インプラントとブリッジ、どっちを選ぶ?10の違いを徹底解説
歯を1本失っていて、インプラントとブリッジのどちらの方法で治療しようか迷っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、「インプラントとブリッジの違いがよくわからない」「何を基準に判断すればいいかわからない」といった場合は選びきれないものですよね。
この記事では、インプラントとブリッジの違いをどなたにもわかりやすく解説します。どちらの方法で治療すべきかお悩みの人は、ぜひ参考にしてみてください。
更新日:2025/05/20

■目次
インプラントとブリッジ 10の違い

インプラントとブリッジはどちらも失った歯を補う治療法で、以下のような違いがあります。
①歯を削るかどうか
→インプラント
インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込むため、周りの歯に支えられなくても自立しています。ブリッジのように周りの歯を削り、土台にする必要はありません。
→ブリッジ
ブリッジは基本的に両隣の歯を土台にする必要があり、土台となる歯を1mm~1.5mm程度削らなくてはなりません。健康な歯の寿命を縮めることにつながります。
②外科処置が必要かどうか
→インプラント
人工歯根を顎の骨に埋め込む外科処置が必須となります。患者さんの体力や持病などによっては、外科処置を受けられない場合もあります。
→ブリッジ
ブリッジは両隣の歯に橋を架けるように人工歯を被せます。土台となる歯を削る必要はあるものの、外科処置は基本的に不要です。
③リスクの違い
→インプラント
外科処置が必須となるため、手術中に神経や血管が傷つくリスクがあります。また、インプラントが顎の骨を突き抜けるリスクも考えられます。
そのほか、インプラントが顎の骨とくっつかない、インプラント周辺の歯周組織が炎症を起こす(インプラント周囲炎)、インプラントが破損する、といったリスクも挙げられます。
→ブリッジ
土台となる歯を削るため、健康な歯の寿命を縮めることになります。また、土台となる歯を削って痛みが出た場合には神経を取らなくてはいけないケースもあり、さらに歯が脆くなってしまいます。土台となる歯にはブリッジを装着している間は噛む力による負担がかかり続けます。
そのほか、ブリッジにすると歯のケアがしにくくなり、歯周病リスクが高まります。
④噛む力の違い
→インプラント
人工歯根があることで、強く噛むことができます。物を噛み砕く能力を表す咀嚼能率は、天然歯の80%~90%程度で、快適な噛み心地を得られます。
→ブリッジ
ブリッジの咀嚼能率はブリッジの長さにより変わり、天然歯の60~80%程度です。噛む力はインプラントほど高くありません。
⑤使用感・違和感の違い
→インプラント
違和感がほとんどなく、天然歯のように噛むことができます。これは、人工歯根が顎の骨と結合していることで噛む力が骨に直に伝わるためです。
→ブリッジ
土台となる歯に、接着剤で強く人工歯をくっつけます。しっかりと固定されるため、取り外し可能な入れ歯に比べて違和感は少ないといえます。
⑥審美性(見た目)の違い
→インプラント
人工歯の部分をセラミックやジルコニアなどで作製するため、周りの歯と調和した透明感のある美しい歯を再現可能です。天然歯と見分けがつかないほど、優れた仕上がりにできます。
→ブリッジ
保険適用でブリッジにする場合、奥歯のほうは銀歯になります。自費診療であれば、セラミックやジルコニアなどを使って美しい見た目にできます。
⑦平均寿命が7~10年か、10~15年か
→インプラント
治療後に正しいケアを継続していれば、インプラントは長持ちさせることができます。平均寿命は10年~15年程度といわれています。
→ブリッジ
周りの歯を土台として使うブリッジの寿命はそう長くありません。平均寿命は7年~10年程度といわれています。
⑧メンテナンスの違い
メンテナンスに関しては、インプラントもブリッジも違いはありません。毎日の歯磨きを徹底し、定期的に歯科医院でクリーニングを受け、歯垢や歯石を取り除くことが大切です。
お口の健康を守り、インプラントとブリッジを長持ちさせるためにも、メンテナンスを継続しましょう。
⑨平均1万円弱か40万円か
→インプラント
インプラントは1本40万円程度の治療費がかかります。先天性の疾患や事故に遭った場合などを除き、基本的には自費診療となるためです。
→ブリッジ
保険適用のブリッジの費用は連結する歯の本数によりますが、公的医療保険を適用すると1万円弱です。「連続して2歯まで」「土台となる歯に最低2年間は問題が起こっていない」といった条件を満たせば保険適用で治療できます。ただし、保険適用の場合は素材を選べません。
参考:インプラントの値段は?費用相場から保険まで治療費についてまとめました!
⑩治療期間
→インプラント
一般的なインプラントの治療期間は、下顎で3ヶ月程度、上顎で6ヶ月程度です。人工歯根が顎の骨と結合するのを待つ期間などがあるため、治療には時間がかかります。
→ブリッジ
ブリッジは外科処置が必要なく、3回程度の通院で治療できるため、早ければ1ヶ月以内に終わります。
インプラントとブリッジ、どちらを選ぶ?
厚生労働省が発表した「歯科疾患実態調査結果の概要」によると、補綴物(ほてつぶつ)を装着している人のなかで、インプラントを装着している人の割合は「3.2%」、ブリッジは「32.9%」となりました。
この結果から、インプラントは外科処置をともない、ブリッジよりも治療期間が長く治療費も高いため、選ばれにくいのではないかと考えられます。しかしながら、噛み心地や審美性、将来のお口の健康などを重視する人にはインプラントが選ばれています。
参考:厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」
インプラントがおすすめの人、ブリッジがおすすめの人

最後に、インプラントとブリッジはそれぞれどのような人におすすめできるかをご紹介します。
インプラントがおすすめの人
まず、噛み心地を重視したい場合にはインプラントがおすすめです。人工歯根があることで、天然歯に近い快適な噛み心地を得られます。
また、周りの健康な歯に負担をかけたくない人も、インプラントであれば心配いりません。将来できるだけ多くの歯を残したいという人は、インプラントを検討してはいかがでしょうか。
ブリッジがおすすめの人
外科処置に抵抗がある人にはブリッジがおすすめです。周りの歯を削る必要はあるものの、手術は避けられます。
また、治療期間を短くしたい、治療費を抑えたいという方にもブリッジは合っています。
まとめ
インプラントとブリッジは、「歯を削る必要の有無」「外科処置の有無」「平均寿命の長さ」「保険か自費か」などの点で違いが見られます。インプラントかブリッジで迷われている場合、今回紹介した違いを比べることで選びやすくなります。
お口の中の状態などによって、選べる治療法が限られる場合もあるため、歯科医師とよく相談したうえで選択していきましょう!
記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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