ノーベルバイオケアシンポジウム アジアパシフィック2010

グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール 満席となったメイン会場
▲ シンポジウムが行われたグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール ▲ 満席となったメイン会場

■ 海外からの参加者も多数 ノーベル・バイオケア・ジャパン主催のシンポジウム

2010年8月21日(土)・22日(日)の2日間、グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールにて、『ノーベルバイオケアシンポジウム アジアパシフィック 2010』 が開催され、歯科医師・歯科技工士・衛生士ら、3,000名近くの歯科医療従事者が参加されました。

「Focus on People - 実際の治療を行う側と受ける側である“人”にフォーカスをあてる」 をテーマとした今回のシンポジウムでは、歯科医師、歯科技工士、衛生士向けの各役割に沿ったプログラムが構成され、海外からも多数のスピーカーを招き、様々な企画が実施されました。メインプログラムの講演のようにスピーカーによるプレゼンとパネラーを含めたディスカッションが行われただけでなく、実践に焦点を置いた 「ハンズオン」 や、さらにテーマを掘り下げる 「ワークショップ」 、参加者も一緒に議論ができる 「マスタークラス」 等もあり、参加者それぞれが、技術面、臨床面の知識も得ることができる充実した内容のシンポジウムとなりました。

※『ノーベルバイオケア社』 とは…(同社HPより)
審美歯科の先進国スイスチューリッヒに本社を置く、審美歯科ソリューションの分野における世界的なリーディング・カンパニーです。日本を含む6ヵ所(スウェーデン、アメリカ、イスラエル、カナダ)に製造拠点を構え、世界37ヶ国に広がる自社販売ネットワークを活かして、世界の歯科インプラント市場において37%を超えるシェアを誇ります。
ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社は、1985年10月に設立後、現在は東京・品川に本社を構え全国でビジネス展開をしています。ノーベルバイオケア製品の研究・開発・製造・販売のほか、治療法の研究、歯科教育機関への支援、歯科医師、歯科技工士への研修・セミナーなどを積極的に提供し、日本において審美歯科ソリューションのマーケットリーダーとして確固たる地位を確立しています。

【 オープニング・メインプログラム 】

メインプログラム
▲ メインプログラムの様子

■ オープニング

オープニングは、インプラントの生みの親である、ブローネマルク博士のインタビュー映像からスタートしました。インタビューの中でブローネマルク博士は、患者様やその家族のQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させるインプラント治療をの重要性について述べられました。


■ 初日メインプログラム

最初のプログラムは、今回のシンポジウムのチェアマンである春日井 昇平教授(東京医科歯科大学大学院)がモデレータとして「インプラント治療の診査・診断〜ペリオ、咬合から全身疾患まで」が行われました。プレゼンターのRoland Glauser先生(チューリッヒ開業)がインプラント治療の注意すべきリスクファクターについて解説されると、これに対してエキスパート・パネルの先生方が下記のように発表をされました。

  • 1. 朝比奈 泉教授(長崎大) ・・・ 「インプラントと糖尿病」について
  • 2. 関根 浄治教授(島根大) ・・・ 「ビスホスホネート製剤投与の患者に対する処置」について
  • 3. Patrick Henry先生(オーストラリア開業) ・・・ 「複数のリスクファクターを加味する必要性」について
  • 4. 日高 豊彦先生(神奈川県開業) ・・・ 「インプラントと咬合」について
  • 5. 木津 康博先生(神奈川県開業) ・・・ 「最新のコンピュータガイドシステム・Nobel Clinicianを使用した診断」について

続いてメイン会場では、小宮山 彌太郎先生(東京都開業)をプレゼンターに迎え、「患者コミュニケーションの常識・非常識」をテーマにセッションが行われました。

初日のプログラムで共通していたテーマは、「患者様のための治療」です。患者様と歯科医師と互いに尊敬・信頼しあえる関係を築くことが必要であり、そのために歯科医師は、審美性など目先のことだけを考えた治療を行うのではなく、「20年先にどうなるか」、「いかに長く健康に保つことができるか」を考えて治療することの重要性を多くの先生が述べられていたことが印象的でした。


【 メインプログラム2日目 】

メインプログラム プレゼンターの講演の様子 メインプログラム ディスカッションの様子
▲ メインプログラム プレゼンターの講演の様子 ▲ ディスカッションの様子

■ TiUnite(タイユナイト) - その真実

2日目のメインプログラムでは、ノーベルバイオケア社が提供しているインプラントの表面性状であるTiUnite(タイユナイト)の実際の臨床結果に基づき、オッセオインテグレーションの促進効果、高い予知性、また治癒期間の短縮といったTiUniteのすぐれた特長についてプレゼンが行われました。失敗を引き起こさないためにも、段階的なプロトコルを順守することも大切であると述べられた上で、今回の臨床結果にもあったように、徐々に安全性が確立してきているため、さらに開発を進めていけば今後の活用が期待できると締めくくられました。


メインテナンスについて

■ メインテナンス - QOLの維持とリカバリー

ここでは、すべての患者様に受けていただくことがなかなか難しいメインテナンスについて、議論が行われました。プレゼンターである中村 社綱先生(熊本県開業)の医院ではメインテナンスリコール率が97%という結果を残されていましたが、これには、患者様の意識を持続させる「スタッフの懸命な努力」が欠かせないと訴えられました。

その他、メインテナンスで使用する清掃用具の選択や、清掃面を考えた補綴物のデザインについてのディスカッションが行われ、治療を受ける側にとっても、大変興味深い講演となりました。


オールオン4開発者であるPaulo Malo先生
▲ All-on-4開発者であるPaulo Malo先生

■ 無歯顎患者への即時負荷 - 恩恵と注意点

All-on-4の開発者である、Paulo Malo先生(ポルトガル開業)をプレゼンターに招いたこの講演では、All-on-4の可能性についてディスカッションが行われました。Paulo Malo先生は、無歯顎患者に対して、インプラント埋入のために開ける穴は、当然、少ない数で済ますことに越したことはないと述べられ、では、「なぜ4本なのか」、椅子の足の数を例に出されわかりやすく説明されました。All-on-4のプロトコルやガイドライン、その他、治療中・治療後の経過別のクリーニング方法やトラブルが起きないためのアバットメントのチェックなどの説明も丁寧にされた上で、All-on-4を活用すべきことを強調されました。


【 ハンズオン 】

■ All-on-4 (NobelSpeedy Groovy)

ハンズオン All-on-4 (NobelSpeedy Groovy)

All-on-4のハンズオンでは、前半はAll-on-4についての各種注意点、長所の説明や、「マルチユニットアバットメント」などの紹介・説明が行われました。また、現在All-on-4は下顎で約2,000名、上顎で約500名の治療実績があり、成功率はそれぞれ99.8%、98.5%を誇る一方で、注意すべき点が多々ある治療であることも説明されました。

後半は実習が中心となり、あまり経験のない先生方が、経験を積まれた先生に手ほどきを受けており、実践における技術を身につけようという若手の先生方が多くいらっしゃることが、とても印象的でした。


ノーベルバイオケアジャパンの展示ブース
ハンズオンの様子
ノーベルバイオケアジャパンの展示ブース ▲ ハンズオンの様子

■ Nobel Biocare Symposium Asia-Pacific 2010に参加して

メーカー主催のシンポジウムということもあり、ノーベルバイオケア社製品の特長や使い方、問題点などを中心にプレゼンが行われましたが、今回のテーマである『Focus on People』という視点から、患者様の立場に立った意見に対して議論が活発に交わされていたことで、歯科医院の先生方が、日頃から患者様の負担を軽減していくことに重点を置いてインプラント治療に取り組んでいらっしゃるのだということを再認識いたしました。

若手の先生も多く参加されていらっしゃいましたので、このようなシンポジウムを経て、今後、納得のいくインプラント治療を受けることができる患者様が、ますます増えていことを願います。


レポート:日本メディカルネットコミニュケーションズ(インプラントネット事務局)
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