インプラントをして後悔した理由とは?治療前に見ておきたい注意点まとめ
歯を失ったときの選択肢として広く知られるようになった「インプラント」ですが、いざインプラントを入れることを考えた時、高額な治療費がかかることを知って「治療後に後悔しない?」と心配した人もいるのではないでしょうか。
歯科医師からインプラントを勧められても、実際にインプラント治療を受けた人の感想を聞いて判断したいですよね。この記事では、インプラントを後悔したというケースや、満足いくインプラント治療を受けるための注意点などを紹介します。
更新日:2025/10/20

■目次
- この記事はこんな方におすすめです
- インプラントにはメリットも後悔もある!
- インプラントで後悔した理由とは?
- ①インプラント治療を失敗した
- ②インプラントがすぐだめになった
- ③インプラントを入れたところに痛みが出た
- ④出っ歯に見える被せ物を作られた
- ⑤下顎の神経が麻痺した
- ⑥上顎洞(じょうがくどう)にインプラントが入り込んだ
- ⑦インプラントの上の被せ物がすぐとれる
- ⑧費用がすごく高い
- ⑨保証がなくなるので転院ができない
- ⑩トラブルに対応してもらえる歯科医院が見つからない
- インプラントで後悔しないためにできること3つ
- ①信用できる歯科医院を探す
- ②格安費用につられない
- ③禁煙など医師の指示に従う
- 不安な時はセカンドオピニオンがおすすめ
- インプラント治療に関するよくある質問(FAQ)
- Q.1 インプラント治療は誰でも受けられますか?
- Q.2 インプラント治療費用はどのくらいかかりますか?
- Q.3 治療期間はどのくらいかかりますか?
- まとめ
この記事はこんな方におすすめです

・インプラント治療を考えているけど不安がある
・実際に治療した人の後悔談を知りたい
・費用や保証について詳しく知っておきたい
インプラントにはメリットも後悔もある!
歯科のインプラント治療では、生体への悪影響が少ないチタンを主成分にしたインプラント体(人工歯根)を顎に埋め込みます。
インプラントが顎骨とくっ付いた後に被せ物(人工歯)を装着します。顎骨とインプラントは強固にくっつくため、ブリッジや部分入れ歯のように、残っている他の健康な歯を削る必要はありません。
また、歯が無くなると使わなくなる顎骨が痩せてしまいますが、インプラントを入れることで顎骨の厚みをキープでき、見た目を自然にできるなど、ブリッジや入れ歯と比較して機能面や審美面で優れています。
しかし、インプラントのメリットを知って治療を受けたはずなのに「治療を受けて後悔した」という患者さんもいます。
インプラント治療を受けて後悔する理由を紹介します。
インプラントで後悔した理由とは?
インプラントで後悔した理由を紹介します。
①インプラント治療を失敗した
インプラントは、インプラント体(人工歯根)を顎骨に埋入する手術が必要です。
このとき、インプラントを顎骨に埋め入れるために、埋める方向や角度など、さまざまな点を事前検査によって決定します。
治療計画にミスがあると、インプラントと骨がうまくくっつかなく脱落することや、思わぬ痛み・出血・麻痺が起こるかもしれません。
②インプラントがすぐだめになった
インプラントは10年以上使えるといわれますが、すぐに不具合が起きて使えなくなってしまうケースもあります。
インプラントの被せ物はネジで固定するタイプが多く、被せ物が折れたり抜けたりすることもあります。
また、治療後のセルフケアを怠ったり、メンテナンスに通わなかったりすると、インプラント周囲に歯周病のような炎症が起きてインプラントがグラグラして抜け落ちる原因となる「インプラント周囲炎」を引き起こすことがあります。
大事なので繰り返しますが、インプラント周囲炎が進行すると、インプラントがグラグラして抜け落ちる原因になります。
インプラントは虫歯になりませんが、噛み合わせのトラブルやインプラント周囲炎など、自分自身の歯と同じようなトラブルが起きる可能性は十分にあります。
→インプラントがグラグラする、インプラント周囲の歯茎から膿が出るなどのトラブルの多くがインプラント周囲炎に起因します。インプラント周囲炎について詳しくは『インプラント周囲炎の原因・メンテナンスについて』をご覧ください。
③インプラントを入れたところに痛みが出た
インプラント治療を入れたらしっかり噛める快適な生活を過ごせると期待したのに、痛みで噛めないこともあります。
痛みの原因には、噛み合わせの調整不足や、インプラントの素材や設計が自分のお口に合っていないといった問題も考えられます。
また、治療後に発症する「インプラント周囲炎」でも痛みが生じることがあり、炎症が進行するとインプラントそのものがダメになってしまう可能性もあります。
④出っ歯に見える被せ物を作られた
天然歯と同じような見た目にすることができるインプラント治療ですが、歯を支える骨の高さが低いと歯が長く見えてしまうことがあります。
前歯のインプラントでは骨の厚みなどを考慮してインプラントを埋め入れる方向や角度を決定しますが、方向や角度によっては被せ物を付けた際に出っ歯のように見えてしまうこともあります。
さらに、被せ物の形状や厚みの設計が不十分だった場合も、歯が不自然に出て見えたり、歯並びが悪く見えたりする原因になります。
⑤下顎の神経が麻痺した
下顎にインプラントを入れる場合、埋入場所が悪かったり、インプラントが長すぎたりすると神経や血管を傷つけてしまい、下顎の皮膚を触っても何も感じなくなる感覚麻痺がおこることがあります(動きや味覚の麻痺は基本的に起こりません)。
感覚麻痺は治療により改善することもありますが、神経や血管の損傷が大きい場合は改善しないこともあります。
また、せっかくいれたインプラントを一度取り除く治療が必要になることもあるでしょう。
⑥上顎洞(じょうがくどう)にインプラントが入り込んだ
上顎の歯の上には、上顎洞(副鼻腔)と呼ばれる、顔の中に大きな空洞があります。特に上顎の奥歯の上は顎骨が薄く、インプラントを埋入する際に上顎洞に突け抜けることがあり注意が必要です。
本来であれば、インプラントが上顎洞に突け抜けないよう、CT撮影による骨量の確認をして治療計画を立案することが重要です。しかし、技術不足や診断ミスによって、インプラントが誤って上顎洞の中に突き抜けてしまうケースがあります。
このような失敗が起きると、
・慢性的な副鼻腔炎(蓄膿症)
・上顎の痛みや圧迫感
・鼻づまりや鼻水の慢性化
といった症状を引き起こし、結果として「インプラントを後悔」するかもしれません。
⑦インプラントの上の被せ物がすぐとれる
「インプラントで自分の歯のようにしっかり噛める!」と喜んでいたのに、すぐに被せ物が取れて噛めないトラブルが起きることもあります。
被せ物を固定しているネジが緩むと被せ物が外れてしまいます。再度被せ物を付け直すと噛めますが、すぐに取れてしまったり、咬む力でネジが歪んで壊れて外れることもあります。
また、歯科医院の方針によっては、何かトラブルが起きた時にすぐに被せ物がとれる強さで装着することもあり、患者さんと歯科医師で意見が食い違うトラブルもまれにあるようです。
⑧費用がすごく高い
インプラント治療は、入れ歯やブリッジと違って公的医療保険が原則適用されない自由診療(自費診療)となるため、治療費が高額になることが多いです。
予定していたインプラント治療が終わったタイミングでほかの歯にもトラブルが起きてしまい、追加でインプラント治療を受け、治療計画以上の費用がかかることもあります。
そのほか、インプラント治療後のメンテナンス費用や、被せ物が壊れてしまった時の作り直し費用などで、追加費用がかかることも考えられます。
インプラント治療は一定条件を満たせば「医療費控除」の対象となります。その年に支払った医療費が一定額(10万円)を超えていれば、確定申告で税金が戻ってくるため、高額な治療費の負担を少しでも軽減するポイントになります。
→インプラント治療における医療費控除の適用条件や、実際の還付額については『【2025年度版】インプラント治療の医療費控除額どれくらい?いくら戻ってくるの?』の記事を参考にしてください。
⑨保証がなくなるので転院ができない
インプラント治療には「保証制度」を設けている歯科医院があります。
保証の内容は歯科医院によって異なりますが、治療後のインプラントに問題が起きたときの治療費用を保証会社や歯科医院が負担するものや、治療トラブルが起きた場合の費用の支払いについてなどが決められていることが多いです。
多くの場合、別の歯科医院で治療を受けた場合や治療を受けた歯科医院以外での再治療は保証対象外となり、転院する際に保証内容を確認しましょう。
保証会社による保証の場合、保証会社に登録されている歯科医院でならば保証対象になることもあるので、よく確認しておきたい所です。
また、保証内容として「治療を受けた歯科医院にメンテナンスで年に◯回通院すること」など、保証適用を受けるための条件を設けている場合が多いので、遠方に転院するときは注意しましょう。
⑩トラブルに対応してもらえる歯科医院が見つからない
もし、インプラント治療を受けた歯科医院の閉院や、引っ越しなど何らかの理由で転院した場合、治療を受けたときの情報やインプラントのメーカーや製品情報がわからないからと対応を断られてしまうことがあります。
インプラント製品には種類があり、メーカーにより使用する器具が異なることが主な理由です。
メジャーなインプラントメーカーであれば取り扱い歯科医院も多く、他の歯科医院で対応してくれる可能性も高くなりますが、格安インプラントなど費用を抑えるためにマイナーなメーカーのインプラントを使用している場合などでは、対応歯科医院が少なくなるでしょう。
インプラントで後悔しないためにできること3つ
インプラントで後悔しないためにできることを紹介します。
①信用できる歯科医院を探す
インプラント治療は高額で長期治療になります。
信頼できる歯科医院であり、気兼ねなく治療の不安や疑問を相談できる、安心して治療を受けられる歯科医院でインプラント治療を受けてほしいと思います。
インプラント治療についてしっかりと説明してくれ、インプラント治療以外の選択肢も話してくれ、患者さんが理想とする状態を考慮してくれ、事前の精密検査をしっかり実施してくれる歯科医院を選びましょう。
また、問題のない信頼関係を築けている場合でも、転勤による引っ越しなど様々な理由で急な転院を余儀なくされることもあります。
可能なら同じ歯科医院に通院することが望ましいですが、転院時を考えてメジャーなメーカーのインプラントを治療に使っている歯科医院での治療を選択肢に入れるのも良いでしょう。
②格安費用につられない
「1本◯万円」など、格安でインプラント治療を実施している歯科医院も多くあります。
安い治療費には理由があるかもしれません。例えば、被せ物や検査の費用が含まれない金額で、安く広告しているのかもしれません。
費用を抑えるために、マイナーなインプラントメーカーを使用していたり、日本では認可されていないインプラントを使用していることもあります(歯科医師が責任を持って治療を行うのであれば、認可されていないものを輸入して使用することに問題はありません)。
インプラント治療の経験が浅い歯科医師が施術をするなどの理由もあるでしょう。安いインプラントが悪いわけではありませんが、注意して選ぶことをおすすめします。
③禁煙など医師の指示に従う
インプラント治療は、歯茎を切ってインプラントを顎骨に埋め込む手術が必要です。
喫煙はインプラント治療の予後を悪くするとされ、基本的には禁煙指導をされるでしょう。
喫煙習慣のある方にとって、インプラントの予後のためとはいえ、歯科医師から禁煙指示されることは辛いかもしれません。
しかし、指示を守らずに喫煙を続けると、インプラントが骨と上手くくっつかなかったり、治療終了後すぐにトラブルが起きてしまうかもしれません。
どうしても禁煙が辛いのであれば、吸う前に歯科医師に相談しましょう。
禁煙外来を紹介してくれるなどの対処法を考えてくれるかもしれません。
そのほか、お口の中に傷がある間の食事や生活習慣、服薬、歯磨きなどの指示も従いましょう。
不安な時はセカンドオピニオンがおすすめ

歯科医師の説明に疑問を持ったり、ほかの歯科医師の意見も聞いてみたいと思ったら、セカンドオピニオンを活用しましょう。
自分自身が納得でき、安心して治療に臨める歯科医院で治療を受けましょう。
治療を進めると途中で止められなくなってしまいます。
「検査で歯科用のCTがなかった」「埋入するのに骨が足りないと言われた」「思ったより多い本数のインプラント治療が必要だと言われた」「高圧的で話しにくい」といった不安の相談も多く寄せられています。
焦って治療を受けず、自分自身が納得いく治療が受けられるようにセカンドオピニンの利用も検討しましょう。
→セカンドオピニオンの流れ等について詳しくは『インプラント治療でのセカンドオピニオンとは?メリットや費用も解説』の記事をご覧ください。
インプラント治療に関するよくある質問(FAQ)

インプラント治療に関する、よくある質問と回答を紹介しています。
Q.1 インプラント治療は誰でも受けられますか?
A. すべての方がインプラント治療を受けられるわけではありません。
顎骨の量が不足していたり、重度の糖尿病・心疾患などの全身疾患がある場合、治療できないことがあります。事前検査や、歯科医師の診断によって治療可否が判断されます。
しかし、骨量が足りない場合、「骨造成(こつぞうせい)手術」という、人工骨などを使って骨を増やす処置を行うことで、インプラント治療が可能になることもあります。
Q.2 インプラント治療費用はどのくらいかかりますか?
A. 原則自費診療となるため医院によって異なりますが、1本あたり約30万円~が相場です。手術費・被せ物代・メンテナンス費用を含むとさらに高額になることがあります。
2025年8月 株式会社メディカルネット調べ
Q.3 治療期間はどのくらいかかりますか?
一般的なインプラント治療では、手術から被せ物(人工歯)が入るまで3~6か月程度かかります。これは、インプラント体と骨がしっかり結合(オッセオインテグレーション)するまでに必要な期間です。
ただし、骨量が足りない場合には、骨造成(GBRやサイナスリフトなど)の処置が必要になり、治療期間が数か月~半年ほど長くなることもあります。
また、治療部位(上顎か下顎か)や体の治癒力によっても期間は変わるため、治療期間で個人差が大きく出ます。
まとめ
インプラントは失った歯を補う有効な方法ですが、高額な治療費や手術後に問題が出るリスクがあります。後悔するケースとしては、治療内容をしっかりと理解してなかった、メンテナンスのための通院を怠った、費用負担が思ったより大きかった、などです。
しかし、信頼できる歯科医院で、精密検査や丁寧な説明、術後のケアをしっかり受ければ、より満足度の高い治療が受けられるでしょう。
インプラント治療に不安や疑問があれば、ぜひ当サイトのお悩み相談室をご利用ください。
記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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