療中の通院回数は多くないため、それほど負担は大きくありません。
④骨の量が足りないと別途治療が必要
インプラントを支えるためには、十分な骨量が必要です。骨の量が足りない場合には骨造成(こつぞうせい)という治療で、インプラントを支えるための十分な骨量を確保します。
また、顎の後方部分に骨が不足している場合、上顎の副鼻腔(サイナス)にアプローチして骨を増やす手術が適応となります。
これらの治療法によって、骨量が足りない場合でもインプラント治療が可能です。治療内容は患者さんのお口の中の状態によって異なるため、歯科医師とよく相談し、適した治療方法を選ぶことが重要です。
→骨の骨を増やす手術(骨造成)が必要な場合の費用について詳しくはインプラントネット「顎の骨を増やす骨造成手術の費用の相場は?」の記事をご覧ください。
⑤メンテナンスが必要
インプラントは一度埋め込んだ後のケアが重要です。メンテナンスを怠ると、インプラントの周りの歯茎や骨に炎症が生じる「インプラント周囲炎」のリスクがあります。インプラント周囲炎が進行すると、インプラントがグラグラし始め、最終的にインプラントが脱落する原因となります。
普段の歯磨きやフロスなどの自宅でのケアは重要です。歯磨き不足や不適切なケアが原因でインプラント周囲炎を引き起こすことがあります。
メンテナンスを定期的に受け、日々のケアを意識して、インプラントは数十年しっかりと機能し続けますので、自然な歯と同じように使い続けられるでしょう。
⑥外科手術に伴うリスク
インプラントは一度埋め込んだ後のケアが重要です。メンテナンスを怠ると、インプラントの周りの歯茎や骨に炎症が生じる「インプラント周囲炎」のリスクがあります。インプラント周囲炎が進行すると、インプラントがグラグラし始め、最終的にインプラントが脱落する原因となります。
普段の歯磨きやフロスなどの自宅でのケアは重要です。歯磨き不足や不適切なケアが原因でインプラント周囲炎を引き起こすことがあります。
メンテナンスを定期的に受け、日々のケアを意識して、インプラントは数十年しっかりと機能し続けますので、自然な歯と同じように使い続けられるでしょう。
参考:口腔領域の神経障害性疼痛の診断と薬物療法 村岡 渡
⑦治療が適応できない場合がある
基礎疾患や患者さんの健康状態によっては、インプラント治療が適応できない場合があります。
糖尿病患者さんの場合、インプラント治療を受ける前に、血糖値の適切な管理が求められます。糖尿病が安定していない場合(血糖値がコントロールできていない場合)、インプラント治療の検討を慎重に行う必要があります。
糖尿病、心臓疾患、免疫系疾患、骨粗しょう症、喫煙、高血圧、妊娠、他の慢性疾患により、インプラント治療が適応できないことがあります。
治療前には、必ず歯科医師やかかりつけに相談しょう。
インプラント治療は絶対ダメではない!インプラントのメリット

インプラント治療は、すべての患者さんに適応できせんが、「絶対ダメ」とは限りません。インプラント治療には多くのメリットがあり、歯を失ってしまった方にとって非常に有効な治療法です。
インプラント治療を検討している方に、メリットを紹介します。
自然な噛み心地
インプラント治療のメリットとして、天然の歯に近い咬合力(こうごうりょく)が得られることです。インプラントは顎の骨としっかり結合するため、噛んだ時の力が天然歯と同じように顎の骨に伝わります。
これにより、入れ歯やブリッジに比べて自然な噛み心地を得られます。お肉や硬い食べ物も安心して食べることができます。
インプラントは顎の骨に埋め込まれて固定されているので、長期的に安定した状態を保つことができます。
天然歯に近い自然な見た目
インプラント治療のメリットとして、審美性が優れていることが挙げられます。公的医療保険適用の差し歯治療だと、色味が人工的だと感じてしまうこともあるでしょう。
インプラントの人工歯部分には、セラミックやジルコニアといった高品質な素材が使われることが多いため、天然歯に非常に近い見た目を実現できます。
周りの歯を削る必要がない
インプラント治療の大きなメリットの一つに、基本的に周りの健康な歯を削る必要がないことがあります。ブリッジや差し歯にする場合、隣接する健康な歯を削って被せ物をする必要があります。インプラントは人工歯根を直接顎の骨に埋め込むため、周りの歯を削ったり、健康な歯に噛む負担を過大にかけることがありません。
→インプラント治療のメリット・デメリットについて詳しくはインプラントネット「インプラント治療のメリット・デメリットをわかりやすく解説!」の記事をご覧ください。
インプラント治療は絶対ダメではない!
インプラント治療は、すべての患者さんに適応できるわけではありませんが、「絶対ダメ」とはいえません。インプラントは、周囲の歯を削ることなく、自然な噛み心地や見た目を実現できる優れた治療法です。
患者さんのニーズに合ったメリットも多く、特に歯を失った方にとっては、効果的な選択肢でしょう。歯科医師とよく相談し、自分に合った治療方法を選ぶことが重要です。
記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
あわせて読みたい記事
メディア運用会社について

株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。
当サイト「インプラントネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。
インプラント歯科医院を探すなら「インプラントネット」
インプラント治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くのインプラント歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。